第4話
目を開けた男の子は、私をじっとして見上げた。まるで息もしていないような人形のみたいに見えるから、ちょっと気になったが、ただ眠っていただけのようだ。
「あ、ごめん。起こした?」
謝罪しながら、私は男の子をこっそりと窺った。
うん、過度に無表情なもの以外は健康そうね!
「あ、あの……こんにちは」
じっと見られると、片言であいさつをしてしまった。
「……」
「えっと、もしかして痛いところとかないんでしょう? こんな所で寝ていると危ないよ。恐ろしい魔獣もたくさんいるから」
「君は……」
男の子が口を開いた。少し開けた唇も綺麗――なんて、何を考えているんだ!
何だか、恥ずかしい気持ちに顔を下げたその時。
――グルルル。
え。
これは――
獣の気配。いや、それは魔獣だ。
恐ろしい魔獣があると言ったばかりなのに、すぐ現れとは。
このうなり声は覚えがある。
オオカミ型の魔獣。
すばしこく、いつも群れになして行動するために難しい相手だ。
一匹が姿をさらすと、相次いで二、三、四…… 限りない魔獣に囲まれてしまった。
勇者のころは簡単なことだったが、今はどうだろう。
私は落ちていた一本の木の枝を取上げ、立向かう。
が、ぐっと伸ばした木の枝が簡単に壊れてしまう。
「やっぱり、無理かしら」
勇者のころだったら、一気に頭まで貫く一撃だが、今の身体にはどうしようもなかった。
目の前で大きく開いた口の中の鋭い牙が輝く。