第七話 スカウト合戦
前回のあらすじ:
学苑長ケンキドゥが野心の下、〈攻略本〉を宮廷政治に悪用する。
一方、ヒイロが〈ファイアⅢ〉を披露したことで、学苑内は大騒ぎに。
同時にナナシの提案で、カーマイナー教室は独自の魔法理論を習得していった。
「ヒイロの奴、最近チョーシ乗りすぎ」
モモが不貞腐れた顔で言った。
「ねー。さすがにちょっと見てられないなあ」
いつもは宥め役のリンゴまでぼやいた。
俺は苦笑いしつつ、二人に同意する。
ヒイロがついにⅢ系魔法を会得したというニュースは、一週間経った今でも学苑内を騒がせ続けている。
同時にヒイロの評判も、留まるところを知らない状況になっている。
もちろんヒイロは元々、魔法の天才として知られていた。将来を嘱望されていた。
だが、あくまで評価されていたのは、「将来」の話。
現時点ではまだ、「十代で学苑の教師陣と肩を並べる魔法の技術は、確かにすごい。しかし年齢を考慮しなければ、ヒイロくらいの実力の持ち主は国内に少なくない」という具合に見做されていた。
ところがこのたび、ついに〈ファイアⅢ〉をお披露目したことで、ヒイロのその評価がガラリと変わったのだ。
「この賢者の国においても、当代随一の実力者」と目されることになったのだ。
おかげで学苑内では現在、すさまじいヒイロブームが起こっている。
道を歩けば他学生に話しかけられ、また握手を求められる。
学食でランチをとれば、大勢に取り囲まれる。
マグママイン先生のように、教師の方がヒイロに教えを乞いに、こっそりカーマイナー教室を訪ねたこともあった。
こっそりといえば、ラブレターもたくさんもらっているようだ。
そんな有様ではまあ、ヒイロが有頂天になってしまうのも人情というもの。仕方がない面もあるだろう。
ところが二人は意見が違うようで、
「ヒイロなんてちょろ~っと魔法の才能があっても、性格がガキンチョだから今まで全然、モテなかったのに!」
「ヒイロ君を見る女子の目が、あからさまに熱っぽいのよねえ」
と、そのことがモモとリンゴには気に食わないらしい。
逆に俺は理解しかねる。
ヒイロのことは「兄弟のように思っている」と、日ごろから言っている二人なのだ。
ではヒイロがモテたら、誇らしいことはあれど、苛々する必要はないと思うのだが?
違うのだろうか?
俺もまだまだ、この三人の関係性について、理解が追い付いていないらしいな。
そして――二人には申し訳ないのだが――俺にとってヒイロがモテようとモテまいと、気にするものではない。
むしろヒイロに関する気になる事情は、もっと別にあった。
そう。由々しきことにヒイロの声望が高まった結果、他教室からのスカウトがひっきりなしに来るようになってしまったのだ。
例えば一昨日の話だ。
せっかくの休日だというのに、ヒイロが朝からコソコソと学生寮を抜け出した。
それに気づいたモモとリンゴが後を尾けると言い出し、俺も引っ張っていかれた(図書館で本を読みたかったのに!)。
ヒイロがいそいそと向かったのは、学外にあるレストランだ。ランチタイムでも、学苑生の身分では敷居が高いような。
俺たちもまた入店を躊躇い、仕方なく窓の外からこっそりヒイロの様子を窺うことにした。道行く人に奇異の目で見られ、ひどく恥ずかしかったが仕方がない!
