第三十六話 魔女の国の祝勝会
前回のあらすじ:
“八魔将”二体の力を取り込んだエリスを撃破し、天界の宝石2つをゲット!
首都アブラカタブラの王城は、魔女の国という印象からくるものとは違った、ごく真っ当な宮殿である。
しかし、城の庭園で催された祝勝会は、魔女の国の名に相応しい、妖しい空気で満ちた夜会だった。
篝火代わりに鬼火がそこらを飛び交い、立食用のテーブルには異様な見た目の珍味が並ぶ。
だが、ともかくめでたい日だ。
ヴィヴェラハラを二つに割った戦争は、完全に終結した。
“反体制側”の首魁だった“死者の女王”が斃れ、また彼女らの後ろ盾だった“魔炎将軍”すら討たれたことが周知となり、残る黒魔女たちが続々と投降してきたからだ。
さらには“純潔の宝石”セレストが勝ち馬に乗ること露骨で、元は味方だった黒魔女たちの駆逐に、ここぞとばかりに全力を出し始めたのも要因だった。その暴虐ぶりは猖獗を極め、残る黒魔女たちの戦意を根こそぎにしたのである。
まあ、ヴィヴェラハラにとっては佳きことだ。
シャロンら重臣の表情を窺えば、「思ったより早く事が済んだ」とホッとしているのがわかる。
というわけで俺は慣れないパーティーというやつに出席するため、いつもの如く頼りになるパートナーを同伴したのだが――
「こんな夜会は私も初めてです。ちょっと不気味ですけど、ドキドキしますねっ」
と、アリアは思いの外楽しんでくれた。
好奇心旺盛で、且つ意外と性根の逞しい彼女は、テーブルに飾るように饗された蛇一匹を丸で使った料理などにも、果敢に舌鼓を打っていた。
「これ――見た目はアレですけど絶品ですよ、マグナスさんっ」
「お、おう……では俺もいただこうかな……」
「さすが魔女の皆さんは、偏見なく珍味を知り尽くしているってことでしょうねっ」
「確かにそういうことなんだろうな……」
うなずきつつ、俺は切り分けてある蛇肉をおっかなびっくり口にする。
物の文献で鶏肉のような味がするとは読んだことがあったが、じゃあ鶏肉でいいじゃんと思ってしまうのは、果たして狭量だろうか……。
一方、アリアは「ラクスタで流行らせられないかな」「売れないかな」と、頭が商人モードになってブツブツ言っていた。
うん、この女性の逞しさが俺は本当に好きだ。
人目がなかったら今すぐ抱きしめたい。
『――などと考えていらっしゃるんでしょう、マグナス様?』
「――などと言いつついきなり抱きしめてくるのはどうしてだ、ショコラ?」
『これは完璧メイドたるワタシとしたことが、失礼いたしました。改めてマグナス様への愛しさが込み上げてきた出来心で、決してアリア様に張り合っているわけではございません。ええ、決して』
などとショコラはふざけていたが、「笑顔」のアリアに頬を抓られ、俺から引き剥がされていた。
『何をなさるのですかアリア様!』
「パーティーで男の人に抱きつくのが許されるのは、オコサマだけなんですよ~」
『ご教示、誠に痛み入ります。しかし体罰は如何なものかと!』
「何度口で言っても聞かない、ショコラさんが悪いんですよ~」
……この二人の「じゃれ合い」を見るのも久しぶりだが……いつかはこれが微笑ましいと思えるような、胆力を備えた男になれるのだろうか俺は。
黄昏ていると、後ろから声がかかった。
「あ、アンリ!? そちらの女性はいったい?????」
と、シャロンが目を白黒させていた。
ケイト、ズッチ、ティナも一緒で、今日は皆ドレスで着飾っていた。
「彼女が俺の婚約者で、皆にも紹介したいと思っていたんだ」
「ラクスタはマルム商会の娘で、アリアと申します。どうぞ、お見知りおきを」
「こここ婚約者????? アンリにいたのっっっ!?」
シャロンが今にも泡を吹きかねない様子で、激しく狼狽した。
「イイ男なんてどうせ全員漏れなく売約済みなのよ! わかってたわよウワアアアアアッ」
かと思えばブワッと泣き出しながら、走っていってしまった。
ううむ……。
シャロンにはこのヴィヴェラハラで、本当に世話になった。
そのお礼を改めて言いたかったのだが……。
『マグナス様は本当に罪作りな方ですね』
不可抗力だろうが!
