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Colorful  作者: さわうみ
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 夜10時を過ぎて祖母が風呂へ向かったタイミングで、黒川も帰ることになった。智也は外まで見送りに出た。

「黒川さん、今日はありがとうございました」

「こちらこそ。一緒にでかけられて楽しかったし、夕飯も美味しかったよ。ありがとう。ほら、冷えるし、もういいから」

 確かに夜になって気温が下がり、肌寒さは増しているのだけど、帰ろうとしている黒川を見ていると離れがたい気持ちになるのだ。

「見送りたいからいいんです」

「帰って欲しくないって色が出てる」

「そんな色ありません!!」

「ちぇ、バレたか。……智也、ちょっとだけ車に乗って」

「? なんでですか?」

「いいから、おいで」

 黒川が後部座席のドアを開けたので、促されるまま乗り込む。智也のあとに黒川も乗り込んでドアを閉めると、人通りがないことを確認してから、そっと抱きしめられた。耳元に声が落ちてくる。

「また会ってくれるか?」

 コクンと頷いて答える。それを受けて、黒川の抱擁がきつくなる。

「このまま連れて帰りたい」

「……」

 無言のまましばらくそうしていたが、やがて黒川の身体が離れた。一呼吸置く前に、ついばむように口づけられる。

「怒らないんだな」

「え?」

「キスしても怒らなかった。嫌じゃないってことだろ?」

「!! 違っ」

「なんだよ、嫌だったのか?」

「嫌じゃ、ないけど……もう、黒川さん、ずるい」

 恥ずかしさでうつむいて黒川のパーカーの裾を掴むと、「そういうところが好きだ」と言って、もう一度軽いキスをした。


 黒川の車を見えなくなるまで見送ってから、家に入る。祖母と入れ替わりでお風呂に入り、湯船に浸かりながら今日の出来事を思い返してみる。

 とても満たされた気分で、心地が良い。触れ合う唇の感触を思い出すと、また胸の奥がチリチリとした感じになった。次はいつ会えるのかと思うと、待ち遠しいような切ない気持ちになった。


 その夜は、黒川のことを考えながら、深い眠りについた。




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