一方、ヒイロとてろくに持ち合わせはないだろうに、肩で風を切って入店するや、待ち合わせ相手のいるテーブルへ向かった。
「やあ。来てくれてうれしいよ」
そうヒイロに爽やかに微笑みかけたのは、二十歳すぎくらいの青年。
同じ学苑生で、かなりの有名人なので俺でも知っていた。
名をネイヴ。学内一位と評判のイズール教室で、現リーダーと目されている秀才だ。
家が裕福で、同じ学生服を着ていても身なりがよく見えるのだから、人間不思議なものである。
「ヒイロの奴、なんでネイヴなんかと楽しそうにランチしてるのよ!」
「嫌な男なのか?」
「イズール先生は特別に優秀な学生か、実家が特別に裕福な学生以外、教室には入れないし、講義も受けさせないような先生なんですけど……。ネイヴさんはその影響が強くて、他の教室の学生とは口も利かないし、目も合わせないって人なの」
「エリート主義って言えば聞こえはいいけど、単に偏狭な排他主義よ!」
なるほど、学苑長とご同類か。
で、今まではヒイロとも目を合わせなかった男が、急に掌を返して昼食に誘ったというわけだ。
「聞いたよ、ヒイロ。ついにⅢ系魔法を習得したそうじゃないか。やっぱりキミは“オンリーワン”の才覚の持ち主だったね」
「フハハ! いやそれほどでもあるけど!」
ネイヴが気取った口調で褒めると、ヒイロが有頂天の様子で勝ち誇る。
奢りだろう豪勢なランチをネイヴに勧められ、ヒイロはウヒョーとガッつく。
「そして、キミも知っているだろう? ボクたちイズール教室も、学苑の“オンリーワン”だ。叡智の塔を三十五階まで攻略できているのは、ボクたちだけだ」
「ムグムグ」
「“オンリーワン”の学生であるキミは、“オンリーワン”の教室であるボクたちと学び、ともに塔を登頂するべきだ。キミにはその栄誉こそが相応しい」
「フゴフゴ」
「だからヒイロ。明日からはボクたちの教室に通うといいよ。イズール先生の許可もとってある」
「これメッチャうめえ! オカワリ!」
気取った口調と尊大な物言いでスカウトしてくるネイヴに対し、ヒイロはご馳走に夢中で聞き流している。
「ねえ、ボクは真剣に話しているんだけど?」
それで余裕風を漂わせていたネイブの声も尖る。
我こそは学苑屈指のエリートだと気取るなら気取るで、もっと堂々とできないものか。なんとも安っぽいメッキだな。
ヒイロもそう感じたのか、ニヤリと意地悪な笑みを浮かべた(口いっぱいに頬張っていたので、格好はつかなかったけど!)。
そして、
「オレにカーマイナー教室を裏切れって言うのか?」
「別にいいじゃないか。ボクたちのような栄光あるエリートが、レベルの低い連中に合わせて生きるだなんて、拷問の如く耐えがたい苦痛だ。違うかい?」
「オレは確かにエリートだけど、全くそうは思わないね!」
ヒイロは奢りのランチを平らげると、ネイヴの言葉を真っ向から否定した。
「オレはカーマイナー教室を導いて、叡智の塔を攻略して、見做しじゃない本物の〈賢者〉になってみせるぜ?」
どんな環境であろうが、真に自分が優れていれば関係ない――それこそが“オンリーワン”ってことだろうと、ヒイロは豪語してみせた。
同じ尊大な物言いでも、本当の自信や自負というのは、こういうものだとネイヴに手本を示した。
ははっ、やるじゃないか。ヒイロ。
「このボクたちがわざわざ手を差し伸べてやったのに、まさか断るっていうのか!?」
「ランチ、ごっそさん。美味かったよ」
ヒイロはそう言って席を立つと、屈辱で全身を震わせるネイブを尻目に退店する。
学内一位の教室からのスカウトに対し、微塵も未練を感じさせない、それはもう堂々とした態度だ。