ショコラの皮肉に俺が憮然となっていると、ケイトが俺とアリアの前まで来て、
「アンリさんにお似合いの、ステキな方ですね~。結婚式にはぜひ呼んで欲しいです~。ラクスタでもどこでも飛んでいきます~」
と、気の早いことに祝福してくれる。
『三十路前のシャロン様より、ケイト様の方がよほどにオトナだとはいやはや……』
声が大きいぞショコラ!
俺がキツい眼差しで咎めると、ショコラはぺろっと舌を出しつつ目を逸らした。
嘆息し、今度こそケイトたちに向き直ると、
「ケイト。ズッチ。ティナ。君たちにも世話になったな。お陰で俺はヴィヴェラハラでの目的を全て達成できた」
「お、お礼を言うのはわたしたちの方です~。ず~っと負けっ放しだったわたしたちが、アンリさんのお陰で戦争を終わらせることができたんですから~」
「今まで侮ってて悪かったんだぞっ」
「二人に同意」
「いや、この国が救われたのは、君たちの成長もあってのことだと思う。だから、胸を張って欲しい」
俺はおためごかし抜きにそう言った。
するとケイトたちがはにかみながら顔を見合わせ、うれしそうにした。
俺もなんとも感慨深い。
彼女たちには本当に手を焼かされたからな!
◇◆◇◆◇
私――カジウ海洋警察のパウリは、パーティー会場の端っこにいた。
特別な日だからと振る舞われている青色の酒(なんでも〈HP〉回復効果もあるらしい)を、水晶杯でチビチビとやっていた。
隣にはドレス姿のネビスもいて、つき合ってくれている。
彼女は酒癖がよくないので、度を越さないように気をつけつつ、
「僕は明日にはカジウに帰るけど、君は残ってくれていいんだぜ?」
「……それは、馘首ということでしょうか?」
「いやいやそうじゃなくて、君は魔道火力支援部隊を立派に率い、戦勝の英雄たちに名前を連ねた。故郷に錦を飾った」
「というよりは、私を見下した連中に対し、『ザマアナイ』という気分ですね」
「そして、それはこれからも続く。君はこの国に残り、〈魔女〉ではなく〈魔法使い〉として実力と存在感を示していくことができる。“善なる魔女王”もポストを用意すると言っている」
「大変光栄な話ですが――興味ないですね」
ネビスはグラスにチビリと口をつけながら、素っ気なく言った。
あるいは、拗ねるような態度だった。
「パウリ様の隣こそが私の居場所だと、ずっと思っているのですが」
「それは僕こそ光栄な話だね」
私は心からの苦笑いを浮かべて答える。
ネビスの気持ちのことは当然、気づいている。
でも私には応えられない。
私は海原の神霊のことが忘れられない。
だから私は気づかないふりを続けるし、ネビスは気づかないふりをする私の態度に気づかないふりを続ける。
益体もない関係だが、ネビス自身は満更でもなさそうなのが困りものだ!
