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「攻略本」を駆使する最強の魔法使い ~〈命令させろ〉とは言わせない俺流魔王討伐最善ルート~  作者: 福山松江
第五章  皆が〈命令無視する〉と嘆く将軍編

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第十九話  自称:共闘(エリス視点)

前回のあらすじ:


マグナスにいっぱい食わされたエリスは、結果として“魔獣狂い”に内通を疑われ、襲われた。

そして空中戦を演じていたそこへ、マグナスが現れ――


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よろしくお願いいたします!!

 城最上階のベランダに現れたマグナスを見て、“魔獣狂い(ビーストマニア)”はあからさまに動揺していた。

 森ではキマイラ軍団とゴーレム軍団が依然戦っているし、まさかマグナスだけが(お付の戦闘メイドもいるけど!)こんなに早くやってくるとは、夢にも思っていなかったのだろう。

 そう、マグナスという男はいつもいつも、想像の数歩先を行き、周囲を驚かせる。

 そこが本当に面白い!


「さあ、やっちゃいなさいな、マグナス。大将首がここにあるわよ?」


 あたしが自分で獣使いの魔女と戦うのはおしまい!

 バトンタッチ!


「ティルト・ハー・ウン・デル・エ・レン!」


 そして、マグナスが呪文を唱え、強力極まる〈サンダーⅣ〉を撃ち放つ。

 ――このあたしに向けて。


「えええええええええええ!?」


 驚き半分、抗議半分の悲鳴を上げるあたし。

 咄嗟に“魔海将軍(バーラック)”からもらった特殊能力を使い、〈サンダーⅣ〉の流れを操り、あらぬ方に逸らしたからいいものの!

 そういうサプライズは要らないから!

 いくらあたしでも面白がれないから!


「どこを狙っているのよ、マグナス!?」

「無論、頭上の敵に目がけてだ、エリス」


 羽で宙を舞いながら猛抗議するあたしに、ベランダに立つマグナスは涼しい顔で答える。


「敵ってんなら、ちゃんと狙いなさいよね!」

「ああ、ちゃんと狙っているさ。“魔海将軍”の魔力と〈天界の宝石〉を持ち逃げした、性悪女をな」

「あそっかー」


 マグナスにとっちゃ、“魔獣狂い(ビーストマニア)”なんかよりあたしの方が、ずっと討伐優先順位高いわけかー。

 うっかりしてたわテヘ。


「ティルト・ハー・ウン・デル・エ・レン!」

「――って待ちなさいよ! こっちは心の準備ができてないんだから、ちょっと手心とか加えなさいよ!」


 あたしは猛抗議するが、マグナスはおかまいなしだ。

 あたしへ向けて、〈サンダーⅣ〉を連発してくる。

 ホント、こいつはこういう奴。

 容赦も斟酌もない、効率の権化。

 そこが面白いんだけど……標的があたしだとやっぱり面白くない!


「あ、そうだ。いいこと思いついた♪」


 マグナスが怒涛の如く討ち放つ〈サンダーⅣ〉を、尽く逸らしながら、あたしはほくそ笑む。

 今はとにかく一発ももらわないようにと、あらぬ方へ逸らしてるだけだけど……。

 同じ逸らすでも、もっと流れを工夫して、“魔獣狂い(ビーストマニア)”の方に向けちゃえばよくない?


「というわけで、どうだ!」

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ」


 あたしはぶっつけ本番で、あたしに向けられた〈サンダーⅣ〉の方向性を操り、“魔獣狂い(ビーストマニア)”へと見事ぶつけてみせた。

 マグナスの超高レベル大魔力に裏打ちされたⅣ系攻撃魔法の破壊力を、半人半獣となった魔女はまともに喰らって絶叫する。


「あはっ、これ面白~い♪」


 マグナスは容赦なく〈サンダーⅣ〉を連発してくるから、あたしはどんどん“魔獣狂い(ビーストマニア)”の方へと逸らして、攻撃する。

魔獣狂い(ビーストマニア)”も翼こそ生やしているが、この電撃を回避できるほどの機動力はないようで、面白いほど当たる。

 そして、当たるたびに絶叫して、のた打ち回る。


 これ、もう共同作業よね?