おかげで俺たちはヒイロに見つからないよう、急いで店を離れなければならなかった。
「ナニよ、ヒイロの奴ってばエラソーに! 別にアンタに導いてもらわなくたって、アタシは自力で〈賢者〉になるってのっ」
「ふふっ。そんなこと言いつつ、モモちゃんてばうれしそう」
と、上機嫌で帰路を急ぐ姉妹の後を、俺はついていく。
そんな俺自身、ヒイロがスカウトを断ってホッとしていた。
俺をひろってくれたカーマイナー先生や、記憶喪失の俺によくしてくれているリンゴやモモが、悲しむところなんて見たくないからな。
◇◆◇◆◇
だが俺たちが安堵したのも束の間、ヒイロはまたも大教室からスカウトを受けることになった。
声をかけてきたのは、イズール教室に次ぐ派閥を持つキャネリー教室だ。
そのリーダーであるワイエは、ネイヴとは対照的な青年らしい。
「ご実家は裕福じゃないらしいんだけど、とにかく努力の人で。知識も豊富だし魔法の実力もあって、人柄もいいし〈僧侶〉としては学内一の敬虔な人で、わたしたちみたいな庶民派の学生はみんな、ワイエさんを尊敬してるわ」
とリンゴも大絶賛。
そんなワイエが生真面目な口調と落ち着いた声音で、ヒイロに言った。
「聞いたよ、ヒイロ君。イズール教室のスカウトを断ったんだってね」
この学苑の生徒の噂話好きは相当なもので――いったいどこから漏れたのか――ヒイロがネイヴを袖にしたという事実は、瞬く間に知れ渡っていた。
ワイエもそれを耳にしたのだろう。
場所はいくつかある学食の中でも、一番大衆的な食堂。
ワイエはヒイロを誘うと一対一で昼食をとりつつ、多くの衆目を集めることも気にせず、なんらやましいことはないという態度でスカウトを始めた。
ちなみに俺たちは例によって、三人で尾行していた。
他の生徒たちに交じって隠れ、ヒイロたちにバレないギリギリの近さのテーブルで、聞き耳を立てていた。
モモとリンゴは髪型を変えるという、精一杯の変装をしていた。
この学食はいつも騒々しいので、ヒイロたちの会話を聞き取るのにひどく集中を要した。
「口幅ったいことを言うけれど、イズール教室に行かなかったのは正しかったと思う」
「ムグムグ」
「彼らは人を見下すことに慣れすぎている。信じられるかい? 僕たちキャネリー教室だってとっくに追い付いているのに、彼らは自分たちだけが三十五階に到達したと思い込んでいるんだ」
傲慢も過ぎれば、愚者となんら代わりはしないということだ。
そんな教室に通っても、ヒイロは気分が悪い想いをするだけだろうし、実力だって活きることもないだろう。
ワイエは嘆かわしげに首を左右にし、俺も実際そう思う。
「その点、僕たちキャネリー教室は、雑草根性を持つ人間の集まりだ。皆が常に正しい向上心を持ち、一致団結している。ヒイロ君も来てくれれば、すぐに気に入ってくれると思う」
「ガツガツ」
「第一、僕はネイヴ君と違い、ヒイロ君の気持ちがわかっているつもりだ。僕たちキャネリー教室は君一人だけでなく、リンゴ君とモモ君もスカウトしたいと思っている」
「モシャモシャ」
「君たち三人が、兄弟のように仲睦まじく育った間柄だというのは理解しているし、引き裂くつもりはない。ネイヴ君はその点に全く配慮が至らなかった。だからヒイロ君は学内一位の教室から誘われても、靡かなかったのだろう?」
だから力を貸して欲しい。ともに三十五階を突破しよう――と、ワイエはどこまでも生真面目な口調で、懇切丁寧に勧誘する。
一方、ヒイロは定食を平らげるのに忙しかった様子。
だけどワイエの話を聞いてはいたのだろう。
「アンタのことは嫌いじゃないし、オレのことをよく考えてくれたのも悪い気はしねえ。でも答えはノーだ」
