表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「攻略本」を駆使する最強の魔法使い ~〈命令させろ〉とは言わせない俺流魔王討伐最善ルート~  作者: 福山松江
第四章  僕に〈命令しないで〉と強がる光の戦士編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/200

第三十五話  エルドラとの死合い(レイ視点)

前回のあらすじ:


エルドラの反乱を鎮圧するため、ベリーを助けるため、レイはマグナスたちとともに城へと馳せ参じ――

「ぜぃ……ぜぃ……ぜぃ……」


 城門前にいた()()()()()()()を皆殺しにした僕は、肩で息をしていた。

 無駄な力みが入りすぎていた証拠だ。


「行きましょう、マグナス。ショコラ。皆さん」


 僕は剣を杖にして休む誘惑を振り払い、仲間たちに声をかけた。

 せっかく城門を突破できたんだ。

 このまま前庭を突っ切って、城内へ雪崩打つべきだ。

 そして、僕一人でも別行動をさせてもらって、ベリーを捜しに行きたい。


 そう思っていたのに――


「まったく露払いにもならん連中だな!」


 呆れ声が聞こえたかと思うと、なんとエルドラの方から、城の玄関口に姿を現した。

 取り巻きの若手騎士たちをゾロゾロと引き連れて、前庭へと出てきた。


「レイ! オレの決起をどうやって嗅ぎつけたかは知らんがな。まあ要するに、オレとおまえには、切っても切れない因縁があるのだろうな」

「勝手なことを言うな、エルドラ! 因縁があるとすればそれは、僕たちが〈光の戦士〉に選ばれたっていう、それだけだ! 後のことは全部、君が勝手に企んだことで、僕がその企みを見過ごせない、許せない、ただそれだけのことだ! 運命なんかじゃない、ただの人為だ! 君の悪意が招いた結果だ!」

「フン、まあ別にそれでもいいさ。とにかくオレにとって、おまえは目障りすぎる。ゆえにここでおまえを討つ」


 エルドラは剣を構えて、宣言した。

 見たこともない、きらびやかな剣だった。

 恐らくは城内で略奪した、大公家秘蔵の宝刀とか、そんな類だろう。


「今度こそ決着をつけよう、レイ。そこで提案があるんだが、オレとおまえの一騎討ちと洒落込まないか?」


 横柄な口調で、エルドラがそう言った。


 僕としては、そりゃ自分の手で懲らしめてやりたい。

 でも、それはあくまで僕の私情だ。今はそんな場合じゃないだろう。


 そう思っていたのに――


「構わんぞ、レイ。君がそれを望むなら、受けて立つといい」


 マグナスがひそめた声を、僕に背後からかけてくれた。


「将軍から借りた兵を三つに分けて、別方向から攻め込ませている。エルドラをここで釘付けにできるなら、悪くない戦況だ」


 ベリーが心配で、僕が一人突出していた間に、マグナスは仕込みをすませていたらしい。

 さすが冷静というか、抜け目がないというか。

 でも、ありがたい!


「わかりました。でしたら、見届けてください」

「ああ。大船に乗ったつもりで、観戦させてもらうよ」

『あんな奴、ブッ飛ばしちゃえですよ、レイ様!』


 マグナスやショコラたちに見送られて、僕は単身、前庭の中心部へと進んでいく。

 エルドラも取り巻きたちを玄関口に残して、僕の方へと向かってくる。


「この間までと、同じオレだと思うなよ?」


 エルドラが肩で風を切りながら、傲慢に告げた。


()()()()()()()()


 惨い手を使って、〈レベル〉が36まで上がったって言いたいんだろ?

 そんなのはマグナスから聞いている。


「……強がるなよ。おまえがいったいオレの何を知っていると――」

「エルドラこそ、決闘の時と同じ僕だって思わないでよ?」

「なんだと?」


 怪訝そうにするエルドラに、僕は答える代わりに剣を打ち込んだ。

〈ファストムーヴ〉。

 一瞬で間合いを詰めて斬りかかる、〈剣士スキル〉だ。

 ロレンスさんから会得した技だ。

 マグナスのおかげでレベル34になった、今の僕がこれを使えば、本家本元のロレンスさんだって見切るのは難しいだろう、それほどの早業だ。


「ぬう!?」


 エルドラはすんでのところで、宝剣で受け弾きながら、刮目した。


「レイ! おまえ、いつの間にこれほど腕を上げた!?」

「お互い見ない間に決まってるでしょ!」


 僕は〈ブラッククレイモア〉を、薙ぎ払うように振るう。

 エルドラは、僕の初撃を咄嗟に受け弾いた代償に、刀身ごと両腕が跳ね上がり、胴ががら空きになっていたのだ。

 そこへすかさず漆黒の大剣を打ち込む。


「クソがああああああああぁっ!」


 エルドラは十メートル以上吹き飛んでいくと、庭の石畳の上を何度もバウンドして転げ回る。


 決闘の時とは僕のレベルも違えば、使っている武器も違うんだ。

 あの時は訓練用の、刃引きした剣だった。

 今用いているのは、強力無比の呪いの大剣。

 覚悟してくれよ、エルドラ?


