1日目の終わりに
その日の夜、彼らのアイドルとしての1日目が終わろうとしていた時、
1期生10人の携帯にそれぞれ伊達マネから連絡が入った。
”明日、早速それぞれのポジションとレッスンについての説明などをするので、今日と同じように神楽坂の事務所まで来てください。 伊達マネより”
ポジション・・・レッスン・・・
これらの言葉を目にしてようやく自分が違う人生を歩み始めたと痛感した10名。
その夜はそれぞれの思いが混ざり合っていた。
中でもひときわ不安げなのが29歳の最年長「藤堂一徹」。
「はぁ・・・・」
部屋にたった1人、ベッドに寝そべりながらため息をつく。
恥を捨ててオーディションを受けに来たつもりだったが、案の定周りは若くて元気のいい少年たちばかりだった。
そんな中で1人、29歳。いわば、オジサンである。
結果的に合格してしまったから尚更不安がつのっている。
自分よりももっと将来性がある子がいたのではないか、と考えてしまったり。
そんな藤堂の心を察したかのように、先ほどLINEのIDを交換した他のメンバーからメッセージが送られてきた。
いつの間にかグループトークが作られており、そこに招待されていたのである。
四条理都:一徹さんこんばんわ。四条理都です。LINE教えてくださってありがとうございます。
四条理都:神楽坂メンバーのグループトーク作りました。ここで色んな事、お話しましょう。
なんだか、故郷に帰ってきたかのような気分になった。
もう普通の生活にはしばらくは戻れないが、他の9人も全く同じ境遇であると再認識できる。
藤堂が返事をしようとする間にも、沢山のメンバーからLINEが来る。
宙太:ここならみんなに見てもらえそうだね
とびきゅー:励ましあおうぜ∩(*・∀・*)∩♪
宗猿モンキー:くだらないことも話していーい?(笑)
宙太:いいんじゃないか?(^_^)笑
じゃむ:じゃむも入れて~?(*^_^*)
四条理都:皆さん早速来てくださってありがとうございます。
「っ・・・みんな可愛かね~・・・////」
やりとりは普通の友人同士。
今日知り合った11人とは思えないくらいの気軽さだ。
藤堂も意を決してメッセージを送ってみた。
藤堂 一徹:不安だらけやけどヨロシク頼むとよ!
すぐに既読がつく。そして、可愛い弟達から次々に返信がきた。
ジョーコージナ:一徹さん!友達追加したいんだが(*´ω`*)
藤堂 一徹:おー!よかとよー!!
じゃむ:一徹さん~!みんなのお父さんとして頑張ってねぇ~(*^_^*)
ユズちゃん:がんばれー
藤堂 一徹:いやーワシに務まるかねぇアイドルなんぞ・・・
宙太:それは今決めるべきことじゃないよ
宙太:せっかく11人もいるんだから支えあっていかなきゃ!
宗猿モンキー:ソラちんがいいこといったーww
支えあい。今決めることではない。
確かにまだアイドルらしいことはしたこともないのに、務まらないなんて思っていては始まらないだろう。
やったこともないのに出来るできないが分かるはずもなかった。
「・・・やってみるかぁ!」
他のメンバーも同じことを考えているのかもしれない。
だからこそ、なんだか心強い。
29歳にしてスタートしたアイドル生活の1日目が終わった。
まだスタート地点にも立っていない。
神楽坂47はこれから始まっていくのである。