そう言って席を立つと、自分の分の代金をテーブルに置いて、きびすを返した。
ワイエは苦学生なりにこの場は奢るつもりだったのだろう、その硬貨をすぐには受け取らない。
ただヒイロの背中に向かって、無念そうに訊ねた。
「後学のために教えて欲しい。キャネリー教室の何が不満なのだろうか?」
「カーマイナー教室じゃないこと」
ヒイロは背を向けたまま端的に答えた。
これにはモモとリンゴも、
「ヒイロにしてはイイこと言うじゃん」
「ねー。ちょっとカッコよかったねー」
と、思わずにっこり。
でもおかげで、その場から逃げるのが遅れた。
ワイエをテーブルに残して立ち去ったヒイロと、ばったり目が合ってしまった。
「き、奇遇ねヒイロ!」
「ワイエさんとご飯じゃなかったの? も、もう終わったの?」
モモとリンゴはあくまで偶然ここでランチをとっていただけだと、ヒイロには気づいていなかったと、ふりをする。
だが演技がぎこちないのもあって、ヒイロは明らかに訝しんでいた。
それでモモとリンゴは誤魔化すように、唐突な質問を振る。
「そ、それよりヒイロ! アタシたち見て、何か気づかない!?」
「いつもと違うところがあるでしょう?」
答え、髪型。
ついでに「その髪型も似合う」とか「可愛い」とか褒めて欲しそうなニュアンスを出しているのは、女心に疎い俺でもわかる。
しかしヒイロが矯めつ眇めつして出した解答は、
「わかった! 食べ過ぎて腹が出てる」
「アホ死ね」
「ヒイロ君がデリカシーのないコに育って、お姉ちゃん哀しいなあ」
女性陣を大いに不機嫌にさせたのだった。
◇◆◇◆◇
だがモモとリンゴの不機嫌さが最高潮に達したのは、その二日後のことだった。
三大教室と謳われるその三番手、ジェリド教室のオリーヴィアが、ヒイロのスカウトに現れたのだ。
「しかしイズール教室にキャネリー教室と来たのだから、ジェリド教室がスカウトに来るのも当然、予測できた話ではないか?」
きっと今回もヒイロはきっぱり断るだろうと思うし、俺としては二人がどうして苛々しているのかわからなかった。
そう、ネイヴやワイエが誘いに来た時だって、モモもリンゴもこんなに不機嫌ではなかった。
「オリーヴィアは学内でも有名な美人で、ヒイロの初恋の女なのよ!」
「ヒイロ君、子供の時に手酷くフラレたのに、まだ引きずってそうなのよねえ」
「ああ、なるほどそういう……」
他でもない初恋の人に誘われたら、ヒイロがホイホイついていってしまうのではないかと、そこを懸念しているわけか。
「オリーヴィアさんはわたしたちと同年代だけど、ネイヴさんやワイエさんに負けないくらい魔法が得意で、聡明な才女なんです」
「でもそれを鼻にかけるヤな女なのよ!」
「あと自分がモテるのを自覚していて、昔から才能のある男の子を見つけてはよく声をかけて、手玉にとるのが得意なんだけど。それでヒイロ君も最初はのぼせ上ってたクチなんだけど」
「でもオリーヴィアは、ヒイロが魔法の才能こそスゴイけど、中身がガキンチョすぎるってわかったら、すーぐ切り捨てたのよ!」
あまり褒められた女性ではないようだ。
滅多に人を悪く言わないリンゴがこれだけ嫌っているのだから、信憑性がある。
ともあれそのオリーヴィアに昼食を誘われて、ヒイロはホイホイとついていった。
明らかにデレデレと鼻の舌を伸ばしていた。
それをモモとリンゴがイライラしながら尾行し、俺もつき合った。
そして、オリーヴィアという女性を遠目ながら初めて見て、少し不思議に思う。
なるほど美人だろう。
しかし、リンゴの方がよほどに端正だし、モモの方が可憐だと感じるのは……俺の身贔屓だろうか?
