第2話 涙の橋
第2話を読んでくれてありがとうございます。
翌日、ルカのいる病室に入るとルカは外を見つめていた。
「ルカ、おはよう」
「おはようございます」
文乃が笑顔で挨拶するとルカも笑顔で挨拶を返した。
「さっき、退院の手続きしてきたから帰る支度しなさい」
「はい」
数分間で支度をしていると文乃がプレゼント箱を見つける。
「あら、このぬいぐるみは?」
「わかりません。目が覚めたらあったんです」
文乃がメッセージカードに目をやると『ルカへ』と書かれ裏を見てみると何も書かれていなかった。
支度を終え、ルカと文乃は車に乗り双葉孤児院へ帰る。
「着いたわ。ここが双葉孤児院よ」
「ここが……」
「それじゃあ中に入ろうか」
ドアの鍵を開けると子供達がわいわいと楽しく遊んでる様子が見えた。
「それじゃあ、ルカの部屋を案内するから、着いてきて」
「はい」
案内された部屋に入ると家具がほとんどなく殺風景な部屋だった。
「ここがあなたの部屋よ。ゆっくりしてね」
「ありがとうございます」
自分が住んでた場所、自分が使っていた部屋。分からないのに、見覚えもないのになんとなく落ち着く。
ふと、勉強机を見るとそこには自分と自分よりも小さい女の子と男の子の写真があった。女の子は満面な笑みを見せ両手でピースをしていたが男の子は照れたように顔を少し横に向けた状態で写っていた。そして、自分を見ると自分は真顔で正面を見つめていた。
「この2人は誰だろう……」
(とても懐かしい……)
ベッドに座りながら見つめていると隣から声が聞こえた。
「このお二人は誰ですか?」
「分からない……」
(ん?今、この部屋にいるのは私だけだよね?)
恐る恐る、声のする方へ向くとクマのぬいぐるみがいた。それも、立って写真を覗いてるのだ。ルカは恐怖のあまり固まってしまった。
「ぬいぐるみが喋った……」
「ぬいぐるみが喋る?そんな非科学的な事この世界でできるんですか?それに私は、そのような声聞いてませんけど?」
ぬいぐるみはキョロキョロと見ながら話すと、ますますルカは怖くなり思わずぬいぐるみを投げて布団の中に潜った。
(これは、夢だ!これは夢だ!)
ぬいぐるみはルカが入った布団をあげルカを見つめた。
「現実逃避するのは構いませんが夢ではありませんよ」
「どうして……。私の心を……」
「私は、お嬢様の為に作られた特殊魔法道具です。私と貴方は絆で結ばれてます。なので、なんでも、分かりますよ」
ぬいぐるみは笑顔をルカに見せるとルカはぬいぐるみに質問した。
「なら、私が今何考えてるのか当ててみて」
ぬいぐるみはしばらく無言になり口を開いた。
「私を罵倒しすぎではありませんか?」
「本当に読めるんだ……」
ルカは布団から顔を出して体を起こす。
「あなたは一体……」
「私の名前はシュシュ・ムーアと申します。気軽にシュシュとお呼びください」
シュシュは気品のあるお辞儀をしてルカに挨拶する。その直後、ノックが聞こえルカは咄嗟にシュシュを布団に隠し文乃が部屋に入ってきた。
「これから夕食だから食堂に行くわよ。案内するから着いてきて」
「はい」
文乃の跡をついていくと食堂につきご飯の貰い方やどこで食べればいいかなどを教わった後に、文乃と別れルカは会いてる席に座ってご飯を食べ出す。すると、見覚えのない3人の女子がルカの元へ歩いてきた。
「なーんだ生きてたんだ。一ヶ月も帰ってこないから死んだのかと心配してたのよ?無事でとても良かったわ」
「そうよ、私もあなたが無事で良かったわ」
3人はルカに対し心配しているように見せながらもルカのことを心の底から嘲笑うかの如く笑みを浮かべている。
「聞いたんだけど、あんた記憶喪失なのよね?私がご飯を食べるのを手伝ってあげる」
「美咲、優しい」
三人はルカを見つめニヤニヤ笑い、美咲が近づいてくる。
(鬱陶しい……)
「手伝わなくても食べられるので大丈夫です」
「この私が助けてあげるって言ってるのに断んの?」
美咲はルカの言葉にカチンと来たのか少し顔をしかめる。
「私はそれを余計なお世話って言ってんの」
「はぁ?いいから貸してみなさいよ!」
「あ、ちょっと……」
ルカがお味噌汁を食べてると美咲が手を出し味噌汁を引っ張る。その反動で味噌汁は美咲の服にかかってしまった。
「嘘……」
「やば……」
樹里とあかりは、美咲の服に味噌汁がかかってしまったことに顔を少し顔を青ざめていた。
「……」
みんなは、ルカと美咲達の騒ぎにざわめく。
「あんたが引っ張ってこなかったらこんなことにならなかったのよ」
「……。ふざけるんじゃないわよ!これは私のお気に入りん服なのよ!それをあんたがさっさと渡せばよかったのにさっさと渡さないからこうなったんじゃない責任取れよ!」
美咲は顔を真っ赤にしながら、ルカの髪の毛を掴んだ。
「痛い!」
「あんたこれ弁償しなさいよ!」
ルカの髪を掴み思いっり美咲はルカに叩こうとしたが突如、女の子がルカの前に「やめて!」と言い両手を広げ美咲が叩こうとするのを止めた。
「梓、私を止めるき?」
(この子……写真に乗ってた女の子?)