……まあ、敵わぬ恋というものには、一種の中毒性があるのかもしれないね。
「私のことよりもパウリ様」
「うん。なんだい?」
「あっちはどうするのですか?」
そう言ってネビスは、グラスを持った手で示した。
見れば、ドレスで着飾ったイザベッラが、おずおずとやってきていた。
「黙ってバイバイしようと思ってたんだけど、まあそうはいかないよねえ」
「パウリ様のそういうクズいところ、私は嫌いではありませんけれど――ちゃんと引導を渡してきてください」
と苦言を呈すネビスに、私は肩を竦めてみせる。
そしてイザベッラの方へ向かう。
「明日にもお帰りになるのでしょう、パウリ?」
彼女は単刀直入に訊ねてきた。
正直に肯定するのも躊躇われ、なんと答えるべきか――私が考えるより前に、イザベッラの方からすぐ言ってきた。
「わたくしが引き留めて、困らせるとでも思っているんでしょう? お生憎様! あなたのことなんて、別になんとも思っていないですわン」
プライドの高いイザベッラは、いつものように素直ではない物言いをした。
と思ったら、
「――などと以前のわたくしならきっと言ったでしょうが……正直、パウリとお別れするのはとても辛いですわン」
などと、顔を落として殊勝なことを言い出すではないか。
私の方こそ正直びっくりだ。
「だから僕に、ヴィヴェラハラに残って欲しいと?」
「いいえ、そうは申しません。あなたにはあなたの帰るべき場所と女性があるのでしょう」
口ばかり達者で、極めてガキ臭い娘だと思っていた。
それがいつの間にか、少しは大人びた顔ができるようになっていた。
その顔でイザベッラは言った。
「あなたと出会えたお陰で、わたくしは初めて敗北というものを知ることができました。
己がまだまだ未熟な小娘だと、内省することを覚えました。それも恋愛事だけでなく万事において、気づくことができたのです。
わたくしの目的は、いずれはこの国の礎となる大魔女に至ること。
そのためには倍旧の修業が必要だと悟りましたし、色恋にうつつを抜かしている暇はないのですわン」
「うん。素晴らしいね」
イザベッラの大言壮語はいつものことだけど、今の台詞は地に足がついていると感じた。
「ですからパウリ、ごきげんよう」
「ああ、イザベッラ。君もいつまでもお元気で」
強がって笑顔を浮かべるイザベッラに、私もその意気に応えて笑顔で別れの挨拶をした。
彼女の美しい思い出を完成させてあげた。
そしてイザベッラは一礼をして立ち去り、もう二度と私を振り返ることはなかった。
「この国はきっと今後、よくなっていくんだろうなあ」
ゼール商会を取り仕切る叔父貴に連絡して、投資するよう持ちかけよう。
◇◆◇◆◇
あたし――エリス・バーラック・メヘスレスも実は、祝勝パーティーに紛れ込んでいた。
テキトーに顔を変えて、どっかの魔女のふりをしていれば、誰も見咎めやしない。何せ人多すぎだし。
もちろん、城に入るのが一般人にはハードル高いわけだけど、あたしは空から侵入できるから、正面ゲートの検問を回避できるしね。
まあ、パーティーに潜り込んだからって特別、何かするわけじゃない。
珍しいお酒や料理をいただきつつ、遠目にマグナスを眺めてるだけで。
マグナスもあたしがいることに気づいてるのかいないのか――とにかくあたしが悪さしなけりゃ、いちいち目くじら立てないでしょ。
あいつはそういう肝の据わったところがある。
というかね!
マグナスにはもう完敗!
もう何をやってもあの男には敵わなかった。
おまけに〈天界の宝石〉を奪われちゃったから、もうあいつの方からあたしを追っかけてくれることはない。
だから、あたしの方からあいつを追い続けるしかない。
じゃなきゃマグナスの破天荒な冒険を、観賞することはできないからね。
“八魔将”もついに過半数の五体が討たれ、残りは三体。
マグナスが次に向かうのは南の賢者の国か、はたまた西大陸のリーンハルター神聖帝国か。
その行き先くらいは、せめて確かめておきたいわよね。
〈遠見の水晶球〉が使えれば、こんな苦労はなかったんだけれど!
