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第十六話  〈サブクエスト〉でレベル上げ!?

前回のあらすじ:


メゴラウスの大坑道を支配していたボスモンスターを撃破!

 ボーンドラゴンの戦利品(ドロップアイテム)は、〈屍竜の王錫〉という名の短錫(ワンド)だった。

 出来たてホヤホヤの死体へ向けて掲げることで、アンデッド化し、思うままに使役することができるらしい。

 ただしその間、けっこうなMPを消費し続ける。それが維持できなくなると、件のアンデッドモンスターも元のただの死体に還る。一度そうなると、同じ死体に対して二度目のアンデッド化はできないようだ。

 強力な特殊効果だが、使いどころは難しそうな〈マジックアイテム〉だな。

 一工夫が必要なところは実に俺好みだ。

 ちなみにレアリティは当然というかS。換金すれば、小国の年間予算くらい手に入るだろうが……いや、こんな危険な〈アイテム〉を誰かの手に渡すのは、躊躇いを覚えてしまうな。

 やはり俺の懐に仕舞っておこう。


〈ドロップアイテム〉の方は強力だが利便性の低いものだった一方、ボーンドラゴンを倒したことで、同時に大量の〈経験値〉も得ていた。

 おかげで俺はなんと一足飛びに、レベル30となっていた。

 念願の〈フライト〉も習得できた!

 昨日など、さすがの俺もうれしさのあまり、童心に返ってしまった。ラクスティアの空を自由気ままに飛翔して、上空から存分に王都の眺めを俯瞰した。

 また、今まで行けなかった屋根の上から侵入して、悪党どもが貯め込んだ〈アイテム〉や財貨も幾許か頂戴できたのだが、まあご愛敬だ。


 それより〈レベル〉の話である。

〈攻略本〉情報によれば、30台ともなるともはや、伝説の偉人たちの領域になるらしい。

 我らが学院の開祖である大魔法使いレスターが34。このラクスタ王国の始祖であり、凶悪な魔物を屠ってそいつの支配領域を奪取し、王朝を開いたドンナルナが31。といった具合だ。

 そして、レベル20台のころから薄々感じていたのだが、〈レベル〉が上がれば上がるほど、次のレベルアップへの過程がしんどくなる。


 ボスモンスターは一度に大量の〈経験値〉を吐き出すため、こいつらを乱獲できれば、効率よくレベルアップは可能だ。

 今回のボーンドラゴンや、いつぞやお世話になったデストレントを斃した時がそうだったようにな。

 ただし〈攻略本〉情報によれば、ボスモンスターはどんなにたくさん斃したところで、最大でそのモンスターの〈レベル〉+1までしかレベルアップできないという法則があるらしい。

 道理でレベル27のデストレントを乱獲しても、俺は28で止まっていたわけだ。

 一方、もしレベル34のボーンドラゴンを乱獲できれば、俺は35まで行けるという理屈になる。

 が、惜しいかな!

 あのボーンドラゴンは外来種で、このラクスタ王国がある大陸由来、土着のモンスターではないらしい。いずれは魔王モルルファイの魔力で復活するし、またその詳細条件もこの〈攻略本〉に記されているが、俺がラクスタにいる限り手は出せない。

 乱獲は現状不可能ということだ。うむむ……。


 じゃあ、雑魚モンスターを狩ってレベル上げするしかないのだが、これもまた困難だ。

 なにしろあいつらは吐き出す〈経験値〉があまりに少なすぎる。

 例えば、先日蹴散らしたスケルトンソルジャーで計算したのだが、俺がレベル31になるためには、あいつらを一千万匹狩らないといけないらしい。

 10000000だぞ?

 仮に一日三千匹狩ったとして(想像しただけでもうウンザリする!)十日で三万匹、百日で三十万匹、千日で三百万匹……十年近い歳月が必要となる計算だ。

 うん、やってられん。


 魔王モルルファイを討伐するため、俺もいずれはラクスタ王国を後にし、次の地を目指すつもりだが、その前にラクスタでできることは全部やっておきたいのが人情だ。

 全部やっておくためには、最低でもレベル32になりたい。

 俺の頭の中にはそんな設計図が出来上がっていた。

 あと2レベル。これが……遠い!


 と――俺は宿のベッドで唸りながら〈攻略本〉を読み耽っていた。

 そして、新たな情報を知った。

〈サブクエスト〉という、俺たちの世界では聞き馴染のない概念がある。

 どうも魔王モルルファイを倒す旅をこの本では〈メインクエスト〉と定義し、対して道中の様々な事件や困った人の依頼を受けることを〈サブクエスト〉と言い表すようだ。

 サブといっても決して侮ることはできない。この〈攻略本〉でまるまる一章使って語られているほど、重要な要素なのだ。

 実際、この〈サブクエスト〉を攻略することでも、〈経験値〉は入るらしい。

 ただ誰かが助かったり、報酬がもらえるわけではなかったんだな。

 しかもこのサブクエクリアによる〈経験値〉獲得の効率は、ボスモンスター討伐には見劣りするものの、雑魚モンスター乱獲より遥かに効率がいいときていた。

 やるしかないな。

 俺は今まではエンゾ村の可哀想な少女を助けてやりたい一心だったり、バゼルフの金槌を手に入れるのにちょうどいいからと〈サブクエスト〉を達成してきた。

 しかし、今日からはしばらく、積極的にサブクエを受けて、クリアしていく必要があるな。


 では、このラクスタではどんな〈サブクエスト〉が受けられるのだろうかと、俺は索引を漁っていく。

『ブナビア洞窟の調査依頼』『〈エクスポーション〉ありませんか?』『お願い! 吸血鬼を倒して』……あるわ、あるわ。

 魔王モルルファイが地上に現れたせいで、困っている人や事件はこんなにも世に溢れているというわけか。地獄の釜の蓋が開いたとはこのことだな。

 わかった。

 俺はそんな彼らを一人一人、救っていこう。

 ついでに〈経験値〉と報酬を稼ぎまくろう。

 方針は決まったな。


 俺は〈攻略本〉を閉じ、ベッドから立ち上がった。

 そろそろ時間だ。

 ラクスティアの王城に、参内しなければならないのだ。

 ボーンドラゴンを斃したことで、メゴラウスの大坑道にはもうアンデッドモンスターが発生しなくなった。再び採掘が可能となった。

 その大功でラクスタの王に城へ招かれ、今夜は俺のために晩餐会が開かれるらしい。

 まったく面倒極まるがな。

次回、各地で大活躍を始めるマグナスに、勇者は何を思うか――


というわけで、読んでくださってありがとうございます!

毎晩更新がんばります!!

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