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神を呼ぶベル

作者: まりも

 いじめのシーンが多少でてきます。もし、読んで不快な気持になったらすいません。


 私ってきっと学校では透明人間なんだよね。

だって誰も挨拶しても返してくれないし。

でも、そんなはずない。先生はちゃんと返してくれるから。私の物は全てゴミ箱に捨てられる毎日なんだ。今日も生物の教科書、数学の教科書がゴミ箱に捨てられてた。私は学校にいちゃいけない存在なのかもしれない。でも、私存在してはいけないくらいの何かをしたのかな。皆の気に障るようなことしたのかな。もう、学校にいるのが辛い。どうしてお母さんはわかってくれないの?学校休ませてよ。休んだら負けって何?負けてももう良いよ。というかもう既に負けてるし私。誰か助けてよ。 私は今下校途中。

もちろん独りで。

まだ学校の周辺。周りの生徒の視線が気になる。私は小走りを始めた。私は駅に入り、電車に乗った。椅子がいっぱいだから今日は立ち乗り。女子高校生が2人で楽しそうに何やら、男子生徒の話をしている。楽しそうだな。私もあんな高校生活を送りたかった。なんだか、今日は帰りたくない。たまには、寄り道でもして行こう。

 私は次の駅で電車から降りた。そういえばここの駅初めてかもしれない。この駅はあんまり遊ぶ所があるって感じでもないから寄り道で寄るような所でもないから。

でも、何故か今日はこの駅にひかれた。私の他にこの駅で降りた人は数人。もと駅にいる人達もあまり多くないない。何だかどきどきする。私は駅を出た。外にはちょっとした飲食店とコンビニが1つずつある。道は2本に分かれている。道沿いには沢山の家が並んでいる。言わゆる住宅街だ。新築なんだろうな。今時のお洒落な家が並んでいる。私はその住宅街に入っていった。車も人も通らない静かな住宅街だ。しばらくその住宅街を歩いているとひときは目立つ木で出来た古い建物を見つけた。看板には『がらくた屋』と書かれている。……何だかセンスがない。でも、私は何だかこの見せが気になり、ゆっくりと店内へと入った。店内は薄暗かった。何か気味が悪いなぁ〜。見渡すと、見たことのないものばかっりだ。確かにがらくただな……。私は思わず

「クスッ」

と声に出してわらった。

「おや、お客さんかい?」

震えた声が耳に入った。鳥肌がたった。

「ヒィッ!!」

私は思わず小さい叫び声をあげた。

「おや、驚かしっちゃったみたいだねぇ。すまいすまない……」

中から小柄の猫背の白髪頭でボサボサのおばあさんが謝っているのが目にとまった。おばあさんがいるなんて全然気付かなかった……。私はしばらく呆然とした。

「まぁ、ゆっくり見ておゆき……」

とおばあさんは言って店の奥にある小さな木でできた椅子にゆっくりと腰をかけた。

「ありがとうございます……」

こんな店入るんじゃなっかた。他にお客さんもいないしから出にくい。

「この店に入って後悔しているねぇ〜……」

「いぇ……そんなことないです」

あぁ〜やりずらいな。早くこの店からでたい。てか何故かこのおばあさん私の気持わかってるし。

「もう、この年になりゃ、あんたみたいな小娘の気持くらいお見通しだよ」

思いっきり見通されてる……。

「でも……この店に入ったこと、後悔させないよ」

「はい……?」

何このおばあさん!早くこの店から出たい。

「あんたにぴったりな物。見つけてやるよ」

おばあさんはそう言ってゆっくりと立ち上がった。


「いや、あのぉ私そんなお金もってないから買えるかわからないし、そんないいですよ」

私は愛想笑しながら手を振った。

「買うかどうかはあんたが見てから決めるが良いさ。でも……買うだろうね……」

「じゃぁ〜お願いします」

とりあえず、私はそう言っといた。多分買わないって、こんながらくた。おばあさんは店内を見渡すとある一点に視線を止めそこに向ってゆっくりと歩き始めた。そして金色に輝くベルを手に取った。

「これじゃな」

おばあさんはにやりと笑った。

「あのぉ〜別にベルとか興味ないんで……」

「これをただのベルだと思うなよ」

どう言われてもどう見たってただのベルだ。

「これは神を呼ぶベルだ」

「神を呼ぶベル……」

私はそうぼそりと呟いた。

「そう、神を呼ぶベル。あんた、神を信じるか」

「あんまり……」

「なら、信じるが良い。このベルを鳴らせば、神が現われるだろうよ……」

いかにもうさんくさい。

「神も忙しいんだよ。だから神社とかでお願いごとしたって殆ど叶えてくれない。だから、このベルで呼ぶんだよ。そうすれば、願いを叶えてくれるだろうよ。でも……このベルで呼んだ場合は条件付きちなるがな」