 あたしとマグナスの見事なコンビネーションといって過言はないでしょう!


「おのれ……おのれええええ、やはり内通しておったか、エリス・バーラックうううう!!」


 ほら、“魔獣狂い(ビーストマニア)”もこう言ってるし?


「呪われろ、エリス・バーラック! “魔海将軍”の恩寵を裏切りし売女! 貴様はこの世で最も唾棄すべき存在だ! 人類よりも度し難い輩だ、コウモリ!!」


魔獣狂い(ビーストマニア)”は負け惜しみを叫びながら、墜落していった。

 あたしとマグナスの勝利である!


「――というわけで、一件落着したことだし、少しお話しない、マグナス?」

「ティルト・ハー・ウン・デル・エ・レン!」

「空気読みなさいよ! というか、あたしに飛び道具は効かない、無駄だって、まだわからない?」

「ハッタリはよせ、エリス・バーラック」


 やっと呪文詠唱を中断し、会話に乗ってくれたかと思うと、マグナスは冷笑を浮かべた。


「おまえのその特殊能力、一回使うごとに〈MP〉を消費しているだろう? ゆえに攻撃魔法を連発することは、決して無駄ではない」


 その言葉に、あたしはギクリとさせられた。

 なんで!? どうして!?

 マグナスはあたしの特殊能力のウイークポイントを知ってるわけ!?


「要は俺の〈MP〉が尽きるのが先か、おまえのそれが先か――それだけの話だ。ああ、言っておくが、俺は〈MP〉を回復させるポーションを大量に持っているが、な」

「くっ……」


 あたしはこんな展開になるとは思ってなかったから、全く用意してないんですけど……。


 これはもうさっさと退散するしかない。

 ないんだけど、これだけは確認しておきたい。


「あたしはあんたが火計で来ると読んで、対策していた。だけど、あんたはそのあたしの対策を読んで、裏の裏の策を用意していた。あたしは自分の策に絶対の自信があったけど、あんたにとってはそんなに読み易かったわけ?」

「さあ。なんのことかな」

「とぼけないでよ! 教えてくれたら、代わりにあたしの知ってる『黒魔女さんたちのちょっとお得情報』を、いろいろ教えてあげてもいいんだけど?」


 これはマグナスにとっても、悪くない取引のはずだ。

 あたしはそう思って提案したのだが――


「不要だ」


 マグナスはきっぱりと断った。

 まるで「そんなものは、訊ねずとも知っている」とばかりの、自信あふれる態度だった。

 なんともミステリアスな微笑を湛えていた。


 つまりはメチャクチャかっこいい「男の顔」だ。

 ああ、こいつマジ面白い!


「フン、()()()()()()ね。じゃあ、いいわよ。あたしは退散させてもらいまーす」


 あたしは内心とは裏腹の憎まれ口を叩くと、これ以上の交渉を諦め、コウモリの羽で大気を一打ちし、その場を飛び去る。

 まだ〈MP〉が残っているうちに!

 マグナスが裏の裏を用意できた理由が、最後まで気になったけれど!

新連載を始めました。


英雄になりたいと一途に願う少年が冒険を繰り広げ、

様々な出会いを経て、

またそのひたむきさゆえに多くの人々に愛され、

中には伝説的な人物もいて、鍛えられ、見守られ、

いつかは英雄譚と呼ばれることになるだろう物語です。


ぜひぜひこちらもよろしくお願いいたします!

https://ncode.syosetu.com/n8723fs/

URLはこちらになります。

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大変ありがたいことに2025年は三作品もコミカライズしていただきました。
どちらもぜひご一読&応援してくださるとうれしいです!
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