加えて人柄も二人に遠く及ばないとなれば、ヒイロの趣味を悪さを疑わざるを得ないな。
オリーヴィアがヒイロを連れて向かった先は、学内にある庭の一つだった。
大きな木の陰で、ピクニック気分を味わおうという趣向。
バスケットに手料理を用意していて、モモとリンゴが「「あざとい!」」と唸った。
俺たちは近くにある芝生の影に隠れて、ヒイロたちの様子を窺う。
モモとリンゴが葉の茂った枝を両手に持って、カモフラージュに使って芝生から顔を覗かせる様は、ちょっと……いやかなりシュールだった。
通行人に奇異の目で見られるし、逆に目立つ。
オリーヴィアにも気づかれてしまったのだろう、小馬鹿にしたような眼差しを向けられた。
ヒイロの方はオリーヴィアにサンドイッチを食べさせてもらうのに夢中で、まるでこちらに気づいていなかったが。
「ねえ、ヒイロ? 今日は頼みがあって来たのだけれど」
オリーヴィアがヒイロに食べさせる様子は、恋人同士のような甘やかなそれというよりは、ペットに餌付けする主人が如き風情だった。
「ナニナニ!? 他でもないオリーヴィアの頼みなら、たいがいのことは聞いてやるぜ!?」
ヒイロは口いっぱいに頬張ったまま、調子のいいことを言った。
ネイブやワイエにスカウトされた時とは、本当に態度が違った。
「もしヒイロがジェリド教室に行くとか言い出したら全力で止めるわよ、リンゴ姉っ」
「ええ。〈フリーズⅡ〉で凍らせてでも」
モモとリンゴが過激なことを言い出し、俺は隣で冷や汗をかいた。
果たして――
「ねえ、ヒイロ? ジェリド教室に移籍する気はない?」
とオリーヴィアが口にするや、
「「フラン・レン・エス・ズィー・エル……」」
とモモたちが本当に呪文の詠唱を始めた。
しかしオリーヴィアは――
「――と言いたいところだけど、まあカーマイナー教室を家族のように想っているヒイロなら無理よね。それで別の提案をしに来たのだけれど、ジェリド教室とカーマイナー教室で同盟を結ぶというのはどうかしら?」
と意外なことを言い出して、モモとリンゴが呪文の詠唱途中で固まった。
それはもう、モモたちの方が〈フリーズⅡ〉を浴びたかのように見事に。
「どういうことだってばよ、オリーヴィア?」
「イズール教室が三十五階に到達したのはいいけれど、そこで攻略がずっと止まっているのはヒイロも知っているでしょう? その後、キャネリー教室や私たちも追い付いたのだけれど、やっぱり突破できなくて足止めを食らっているの」
「なるほど、そこで頼れるこのオレの力が必要だと!」
「ええ、そうなの。これはあなたたちにもメリットのある話よ? 一緒に突破できれば、一気に三十六階までスキップできるでしょう?」
これはオリーヴィアの言う通り。
共闘できれば、ようやく三十階まで攻略できたばかりの俺たちが、ジェリド教室とともにいきなり現学内最高階まで登塔できる形になる。
結果を出さなければカーマイナー教室を取り潰すと言ったケンキドゥを、当面の間は納得させられるだろう。
「よし、乗った!」
とヒイロが俺たちに相談せず、勝手に決めてしまったが、モモとリンゴももう邪魔はしなかった。
まあ二人の顔を見れば、頭で納得はできても心では面白くないと、不平タラタラなのがわかったが。
「ありがとう! ヒイロならそう言ってくれると思っていたわ」
オリーヴィアはそんなモモやリンゴに見せつけるように、わざとらしくヒイロに抱きついた。
イイ性格をしている。
しかし、なるほど。男を手玉にとるのが上手いとはこういうことか。
結局、オリーヴィアだけがヒイロの性格をよく把握し、見事に上位二教室を出し抜いた。共闘という形で実質的に、ヒイロの力を手にしたわけだからな。
感心しつつも俺の心は既に、叡智の塔へと羽ばたいていた。
三大教室が長らく突破できないでいる、三十五階の試練。
さて、如何なるものか――
長らく更新が止まって申し訳ありません!
去年後半からずっと書籍化のお仕事が続いて(もちろん、うれしい悲鳴なのですが)、余力がありませんでした。
大変恐縮ですが、今後ものんびり追いかけていただけると幸いです。