第20話
「トリックオアトリート 感想くれなきゃイタズラするぞ!」って言いたかったのに仕上げに時間がかかったせいで、日にちまたいじゃった。
「いってきまーす」
じいちゃんが来て、学校に通うことが決まってから早いものでもう2ヵ月がたった。
学校通いに向けて村長宅でノエルやミーナたちと勉強をする日々だ。
学校に通うことを話したら、ミーナも通うことにしたそうだ。
今は、文章を書く勉強をしている。
この世界の文字は、アルファベットを大分崩したような形で文字自体は覚えやすかった。
しかし、単語によって文字の読み方が英語のように何種類もあり読むのも書くのも一苦労だ。
家で本を読むときなどは翻訳のスキルがついた愛用の眼鏡を使っていたため、最初の方など眼鏡なしで読むことはできなかった。
話すことができるのに、書くことは難しかった。
前世での英語の点数がひどかった俺には単語のスペルを覚えるだけで大変だった。
今は、覚えた単語で簡単な文章を作る練習と単語を覚えることをやっている。
前世での英語に対する苦手意識が抜けないせいで言語関係は壊滅的だ。
まあ、子供の脳みそと言うのは柔らかいようで覚えるのにかかる時間は短いのでどうにかなるだろう。
その一方で、計算に関しては年上の子にも負けていない。というか、勝っている。
足し算引き算から始まりそれができてきたら次は掛け算をやるという風に小学校1,2年レベルのことを習っている。
◇
「はい、みんな今日はこれまで」
うぁー
よーし、終わりだ。
計算問題を何問かといてから、ひたすら簡単な文を読むのとそれを書き写すことをしていたため右手が痛い。
「カイル、早く遊びに行こうぜ!」
片づけをしていたら隣に座っていたアレクが声をかけてきた。
アレクはこの村の中での数少ない同年代だ。
ちなみに、アレクの母さんははパンを焼くのがうまい。
よく遊んでくれているからと、たまにパンを食べさせてもらえる。
最近は勉強会が終わったあとみんなで鬼ごっこ等をして遊んでいる。
同年代の友達と遊ぶのは楽しい。
前世でも、幼稚園に通っていた頃は鬼ごっこばかりやっていた。
今日は遊ぶつもりはなかったのだが、いつまでもしつこく遊ぼうといってくるので、今日も遊ぶことにした。
「片付けが終わってからな」
「そうよ、アレク。早く遊びたいのはわかるけど片付けはしないとダメよ」
アレクをしかったのは、ユーリというこの中でのお姉さんポジションの人だ。
ユーリは、アレクの兄であり、幼なじみであるアルクのことが好きだ。
本人は隠しているようだが、アルク以外にはバレている。
この人を始めてみたときには、その特徴的な水色の髪から水の妖精ウィンディーネを想像した。
ユーリは、アルクと一緒に学校にいったので勉強はできるのでみんなに教えるアシスタントをしてくれている。
「はーい。ごめんなさい」
アレクが叱られるのはいつものことだ。
もう、治る治らない関係なく一応しかっているような感じになってしまっている。
「アレク、お前反省してるか?」
「してる、してるって」
(絶対してないな。はぁ)
「片付けも終わったし、遊ぶか?」
「おう!ユーリ姉も一緒に遊ぼうぜ!」
「私は、ちょっと用事が…」
用事って、どうせアルクに会いに行くんだろ。
あ、そうだ。
「アレク、アルクも誘おうぜ」
「お、そうだな。最近遊んでもらってないし遊んでもらうか」
アレク、生意気だな~。
俺がアルクだったら、殴ってそう。
「で、ユーリ姉は結局用事で遊べないの?」
さて、どうするのかな?
「わ、私の用事は別に明日でも大丈夫だし。今日は一緒に遊ぶことにするわ」
予想通りすぎる反応でつまらないな。
でも、やっぱりユーリ姉からかうのは楽しいわ。
ユーリ姉をからかい、一人楽しんでいるとミーナが不機嫌そうな顔で声をかけてきた。
「カイル、もちろん私も遊ぶからね?」
「ミーナおこってるのか?顔が怖いぞ?」
「怒ってなんかない!」
「そ、そうか」
どうやらミーナは虫の居所が悪いようだな。
触らぬ神に祟りなし、そうっとしておこう。
「じゃあ、お昼を食べてから広場に集合ね」
ユーリ姉がそう言い、俺達は一旦解散することにした。
◇
昼飯を食ってから広場に集合した俺達はアレクとアルクを待っていた。
俺と行きたいと言って付いてきたノエルが一番乗りでついたあと、ミーナ、ユーリ姉の順番でみんながつき残すはアルクとアレクとなった。
ユーリ姉に、さっき勉強したものの中でわかりづらかったことなどについて聞いていると視界の端にアレクとアルクが見えた。
「お、来た来た。遅いぞ、アレク」
「すまん、カイル」
「まぁ、いいけど」
「じゃあ、近くの草原にでもいくか」
「移動するぞ~」
◇
「よし!これで全員捕まえたな!」
鬼ごっこを始めて十数分後、俺達はアレクに捕まった。
アルクが最後まで粘っていたが、5人の鬼が相手ではさすがに無理があった。
死角から近づいていたノエルによってつかまり、第一回の鬼ごっこが終わった。
「カイル、次はかくれんぼしようぜ!」
「いいけど、木の上はあり?」
「ありじゃないときつくないかしら?」
そう言われて見渡してみると、草原と森の境目なため隠れられるものがない。
確かに、きついな。
「じゃあ、じゃんけんするぞ!」
「「「「「「じゃんけん、ポン!」」」」」」
アレクがグー、みんながパーという結果になりまたしてもアレクが鬼になった。
「じゃあ、二十五秒数えるぞ!」
「なんで二十五秒?」
二十五秒という微妙な時間について聞くとユーリ姉が
「最近やっとそこまで言えるようになったのよ」
と言った。
アレクって勉強できないもんな。
しょうがないよな。
そう思って、目を閉じて数え始めたアレクを見ながら見つかりづらそうな木を探して走り出した。
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