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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
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第14話  一人の兵士の告白

本日二度目の更新です。

第14話  一人の兵士の告白


 私たちナースは、傷付いた兵士たちをベッドごと移動させた。

その作業は一時間や二時間で終わるものではなかった。

汗を流しながら、私たちは作業を続ける。

女にだって、男並みの力仕事はある。

二日に一回、筋トレがあるのも伊達ではないのだ。

ナースたち皆で、仕事を続けた。


 ひと段落すると、ゲイルさんが治癒能力で患者を手当てし始めていた。

私たちも何かしないと。

軍医長のドロシーが、酒ビンを持って、やって来る。


「手術が必要な人は、手術室に入れて」

 ドロシーはそう言って、手術室に入っていった。

 あの人は利き手の左手も両足も失って、義足で歩いているので、手術するのは無理な軍医長だ。

 手術は助手のグルガン・ダットが担当する。

「軍医長、一人では捌けません‥‥‥」

 グルガンがドロシーに言った。

「この、なけなしの医療器具では‥‥‥」

 ドロシーは酒を一口飲んで、ため息をつく。

「レッドクルス号から借りて来ればいいよ」

 ドロシーはグルガンに言った。

「は、はい!」

 グルガンは、シュシュの姿を見つけ、命令を出す。

「そこのナース、君だ。名は?」

「え?はい、シュシュ・アントワネットです」

「そうか。至急レッドクルス号へ行って、手術に必要な器具を一式持ってきてくれ」

「は、はい!分かりました」

 シュシュは走って病院施設から出て、レッドクルス号へと向かった。


 私は瀕死の兵士を抱きかかえて、廊下を歩かせた。

「大丈夫ですか?すぐに手当てをしますので、頑張ってくださいね」

 兵士は涙ながらに嗚咽した。

「こんな、こんなことがあるなんて‥‥‥」

 何かを言おうとしているのが分かった。

「何か言いたいんですか?」

「病院を狙う…。敵も始めたんだな‥‥‥」

「敵も?」

 何を言ってるのか分からなかった。

「〝敵も″ってどういうことですか?」

「野戦病院や医療施設を狙う‥‥‥。それを最初にやったのは、俺たち地球軍の方なんだ」

「何ですって?」

 私は耳を疑った。

「敵の、野戦病院を爆撃したのは俺たちだ。その結果がこのざまだ」

 傷付いたその兵士は、苦し紛れに高笑いをし始めた。

「病院は狙われる!皆、死ぬんだ。ハハハハ‥‥‥」

 私はそっと、その兵士の手を握った。

 笑うのをやめる兵士。

「私たちは戦争をしているんです。私もナースとして戦場に協力しています。あなただけが苦しむ必要はないんです」

「き、君は?」

「ナースのアイヴィーです」

「アイヴィーさん‥‥‥」

 私は笑顔を見せた。

「それ以上苦しまないで‥‥‥」

「あ、ありがとう」

 兵士は目を閉じた。

 そして息を引き取る。

 苦しい時も、ナースの顔を見て、その腕の中で静かに見送られる。

 それがどれだけ、兵士にとって安らげるか、私にはまだ分からなかった。

 それでも私は、それをしてあげたのだ。

 私にとってのそれは、自分に救いを見出すためであった。

 戦いは続く。

 私の笑顔はどこまで続くのやら。



時間があれば、あと一回、今日中に更新したいと思います。

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