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ザ・レッドクルス  作者: あばたもえくぼ
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第11話  私たちのレーゾンデートル

今日は三回目の更新になります。

第11話  私たちのレーゾンデートル


 月の病院施設は、静かだった。

傷を負った兵士たちの看護も次第に慣れてきて、看護師たちも替わりばんこで、見回りをする毎日だった。

けれど、月にいれば安心というわけでは無いことは、重々承知していた。

グラデュアル星人は確実に地球へと迫っているのだ。

ここで盛り返さなければ、地球に明日は無い。

戦争は、長引いた挙句、侵略されるのは、目に見えているのだ。


 深夜、私とシュシュ、他に30人の看護師たちが、ナースステーションにいた。

その他のナースは、寝室で寝ている。

私は携帯の端末で電子書籍を読みながら、椅子に座っていた。

「アイヴィー先輩、何を読んでらっしゃるのですか?」

 シュシュが私のところへ来て、訊いてくる。

「昔の人が書いた詩集よ。えっと、ゲーテとかいう詩人の書いた‥‥‥」

「ああ、それは古いですね」


 シュシュは言動にもっと気をつけて欲しい。

 古いことが珍しいのか、古い物を読む私が珍しいのか、どっちなのだろうか?

 どっちにしても、ちょっとイラッとする。


「先輩、この戦い、どう思われます?」

 シュシュが訊いてきた。

「え?」

 私は顔をシュシュの方へ向ける。

「どうって?」

「グラデュアル星人が憎くありませんか?」

「憎い‥‥‥。そうね、先に奇襲攻撃を仕掛けてきたのはグラデュアル星人の方だからね」

「ですよね。私は兄がアマルテア基地にいたんです」

 シュシュは暗い顔をした。

「その基地をグラデュアル軍にやられて、兄も戦死しました。私は兄を助けられることなく、死なせてしまった‥‥‥」

「お兄さんはいくつ?」

 私は電子書籍をテーブルに置いて、シュシュに訊いた。

「24歳でした」

「そう‥‥‥」

「私たちは必ず、勝たないといけないんです。グラデュアル星人へ報復しなければいけないんです」

「そうね。私にも地球に残してきた妹がいる。まだ15だけど、戦争が長引けば、妹も徴収されるかもしれない。そうならないためにも、私たちが戦わなくちゃ!」

「いつまで月にいなくちゃいけないんでしょう?」

「命令があるまでよ、シュシュ」

「早く前線に行って、一人でも多くの兵士たちを助けたいです。それが戦いに勝つための私たちの仕事なら、なおさら‥‥‥」

「それは私たちナースの仕事だから、あなたはよくやってると思うし、これからまだ、どんどん仕事は増えるわ。正直、そんな仕事は少ない方が良いけど、前線で戦ってる地球軍の兵士たちがいる。その兵士が負傷すれば、その時こそ私たちナースの戦いが始まるのよ」

 私はそう言って、シュシュの心をなだめた。

 

 地球軍が私たちを召集した意味を問うても、それしか言うことは無い。

 この戦いは、攻撃してきたグラデュアル星人が悪で、私たちは正義側なのだ。

 従軍しているナースに存在意義、レーゾンデートルの答えなど、私が考える限り、ハッキリした物は無いのだ。

それは当然、ナースなのだから、負傷兵たちを治療することを主とした、医療を完璧にこなすことが、一番の存在理由であるのだろう。

今は戦争をしているのだ。

国民が一丸となって、戦局を覆すことこそ、国に尽くし、民を守ろうとする意志であり、私たちに与えられた使命でもあるのだ。

戦争が私たちの存在意義であり、それを終わらせることが、国民意識であるに違いないというのが、私の心の中の意思にある。

過去にも大きな戦争はあったけど、それは地球内でのことだ。

今は外敵から地球を守ることこそが、愛星心では無いのか。

少なくとも、私たちの世代は、それを教育されてきた。

地球のために、私たちはナースの仕事をするのが、地球を想うことであろう。


 私はシュシュの肩に手をやると、こう言った。

「あなたはあなたの思う通りにやればいいのよ」

 これは私の本心だった。



SFはあまり得意ではありません。でも書きます。ファイト!!

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