「勘違いするなよ、レイ! 今のはただの、オレの油断だ!」


 エルドラは跳ね起きると、宝剣を構えて突撃してきた。


「……それさ、逆に恥ずかしくない?」


 僕は〈ブラッククレイモア〉を油断なく構え直して、応戦した。


「神霊プロミネンスよ、我に加護を与えよ!」

「ア・ウン・レーナ!」


 エルドラは彼の固有魔法で、僕はマグナスから習得した〈練気功〉で、互いに自己バフをかけながら五合、十合と斬り結ぶ。

 激しく打ち合いながら、エルドラが調子に乗って話しかけてくる。


「どうした、レイ? 強くなったオレの剣を受けるので、いっぱいいっぱいか?」


 ……は?

 なにそれ? どうやったら、そんな思考にたどり着くの?


「オレがどうして決起したか、知りたいだろう? 普通は訊くもんだろう?」


 ああ、そのことか。


「別にどうでもいいよ」

「……は?」

「もうわかったんだ。君はやることなすこと動機が浅い。だから正直、興味ない」

「ンだとレイの分際で生意気なぁ!?」


 頭に血を上らせたエルドラが、上段から思いきり宝剣を叩きつけてくる。

 僕はそれを冷静に、刀身を横に寝かせて受け止める。


「君こそ、いっぱいいっぱいなんじゃない?」


 受け止めたと同時に、右足に〈硬気功〉を漲らせ、痛烈な膝蹴りをお見舞いする。

 このカウンターがエルドラの腹にモロに決まって、エルドラは堪らずその場にうずくまり、ゲエゲエと胃の中をぶちまける。


「なんでだ……なんでだ……オレはレベル36だぞ……?」

「そうだね。凄いよね。僕より高いし」


 うずくまったまま悶えているエルドラを、僕は剣を構えたまま見下ろし、答えた。


「じゃあ、なんでおまえに通用しねえ!? なんでオレの方がいいようにあしらわれてる!?」

「だって君は、単調に斬りかかってくるだけじゃないか。僕に見様見真似されるのが嫌なのか、スキルさえ使ってこないし」


 僕は今までずっと、自分より格上の、しかも人間に比べて暴力的に〈ステータス〉の高い、ボスモンスターとばかり戦ってきたんだ。

 奴らはいやらしい特殊能力を山ほど持っていて、僕は常にその対処を心掛けてきたんだ。

 わかるよね?

 レベルが二つしか違わない相手の、単調な力技も見切れないようなら、僕はとっくに命を落としている。


「ふざけんな! ふざっっっけんな!」


 衝撃から回復したエルドラが立ち上がり、剣を振り回してくる。

 僕はそれを一つ一つ丁寧に捌き、いなし、〈ファルコンブレード〉でカウンターをとる。


「オレは! オレは光の戦士だぞ!! レベル36だぞ!!」


 エルドラが激昂してわめき散らした。


「〈プロミネンスブレード〉!」


 出し惜しみしていたスキルを、なりふり構わず叩き込んできた。

 恐らくエルドラ専用の、レベル30台で習得できる超高等技。

 宝剣の刀身が、まばゆいばかりの烈光を宿し、大上段から縦一文字に振り下ろされる。

 僕がバックステップで回避すると、空振りした剣が勢い余って地面を打ち、石畳を焼き融かすほどの熱量を発揮する。

 凄まじい威力のスキルだ。


「いいね、それ。こうかな――」

「死ねええええええええええ!」


 僕は見様見真似で〈プロミネンスブレード〉。

 エルドラも二発目の〈プロミネンスブレード〉。

 それが真っ向からぶつかり合い――

 エルドラが一方的に後方へと吹き飛んだ。


 また地面で何度もバウンドしながら、転げ回るエルドラ。

 僕の〈プロミネンスブレード〉の威力の大半は、彼の同スキルの威力で相殺されていたから、その程度の衝撃ですんでいた。


「ごめん、エルドラ。今のは単に武器の差だね」


 僕は〈ブラッククレイモア〉がどれだけ優れた武器か、改めて痛感し、マグナスとバゼルフさんに心の中で感謝しながら、エルドラに謝った。


 一方、エルドラはひっくり返った体勢のまま、呆然となっていた。

 今の〈プロミネンスブレード〉が、彼の切り札なのだろう。

 それすら通用しなくて、ショックを受けているのだろう。


「本当にごめん、エルドラ」


 僕は容赦なく、剣の柄をにぎり直した。

 投降を呼びかけても、無駄だから。

 これほどのことをしでかして、エルドラが死罪を免れるわけがないし、エルドラもわかっているから、降参なんか絶対にしないだろう。


 だったら――と、僕が歯を食いしばったのと、


 フラン・イ・レン・エル――と、マグナスが呪文を唱えたのは、


 同時だった。


「どうしてですか、マグナス!?」


 僕は思わず、振り返って叫ぶ。

 彼が一騎討ちの邪魔をするなんて、そんな卑怯なことをするなんて、とてもじゃないけど、信じられなくて――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拙著「追放村」領主の超開拓のコミカライズが連載中となっております!

こちらピッコマさんのページのリンクです

さらに拙著「完璧令嬢クラリーシャの輝きは逆境なんかじゃ曇らない ~婚約破棄されても自力で幸せをつかめばよいのでは?~」のコミカライズも連載中です!

こちらがFLOSコミックさんのページのリンクです

こちらがニコニコ静画さんのページのリンクです

そして拙著「魔術の果てを求める大魔術師」コミカライズも連載中です!

こちらDREコミックスさんのページのリンクです

大変ありがたいことに2025年は三作品もコミカライズしていただきました。
どちらもぜひご一読&応援してくださるとうれしいです!
― 新着の感想 ―
[一言] 自分からスキルを提供してくれるなんていい奴だなあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