エピソード 3
眠りにつくと、また夢に引っ張られる感覚に見舞われる。
目を開けると昨日見た少年が私をじっと見ている。
「聞こえてる?」
あっ昨日の少年だ。やっぱり綺麗な子だな.....
「あっ、ヤベっ、敬語。敬語。えっと....すんませんいきなり、俺から話します。俺は.........俺の名前はリヒトです。それ以外は分かりません」
彼の言葉を聞き、まだ目覚めていない頭で反射的に答える。
『こちらこそすみません。私は.........ソ、ソラです』
少し恥ずかしかったが夢くらいはと憧れのあの人の名前を自分で言い胸がドキドキしている。
「あっ....えっと、ここ何処だか分かりますか?」
その問いにもう一度辺りを見渡す。
やはり森しかない。
お互いの顔を見合わせて気まずそうに笑う。
『あの、実は私もここに来たばかりで分からないんです。』
そうですか.....と言われ、また気まずい時間が流れる。
よく見ると私も彼も顔は良いのに服装がゲームの初期衣装のようだ。
『な、なんかこの服ゲームの初期衣装みたいですね』
と思ったことをそのまま口に出して言ってみる。
すると少年は梅干しを嚙んだような表情を浮かべ、
「ゲームはあんまりしないんっすけど.....ダサいっすね」
えっ
ダサいのだろうか......あまり服に敏感な方ではないが、確かに言われればダサいのかもしれない。
『えっと......そ、そうですね。ちょっといい服とは言えないかもですね』
と答えてしまい、またやってしまった。と思った。
せっかくあの人の姿になっているのに思ったことを濁し、はっきりした答えを出来ていない自分にイラつきを覚える。
すると次は、ビックリするくらい大きな声で彼が言う。
「マジでそれ!なんだよ、このだっさい服!せっかく”リヒト様”になれてテンション上がってるっていうのにもっとあるだろうが!王子みたいな服とかさ!せっかくめっちゃ可愛い女の子いるんだからさ、女の子の服もお姫様みたいだとかさ!そしてなんで森なんだよ!こんなかわいい女の子とこんなカッコいいリヒト様が森にいるなんて変だろ!」
ん???
この人今なんて?
”リヒト様になれて”
もしかして、この人も私と同じ?
『あ、あの....!もしかして、貴方も夢を見ているんですか....?』
私の意味の分からない語彙も何もない質問に彼は驚いた表情を浮かべる。
「.................はっ?”貴方も”って.....これは俺の夢だろ....?俺が紳士で超強い吸血鬼でアンタがヒロインの夢だろ.....?」
私を指さして彼が答える。
その言葉を聞いて確信した。
彼は、私と同じ、理想の自分になってこの夢の世界に来たんだと.....