「あーあ、勝負を持ちかけるんじゃなくて、〈天界の宝石〉と〈魔弾将軍の腕輪〉の交換を提案するべきだったかしら……」
まあ、その方が確実に賢かったんだろうけれど――でもそれじゃあ、何も面白くない。
あたしが大嫌いな、つまらない人間たちと、やること変わりない。
だからまあ、この結果はしょうがないってことよね。
と――そんな風に内心ぼやいていると、
『貴女の恩義にも、何か報いなければいけませんね。元ゼール商会のエリス殿』
いきなり声をかけられた。
お酒のグラス片手に、休憩用のベンチで寛いでいたあたしの隣に、いきなりゾウガメが現れた。
しかも今の台詞は、このゾウガメの口から発したものなのである。
面白い!
「何、何? 誰、誰?」
あたしは好奇心に目をキラキラさせて、ゾウガメに話しかけた。
『はじめましてですね。余の名はロザリン、この魔女の国の王です』
「あなたが“善なる魔女王”なの!?」
お、面白すぎる……!
「それで、それで? どうしてあたしにご褒美を?」
『貴殿は“魔炎将軍”を討ってくれたのでしょう? おかげで黒魔女たちは後ろ盾を失い、早期の投降を決めることになりました。これを大功といわず、なんといいましょう』
「でもあたしは“東側”の軍師を務めていたのよ? 元はヴィヴェラハラに害をなした“反体制側”よ?」
「“純潔の宝石”も元は黒魔女でしたが、最後は“体制側”のために戦ってくれて、余はその功にもちゃんと報いるつもりですよ?』
「さすが魔女の王、懐が深いわねえ」
つまらなくない人間(ゾウガメ?)ってわけね。
『まあ、そういうわけですので――貴殿にはこの国宝を進呈しましょう』
ロザリンが言うが早いか、近くで待機していたメイドが小箱を持ってやってきた。
中を開けると――おしゃれなペンダントが入っている。
それも見事な黒ダイヤがあしらわれていた。
「貴重品なのはわかるわ? でもあたし、宝飾品には興味ないのだけれど?」
ほら、飾らなくてもあたしって綺麗だし。
『早とちりするものではないですよ。これは歴としたマジックアイテムで、〈魔女のダウジング石Ⅵ〉といいます』
「へえ?」
『この石を垂らして、捜し人を脳裏に思い浮かべれば、石がその者のいる方向を教えてくれるという代物です。その相手がどれほど強力な抗探知魔法に守られていてもです』
「たとえ〈魔弾将軍の腕輪〉でも?」
『問題ありません』
それはステキね!
わかるのが方向だけで、距離も不明なんじゃ不便も不便だけど。
でも、これでマグナスを完全に見失うことはなくなった。
「ありがとう、“善なる魔女王”。いいパーティーだったわ!」
『もっと楽しんでいってくれて構いませんよ。この後、最新の幻影魔法を使ったショータイムも予定されていますよ』
「いいえ、もうお腹いっぱい!」
あたしはウインクしつつ背中から羽を生やすと、そのまま夜の空へと飛び立った。
◇◆◇◆◇
俺――〈魔法使い〉マグナスは、アブラカタブラ城下を歩いていた。
祝勝会があった翌日のことである。
人口比率に対して魔女が多いこの国では当然、〈マジックアイテム〉の製造量と普及率が他国とは段違いだ。
とはいえ庶民にはなかなか手の届かない高級品には違いなく、町中に溢れ返しているわけではない。例えば水を浄化する機能のあるマジックアイテムを、ご近所十件で大事に共有するという感じの。
なので富裕階級が住むごく一部の地域を除けば、魔女の国といえど、そう他国と街並みに違いがあるわけではない。
昼に主婦たちが井戸端会議をする様もまた、この国でもよく見られる光景である。
「戦争がようやく終わってくれて、胸を撫で下ろしたわあ」
「でも結局この辺りはずっと平和だったし、物価も大して高騰しなかったし、なんだか遠い国の出来事みたいでねえ」
「ロザリン様の治世、サマサマよねえ」
