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「攻略本」を駆使する最強の魔法使い ~〈命令させろ〉とは言わせない俺流魔王討伐最善ルート~  作者: 福山松江
第四章  僕に〈命令しないで〉と強がる光の戦士編

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第二十五話  いざ懐かしの地へ

前回のあらすじ:


レイが呪いの魔剣を試し切りし、ソロでファイアドレイクを撃破!

 試し切りを終えた俺たちは、〈タウンゲート〉を使って王都ラクスティアへ帰還した。


「坊主――いや、レイ。おまえさん、やるのう」

「ありがとうございます、バゼルフさん。この〈ブラッククレイモア〉も、素晴らしい切れ味でした。……不気味なのが玉に瑕ですけど」

「そうか、そうか。そいつもきっと、優れた持ち主と出会えて喜んでおろうよ」

「……ですかねえ?」

【ギケケケケケケケケケケケケケケ】


 などというやりとりをしながら、バゼルフの工房に戻る。


「実はな、バゼルフに頼んで、レイのために(あつら)えてもらっていたのは、剣だけではない」

「本当ですか!? まさか鎧も!?」

「おうさ、〈ブラッククレイモア〉すらをも超える、逸品に仕上がったぞ。我ながら自慢じゃ」

「わあ! うれしいです、マグナス! 早く見たいです、バゼルフさん!」


 喜ぶレイを引きつれ、俺とバゼルフは工房の奥へ進んだ。

 そこに飾ってある、防具一式の前に立った。


 胸当て、籠手、脛当てのみという、レイの機動力は損なわず、しかし要所はしっかり守ることのできる設計。

 美しい白銀色は、素材に〈古代アラバーナ精製ミスリル〉を使ったからだ。ただのミスリル製鎧以上に、着用者に多大な〈魔法耐性〉を約束してくれる。


「凄い! まともだ!」


 目にしたレイが、たちまち瞳を輝かせた。


「それに綺麗でカッコイイです!」

「気に入ってくれたようで何よりじゃ。触ってもいいんじゃぞ?」

「ありがとうございます、バゼルフさん! うわあ! うわあ!! 新品だっ。ピカピカだっ。銀色なのはこれもミスリル製だからですか? でも、ところどころ金色なのは――」

