表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

性格が変わっていく僕を君は好きになってくれた!

作者: 七瀬
掲載日:2026/02/03






”性格が変わっていく僕を君は好きになってくれた!“




僕はつい最近、心臓移植を受けたばかりだった。

それまで僕の心臓は鼓動が弱く今にも止まりそうになっていた。

ずっとドナーを待っていたけど、もう少し遅ければ僕は亡くなって

いたかもしれない。

いつも顔色は青白い顔で血の気が引いていた。

唇は白くいつも乾いていたのだ。

ベットからなかなか起き上がる事も出来ず、殆どの時間はベットで

寝ている事が多かった。

たまに僕を看護婦さんが車椅子に乗せて日差しが優しく差す頃に

散歩に連れ出してくれたのが僕の唯一の楽しみになっていた。

鳥の鳴き声や小さな花が風で揺れているトコロや子供達の笑い声

が近くで聞こえるとなんだか幸せを感じる。





そんな中でやっと僕の新しい心臓がやってきた!

でもそれは同時に、”誰かが今亡くなったという事。“

病気で亡くなったのか? 事故で亡くなったのか?

僕の体に新しい心臓が移植される。

そして数日、僕の体で新しい心臓が馴染んできて顔色もよくなり

歩く事も普通に出来るようになった。

今までは少し歩くだけで凄く息が上がり心臓に負担がかかり

苦しかったのに今は何にも起きない。




『じゃあー東条君、来週! 退院しようか。』

『えぇ!?』

『でも、月に一回は病院で検査はしてもらうけど。』

『凄く嬉しい! 僕やっと家に帰れるの!』

『そうだね、もうかれこれ20年以上は入退院を繰り返してる

からな~そりゃ~嬉しいよな~!』

『やっと家に帰れるんだ!』

『これで、家でゆっくりと過ごせるね。』

『うん! 全部、五ノ一先生のおかげだよ。』

『しかし? まだ、無理しないようにね!』

『分かったよ! 先生、長い間お世話になりました。』

『お大事にね!』

『はい!』





僕はこうしてやっと退院し、家に帰る事が出来た。

なかなか今まで家族そろってご飯を食べる事がなかったから、

皆で食べるごはんがこんなにも楽しいなんて忘れてたな。

父さん母さん2つ下の妹の4人で同じテーブルでご飯を食べる。

どれぐらいぶりにこんな美味しいご飯を食べたのだろう?

その後は、お風呂に入ると? まだ傷口は残ってはいるけど、

これもだんだんと薄くなっていくのだろう。

心臓に痛みもないし苦しくもない喜び。

それまでは息をするのもしんどくなる時もあったのだけど、

今は殆どの事は平気に出来てしまう。






 *





・・・そして、心臓移植をして1年後。

僕はアルバイトを始める。

まだ立て続けに仕事に入る事は難しい。

でも簡単な仕事で週に3回ぐらいなら心臓に負担はかからない。

それと同時に僕の好きな食べ物や好きなモノが変わっていく。

僕が心臓移植をする前は、”ご飯が好きで和食が特に好きだったのだが、“

移植した今は? ”ジャンクフードが好きになった!“

時間があれば、マクドナ○ドやバーガーキ○グでハンバーガーを買って食べる。

それに移植前は、”静かな場所が好きだったのに、今は人が多いトコロが好きで

バイト仲間と一緒にお酒を飲みに行くのが今は好きだ!“

更に言うと? ”女性のタイプも変わってしまい、移植前は黒髪で眼鏡をかけた

ミステリアスな女性がタイプだったのだが、今は派手な格好で金髪のお姉さん

が好きになった。“

明るくて周りの人を明るく出来る女性ひとに魅力を感じる。

何故僕はこんな風になってしまったのだろう?

”きっとこの心臓の持ち主がそうだったのかもしれない。“

僕の元の心臓の持ち主はどんな男性ひとだったのだろうか?

僕の性格が変わっていく中でそう思うようになった。



そんな時、一人の女性ひとと僕は出会う。

彼女は僕を見るなり、何かを感じたらしい。

それは同時に僕もそうだった。

何か以前から知っているような感じをはじめて会うこの女性ひと

感じたのだ!



『”ど、どこかで会った事がありましたっけ?“』

『今、僕も貴女と同じ事を思いました。』

『なんだか以前から知ってるような?』

『僕もそう感じています。』

『初めて会う人にこんな事を聞いたら失礼かもしれないんですけど?

ひょっとしたら、心臓を移植されたりしましたか?』

『えぇ!? 何故、それを貴女が知ってるんですか?』

『”やっぱり。“』

『やっぱり?』

『”あなたに移植された心臓は、私の彼氏のモノだったんです。“』

『スミマセン!』

『何故あなたが謝るんですか?』

『だって、貴女の彼はもう亡くなったてるんでしょ?』

『”生きてますよ。“』

『えぇ!?』

『”あなたの体の一部として今も生きてます!“』

『じゃあ、彼の分まで僕はちゃんと胸を張って生きて行きます。』

『そうしてください、きっと彼も天国で喜んでますよ。』

『今日は、貴女に出会えて良かったです!』

『私もです。』







・・・これがきっかけで彼女と僕は仲良くなり付き合うまでになった。

彼女は最初、僕と付き合う事に抵抗があったらしい。

見た目は僕で、中身は亡くなった彼だったからだ!

僕の性格は完全に彼女の亡くなった彼に近いぐらいまでに

僕の性格はなりつつあった。

そのうち何もかも亡くなった彼になるかもしれないという恐怖を

僕は感じるようになる!

彼女からしたら、僕と一緒に居ると亡くなった彼と一緒に居るような

錯覚をするらしいんだ。

クセや仕草や話し方も口癖まで彼になっている。

僕は彼に体を乗っ取られているのか?

彼女が好きなのはやっぱり”今の僕ではなく亡くなった彼なんじゃないのか?“

このまま行くと僕は彼になるかもしれない!

移植して良かったのか悪かったのか今は考えただけで凄く怖くなるんだ。

”僕はこの先、どうなっていくのだろう?“ と。




最後まで読んでいただいてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