「条件……?」

「条件内容はその時で違う。神に条件をきくが良い」

「条件を破るとどうなるんですか」

私は恐る恐るきいた。

「天罰を受ける……」

「天罰ですか……」

胡散臭い。私は天罰とか神様とか信じないタイプだ。でも、何故かこのベルから目が離れない。

「あのーー……これおいくらですかぁ?」

「1500円で良いよ。本当は3000円だがねぇ」

半額。これはお買い得だよね。

「じゃあ、お願いします……」

 買ってしまった。私は今自分の部屋でその神を呼ぶベルを見つめている。絶対騙された。何であの時買ったんだか。どう考えても神を呼ぶとかあり得なさ過ぎだ。まぁ、鳴らしてみるだけ鳴らしてみるか。ベルを鳴らすと

「コーン」

と綺麗な音が鳴り響いた……。言ってることが嘘にしろ、良い買い物をしたかもしれない。

「嘘じゃない」

「えっ」

後ろを振り向くと何処か神秘的な金髪の男が立っていた。

「ウワァ!」

私は思わず叫び声をあげた。でもこの男、結構良いせんいってる。

「叫び声をあげなくても良いだろ?失敬なやつだな」

こいつちょっとむかつく。

「後ろに見ず知らずの男がいたら驚くって」

「ん〜、まぁな。てか見ず知らずとか俺は神だぞ」

「はぁー?何であんたみたいなのが神なのわけ!ナルシストにも程があるっていうか……」

私は首を振りながらそう言った。

「ナッナルシストだぁ?俺は本当に神だ」

男は困った様に眉間にしわを寄せて言った。

「本当にーー?」

「本当だ」

「なら証拠見せてくれたら信じても良いけど」

「良いだろ」

男はズボンのポッケから白い手帳のようなものをだし、私に差し出た。

「これは俺の身分証明書だ」

私はそれを受け取り手帳を開いた。すると男の写真が乗ってあり、『メディス、神、下級』と書いてある。

「うさんくさっ」

「何を言うか!?」

男は私を指差して怒鳴った。

「だってどう考えてもこれくらい普通に多分作れるし。こんなんで信じろって方が無理だって。しかも下級とかださいし」

「なっ!!失敬な奴だな、本当に。仕方ない。神の能力のほんの1部を見せてやろう」

「見せてよ」

私は男をじっと見つめた。

「パチッ」

男が親指と中指をこすらせ指を鳴らした。そして指で1のサインの形を作ると一指し指の上に赤い炎が現われた。

「……」

私は声を出せなかった。だって目の前の男が神って……。あの神を呼ぶベルっていうのは、本当だったんだ。

「どうだ、すごいだろ」

神は偉そうに言った。

「本当に神みたいね」

「そうだ。てかさぁ、神なんだよ、俺。敬語とか使ったら?」

神はやれやれと言わんばかりに首を横に振った。

「だって、神っていっても下級じゃん」

「……。本当に憎たらしい奴だ。まぁ良い。お前、俺を呼んだってことは何かお願いがあるんだろ?」

「上級の神様にお願いできないの?」

私はふっと座り込んだ。

「無理だな」

神も机に座った。

「じゃー。まぁ、下級で我慢する」

「お前なぁ〜」

「人気者になりたい!!」

神は目を大きく開いた。

「……本当にそれで良いのか?もっとぉこぉ有名大学並の頭を持ちたい〜とか…」

「人気者になりたい」

私は下を俯きながら言った。

「どうやら、本当の願いの様だな。良いだろう。人気者にしてやろう。ただし、条件があるのを知っているか?」

神は急に真面目な顔になった。

「知ってるよ」

「さて、何にしようか。ほんじゃあいじめを仕返さない……。てかいじめをしない。本当はこんな条件言うまでもないんだがーまぁ良いだろ。これで良いか?」

「良いよ」

私は深く頷いた。

「これを破った場合、天罰が下る」

「それも知ってる」

何だかめんどくさい。

「ではー……」

何やら神は呪文の様な物を唱え始め、私を指差した。部屋中に光が広がった。

 「あれ……?」

私は部屋の中で横たわっていた。あれは夢だったのか。神なんか本当にいるはずない。

「クスッ」

と私は声に出して笑った。机の上にはあのベルが置いてあった。馬鹿馬鹿しい。神なんて本当に現われるはずがない。明日また学校か。もう行きたくない。辛い。

 「美恵子ーー。起きなさい!!」

あれから1日が明け、今は朝。

「お腹痛い……」

もちろん仮病。もう行きたくない。

「はぁ……。あんたのそれ全部きいてたら、学校に行く日が1日だってないじゃない」

そういってお母さんは布団をはいだ。

「もう学校には行きたくない」

「ここで休んだら、負けよ。それで良いの?」

「もう良いよ!!負けで良いよ!!」

お母さんは腰に手をあてた。

「いい加減にしなさい。ほらぁ」

お母さんは無理やり私の腕をつかんで起こした。