「うむ。要所には〈オリハルコン〉を用いている」

「オリハルコン!」


 レイが感嘆して叫んだ。

 それがどれだけ稀少かは、知らぬ者がいないだろう鉱物だからな。

 俺たちも“魔海将軍”バーラックの船で発見したばかりだ。


「まあ、ワシにもっと腕があったら、総オリハルコン製の鎧も作ってやれたんじゃがのう。許せよ、レイ」

「何を仰るんですか! 既に贅沢すぎですよ!」

「そもそもオリハルコンを扱える鍛冶師自体が、この大国(ラクスタ)でも五人いるかどうかという次元だからな」


 バゼルフは謙遜したが、彼もメキメキ腕を上げている最中だし、俺もせっせと珍しい素材を持ち込んでいるし、いつかは総オリハルコン製の鎧を作るのも、夢ではないだろう。


「装備してみてもいいですか!?」

「当たり前だ。そのために用意したんだからな」

「むしろ、早う着けてみせてくれい」

「本当にありがとうございます!」


 レイは喜々として、一式を装備した。

 誇らしげな立ち姿を、俺たちに披露した。

 刹那――


【でろでろでろでろでろでろでろでろでーんで】


「なんか変な音聞こえたあああああああ!?」

「ああ、興味深いな」

「なるほど、こいつはこんな風になるんじゃのう」

「なんで二人とも冷静に観察してるんですか!? 驚いてないんですか!?」

「そりゃ、〈ブラッククレイモア〉が不気味に笑い出すくらいなんだ」

「こいつも何かしらあるんじゃろうと、察しはつくはのう」

「も、もしかして、この鎧も呪われた鎧なんですか!?」

「はっはっは、ようやく気づいたか」

「かっかっか、レイよ。おまえさん、察しが悪いのう」

「もおおお二人とも他人事だからって笑ってえええ! ああ、脱げないっ。この鎧脱げないよぉっ。助けてェ!」

「〈ブラッククレイモア〉を使いこなした君なんだ。〈武具浄化〉を使えばちゃんと脱げるさ」

「そうじゃ。落ち着けい」


 パニックになる少年を、俺とバゼルフは温かく見守るのだった。


    ◇◆◇◆◇


 レイのために新調した鎧は、古代アラバーナ精製ミスリルやオリハルコンを元に、合成素材として〈魔海将軍の魂〉を用いた一点物だ。

 そう、掛け値なしに世界にこれ一個きり。

〈攻略本〉式にランク分類すれば、SSSとなるだろう。


「銘――〈バーラックメイル〉としようか」


 レイが脱いだ鎧に、バゼルフが彫金した。


 一方、そのレイはやや不貞腐れ気味に、


「それで、この鎧もテストしに行くんですか? 僕、どこだって行きますよ。こうなったらヤケですよ」

「いや、必要ない。〈ブラッククレイモア〉で確認は終わっている」

「じゃあ、予定通りクラウヒルで、ボスモンスター狩りに邁進しますか?」

「いや、それも必要ない」


 俺はゆっくりとかぶりを振った。


「えっ!? じゃ、じゃあ、〈レベルアップ〉計画はどうするんですか!?」

「極めて簡単に()()()()上げる方法が、実はある。それを使うことにした」

「そんなすごいものがあるなら、どうして最初から使わなかったんですか!?」

「ボスを斃して〈経験値〉を稼ぎ、レベルを上げ、〈ステータス〉や〈スキル〉を鍛える。しかしそれだけでは、人は本当の意味で強くなったとは言えないからだ」

「た、確かに……」


 今までの戦いを反芻しているのだろう。

 レイは遠い目になって、うなずいた。


「俺はクラウヒル周辺に棲息する、レベル20台のボスモンスターたちを討伐して、俺と君のレベルを25まで上げる予定だった。同時に、ますます厭らしくなるボスモンスターたちとの戦い方を、君に学んでもらうつもりだった」

「でも、必要なくなった……?」

「そうだ。ファイアドレイクとの戦いぶりを見て、確信した。実は、いつでも助太刀に入れるように、心の準備をしていたのだがな。まるで無用だった。君はレベル20台のボスモンスターが相手でも、堂々と戦い、危なげなく打ち破った。やっぱり君はセンスがあったな、レイ。呑み込みがよく、自分で考える力もある」

「そ、それほどでも……」


 本気で照れるレイに、俺は口元をほころばせながら、


「ともあれ、もはやクラウヒル辺りでモタモタしている必要はないと判断した」

「わ、わかりました。じゃあ、28まで一気に上げてしまいましょう!」

「ああ。その意気だ」


 俺たちはバゼルフに改めて礼を言うと、工房を後にした。

 早速“ナルサイ”号に乗って、王都ラクスティアを発った。

 目指す村へ向かった。

“ナルサイ”号を使えば、すぐに到着だ。


「ひなびた村ですねー。生まれ故郷を思い出します」

「そうか。()()()()というんだ」


 答える俺の声に、どうしても感慨がにじむ。

 この村は、俺にとっても思い出深い場所だからだ。


 俺の、()()()魔王退治の旅の、始まりの地だからだ。


「マグナス。ここで何をするんですか?」

「デストレントというレベル27ボスモンスターを育成し、乱獲する」

「はぇ!? ボスモンスターを育成!? 乱獲!?」

「27とはいえ、楽な相手だぞ? まず〈スリープⅡ〉で眠らせてから、ヘヴィカスタマイズした〈サンダーⅢ〉でとどめを刺すんだ。まだレベル23だった俺でもできたことだし、〈魔海将軍の金貨〉で、君のレベルに合わせても余裕だろう。むしろ、新しいのが一匹育つまで、三日もかかるのが億劫だ。いや、今は〈タウンゲート〉も“ナルサイ”号もあるから、その間よそで何かしているのも手か」

「いや、そういうことを驚いているんじゃなくてですね……」

「驚くのはまだ早いぞ? こいつの〈ドロップアイテム〉がまた美味くてな――」

「ああもう! とにかくやってみましょう! やればいいんでしょう!?」




 俺とレイは協力して、デストレントの育成と乱獲を始めた。

 ほどなく俺はレベル28〈武道家〉に、レイはレベル28〈光の戦士〉にまで成長できた。

 またデストレントからドロップした各種の果実を食べさせ、レイの全ステータスがプラス50ブーストされた。

 こうして俺たちは、城塞都市キロミツへ向かう準備が整ったのである。

 そこは“魔弾将軍”の侵攻を耐え凌ぐ、ルクスン大公国の最前線だ。

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大変ありがたいことに2025年は三作品もコミカライズしていただきました。
どちらもぜひご一読&応援してくださるとうれしいです!
― 新着の感想 ―
[一言] これ、全職業をレベル28にしてしまうのが一番効率的な育成なのでは...
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