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この教科書に、恋の答えは載ってない  作者: A:write
第一章 春に出会って、それが続けば良いと思った‥‥‥。
2/3

第一話 これを、感動っていうのかな?

 五月なり、満開だった桜は少しずつ散っていき、桜色だった樹には緑が混ざり出していた。


 俺は色んなことに関する手続きやらで忙しく、高校の入学式にも参加できなかった。


 病院で看護婦の人たちは、五~六月にある程度の関係が始まるらしい。


 つまり俺は、出遅れたのだ。


 始まりからあんまり良い流れではない。


 とは言え、今から巻き返せるだろうと信じて、俺は新生活を始める。


 家は安売りの二階建て木造アパート。


 雨漏りしたり、地面が抜けたりするボロい家だけど、同じ高校の人ばかりが住んでいるから仲良くなるには良い場所だ。


 風呂、洗濯機、台所は共同で、食事は集まってすることが多いそうだ。


 俺の部屋は二階の一番奥/206号室だ。


 六畳一間の俺の部屋は、病室よりは狭いけど、大の字で寝転がると広く感じる。


 こんなに自由に動ける日が来るなんて、思ってもみなかった。


「さてと、荷物を整理するかな」


 一人暮らしに伴って、布団や机などの類は引越し業社に任せいてたため、多くのダンボールが部屋の隅に溜まっていた。


 俺は一つずつ開けていき、そして至る所に配置していった。




――――――数時間後。


「ひとまずはこんなものかな?」


 窓を開けるとだいぶ暗くなるまで俺は部屋の整理をしていた。


 部屋は必要なものがある程度置かれているような感じになった。


 机、ちゃぶ台、本棚、クローゼット等があちこちに置いてあるけど、クローゼットの中はまだ高校の制服しか入っていないし、本棚も教科書しかない。


 この部屋もまだ、始まったばかりなんだと感じた。


 ――――――コンコンッ!


「あ、はーい!」


 ドアがノックされた音がし、俺は返事をしながらドアの前に向かい、ドアノブを捻って引く。


「よっ!

 夕飯の時間だから、そろそろ降りて来い」


 そこにいたのは、俺よりも二歳年上の三年生で先輩/倉橋くらはし しゅう


 部屋は俺の二つ隣の204号室で、この寮の管理人を代理で行っている。


「分かりました。

 今行きます」


 そう言って俺は部屋を出ると、倉橋先輩と共に一階の台所に向かった。



***



「お、きたな!」


「待ってました!」


 台所に着くと、既に寮に居る人のほぼ全員が集まっていた。


 この寮は全員で五人で、俺を含めて六人になる。


 三月までは満員だったらしいけど、他は全員卒業して上京しているので空きが多いらしい。


「さぁ~って!

 そんじゃ始めますか!」


「え?」


 考え事をしているうちに倉橋さんが話しを進めていたようで、俺は置いてけぼりになりながらみんながワイワイしているところを眺めていた。


「何つったってんだよ!?

 早く座りな!」


「は、はい」


 俺は言わるがままに椅子に座った。


 テーブルには既にご馳走と呼べるような食べ物が大量に置かれており、お腹が音を鳴らしている。


 俺が料理に目を奪われていると、みんなはジュースの入ったコップを持って立ち上がる。


「え、え?」


 何が何だか分からない俺はキョロキョロと目を泳がせてしまう。


 すると倉橋先輩が注目を集めるために咳払いをすると、笑顔で言った。


「こほんっ!

 え~それでは、我が夜桜荘に入った新たな入居者を祝して――――――乾杯!!」


「「乾杯!!」」


「え、え!?」


 今になって俺はやっと状況を理解した。


 みんなは、俺を祝ってくれたんだ。


 新しい人を喜んで迎え入れてくれた‥‥‥そう捉えていいのだろう。


 なんだろう?


 そう考えると、言葉にできないような感情が胸の奥から沸き上がってくる。


 これを、感動っていうのかな?


「‥‥‥みんな、ありがとう」


 そう言うと、みんなは笑顔でコップをこちらに向けてきた。


 俺は応えるように炭酸飲料の入ったコップを持って、前に突き出した。


「改めて自己紹介。

 俺の名前は――――――嶌津しまづ 界人かいと




――――――これが、俺の新しい寮生活の始まりだった。

どうもです。


第一話、読んでいただきありがとうございます。


今回は主人公と寮長の名前を出しました。


この細々とした設定はある程度のキャラが登場したらってことでお願いします。


それでは次回、ようやく女キャラが登場する‥‥‥予定です。

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