 結局、私は学校に行くことになった。私は重い足取りで学校に向った。教室のドアを開けると中の生徒達の視線を一斉に浴びた。見ないで。もう嫌だ。

「美恵子おはよぉ〜」

え……。私はその挨拶をくれた子の顔を見つめた。

「杉本おはよぉ〜」

「おはよぉ〜」

「ウィッス!!」

次々と私に皆が挨拶をしてきた。私は自然と笑みがこぼれた。

「おはよ……」

神様……ありがとう……。私は涙が出そうになったのをグッと堪えた。

「ねぇ美恵子ーー!!ちょっと聞いてよぉ」

やっと楽しい高校生活がやってきた……。私は自然と笑みがこぼれた。

 半年後……。私は相変わらず楽しい高校生活を送っていた。ある光景を見にするまではーー……。

「ねぇ聞いてぇ!私昨日ー……」

川上さんが何人かの女子のグループに話かけようとしている。するとそのグループは何も言わずノコノコと廊下に歩いていってしまったのだ。私はその時、半年前の自分が頭をよぎった。あの女子のグループの中心的な人物、萌が私がいじめられていた時の発端だった。そう萌がーー……。きっと今回も川上さんを萌が皆に無視しようと言ったに違いないのだ。私は決めたーー。必ず仕返しをしてやると……。

「ねぇ、萌ってうざくない?」

私は何人かの女子に話しかけた。

「あっ!わかる!!めっちゃうざい」

「うん。マジさぁ〜、何様だよ!みたいなぁ〜」

「そうそう」

上手くいった。

「じゃあもう皆で無視しない?」

私はこの時笑顔で言った。

「うん、私その方が気が楽だな」

「私もーー」

「話すと苛々してくるしね」

 「ねぇ、お昼行こ」

昼休み、萌が私の方に来た。でも、私はもちろん何も言わずただ席を立ち2歩、歩いた。

「美恵子……?」

私は萌の方を振り返り思いっきり萌を睨んだ。教えてあげる、あなたのしてきたこと……。それにあなたが苦しむ顔がみたいな。私あなたがどんな気持だったのか知りたい。

「美恵子……」

私はまた前を向いて歩き始めた。萌はこまった様に周りを見回した。するといつものあのグループの方に歩き

「ねぇお昼食べよ……」

と言った。グループは萌を一瞬睨み、立ち去ってしまった。 その後はいじめがエスカレートするだけだった。萌の教科書をゴミ箱に捨てて、萌の悪口を本人に聞こえるように大きな声で言った。

 ねぇ、萌。きっとあなたもこんな気持だったか?他の人がいじめられれば自分はない、自分より下がいるっていう安心感。優越感。罪悪感とか普通は感じるんだろうね。でも、私は罪悪感何てない。だって萌が悪いから。

 「久し振りだな」

後ろを振り向くとあの神がいた。私は今自分の部屋の中にいる。

「忘れのか?俺が出した条件」

「忘れてないよ。でも天罰だろうが何だろうがあいつに仕返しができるなら何でもくらうよ」

私は神を思いっきり睨んだ。

「変わったな。前は何かに脅えてる感じだった」

神は目をゆっきり閉じた。

「そうだね。でも今は何にも怖くないよ」

「だが、俺は前のお前の方が好きだったがな」

神はゆっくりと目を開いた。

「ふぅ〜ん。なら神の力で今の私を前の私に変えたら?」

私はいたずらっぽく笑って言った。

「無理だ。俺は下級の神だからな」

「そうだった。下級なんだった」

「がっかりだよ。お前ならできると信じてた……」

私は

「クスッ」

と声に出して笑った。

「神でもそういうことあるんだ」

「そういうことがなかったら苦労しないよ」

神はスッと肩わ落とした。

「後悔していないのか……?」

「するわけ無いよ。萌が悪いんだから!!神なんだからわかるってるでしょ!私が何をされてきたか……」

私は下を俯いて怒鳴った。

「知ってる。だが、お前もやってしまった以上そいつと同じだ。第1、俺は言ったはずだ。いじめを仕返すな。いじめをするな……と」

「私が萌と同じ?ハハハッ」

私は大声で笑った。

「何を言い出すかと思えば……。まぁ良いや。私にとって私がどう見られるなんて問題じゃないし。萌の苦しむ顔を見たい。萌がどんどん追い込まれていく顔が。私がどんな気持だったのか教えてあげるんだ。私も知りたい……。萌がどんな気持で私にあんなことをしていたのか……」

私はニヤっと笑った。

「もはや、お前は天罰を受ける資格もない」

神はそう告げると光が部屋を包み込んだ。

 目が覚めるとそこは何時も通りの私の部屋だった。さて、今日はどうやって萌を苦しめよっかな。あの神が言った意味、どういう意味なのか私にはわからない。まぁ、良いや。机の上にはもう金のベルは無かった。

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