「それを言ったら、シャロン将軍の獅子奮迅の働きあってのことじゃあないかしら?」
「最初は負けっ放しでどうなることかと思ったのにねえ」
「終わり良ければ全て良しですよ、奥さん」
などなど――夢中でおしゃべりを続ける主婦たちの、その笑顔を見ていると、ヴィヴェラハラに平和が訪れたのだと俺も思える。
そして彼女らの井戸端会議が終わるのを待ち、それぞれが家路に就くのを見て、俺は主婦の一人――一番見た目が若いご婦人――に正面から話しかけた。
「面倒なことをしてくれたな」
と、しかつめらしい顔で抗議した。
一方、その主婦は唐突な話題を振られても、全く動じなかった。
俺のことを不審人物だと、怯えることもなかった。
どこにでもいそうな買い物籠を提げた主婦なのに、どんな主婦にも真似できない不敵な面構えをしていた。
その彼女に俺は抗議を続ける。
「あなたのせいで、俺は今後もエリス・バーラック・メヘスレスに付きまとわれる可能性が高まった。まったく面倒なこと極まりない! どうしてくれるんだ――“善なる魔女王”?」
そう、この主婦こそが“善なる魔女王”ロザリンの正体なのだ。
王宮にいるあのゾウガメは、この彼女の使い魔でしかない。
ヴィヴェラハラでも、ごくごく一握りの者しか知らないだろう。
では、どうして魔女王たろうものが、主婦の真似事をしているのか?
一つはロザリンの気質の問題。
彼女は本当はごく家庭的な性格の人物で、政務の息抜きに市井で暮らしたい、と。
もう一つは政治の問題。
“善なる魔女王”は齢三百超えで、在位三十年という触れ込みだ。
およそ二百七十歳のころに、戴冠したという計算だ。
だが真実は弱冠十六歳で先代の魔女王に見い出され、即位した。
ゆえに現在でもまだ四十六歳という計算になる。
この年齢詐称が、魔女の国の女王には必要だったのだ。
考えてもみてほしい。
二百歳超えの“純潔の宝石”だの“死者の女王”だの曲者且つ化物がゴロゴロいるこの国で、十六歳や四十六歳の女王が君臨しても、貫目が足りないと舐めらてしまうだろう。
だから本当に数百年生きているゾウガメを使い魔にして、宮廷では「これが余ですよ?」と偽って、箔を付けていたわけだ。
一方、ロザリンは正体を看破されたにもかかわらず、やはり動じることなく答えた。
「よくぞ見抜いてくれたものですね。さすがはというべきですか、軍師殿。アンリ・マグナッソー殿。いいえ――“魔王を討つ者”マグナス殿」
「驚いた。あなたこそよくぞ見抜いたものだ」
「様々な情報を照らし合わせて考えれば、自明の理というものですよ。むしろ見抜けなかった、シャロンがまだまだ青いという話です」
賢明なる魔女王は、そこで初めて不敵な面構えから、国の未来を憂う顔つきへと変わった。
だが、それもしばしのこと。
「それでマグナス殿? わざわざこんなところを待ち伏せしたということは、王宮ではできない話をしにいらっしゃったのでしょう?」
「話が早くて助かる。実は俺は、あなたの持つ固有魔法――『魔女の力を封じる』魔法の正体を知っている」
「あらあら、怖い。本当になんでもご存知だこと」
まあ〈攻略本〉情報なんだがな!
「その力を見込んで、あなたにお願いがあるんだ」
ロザリンも他者には魔法の正体を知られたくないだろうから、こうして密談に罷り越したというわけだ。
「もちろん協力は惜しみませんよ、我が国を救ってくださった英雄殿。そしていつかは世界を救う、“魔王を討つ者”よ」
「そう言ってもらえるとありがたい」
“善なる魔女王”の賢明さと器の大きさに、改めて感謝する。
そして相談する。
俺の頭の中には、次なる“八魔将”を討つための計画表が、既に出来上がっている――
これにて五章完結です。
読んでくださり、ありがとうございました!
良いお年を!