ルカの前に立っていたのは写真に載っていた 1人の女の子”梓”だった。
「今さっき、アヤトお兄ちゃんがこのことを伝えに行ってるから文乃先生がもう少しで来るよ」
「はぁ?!梓、あんた余計なことしやがって!」
「梓、私の大切な服を汚したのはこの女なのにこの女の味方になるの?」
あかりが梓に手を出そうとしてたのを咄嗟に腕を掴んで止めた。
「ルカ、テメェ」
「これは、私とあなた達の問題よね?この子は何も関係ない」
「あんたは前からうざいんだよ!もうここからでてけよ!」
ルカの事を嫌っている人達が樹里に合わせて「出ていけ!」何度もいい続けた。梓は何度も『やめて!』と言っても止まることはなくずっと続いていた。
(ここには私の居場所はない……)
唇を強く噛み締めた後、梓の肩にポンッと手を置き「ごめん」と言い残しその場を走り去ろうとすると食堂の入口には文乃ともう1人写真に写っていた男の子が立っていた。急いできたのか少し息を荒らげていたが、ルカはそれを気にせず走り出すと、『ルカ!』と叫ぶ文乃の声と『ルカ姉!』と叫ぶ男の子の声がした。
10分くらいだろうかルカは闇雲に走り、すぐに疲れてしまった。ルカは土手に腰をかけ蹲りながら泣いてると「キュイキュイ」と不思議な声が聞こえた。ルカは顔を上げて声のする方を見ると草むらに10㎝ほどの黄色に光る毛玉がいた。
「毛玉?」
「キュイキュイ」
毛玉はルカの周りをくるくると飛んでいた。毛玉を見るとルカは少しずつ気持ちが落ち着いてく感じがした。そして、ルカは毛玉に話をかける。
「不思議な鳥ね。それに、懐っこい。どこかで飼われた鳥かしら?でも、鳥にしても翼は……?」
珍しい鳥なのか考えていると『キュイキュイ』と泣き始める。
「やっぱり鳥にしても翼が……翼がないー?!」
ルカが突然大声を出して驚いていると毛玉はルカの声に驚き遠くに行ってしまった。
「ご、ごめん」
ルカは急いで毛玉の元へ駆け寄り謝った。すると毛玉はゆっくりとルカの目の前でフワフワと浮いていた。
「私はルカ、あなたの名前は?」
「キュイ」
(当たり前だけど、言葉がわからない……)
「毛玉みたいに見えるから毛玉って呼ぶね」
「キュイ〜」
少し間が空いたがルカは川を見つめながら毛玉に愚痴をこぼす。
「私、嫌われてるみたい」
「キュイ?」
「『でてけ』って言われたの。あそこには私の居場所がないんだってわかったら、胸のあたりがとても苦しくて……。握り潰されそうな感覚で痛くて辛くて……」
「キュイ〜……」
「少しの間、1人になって落ち着こうと思ったんだ」
ルカは毛玉に苦笑いをすると自然と涙がこぼれた。
「あれ?泣くつもりはなかったけど涙が止まんないや……」
流れ続ける涙にルカは必死に涙を止めようとした。すると毛玉はルカの頬に触れた。その瞬間、今までの不安などが一気に爆発し泣き続けた。数十分が経った後、ようやくルカは落ち着きを取り戻し涙を拭った。
「ありがとう、そばにいてくれて。お陰でスッキリしたわ」
ルカはフフっと笑うと、毛玉はルカの周りしばらく回り初めた。その後、橋の下へと案内するかのようにしていた。
「ついてきて欲しいの?」
「キュイキュイ」
毛玉はルカの言葉を返すかのように泣く。ルカは後を着いていくと橋の下に着き、毛玉は急にパッと消えてしまった。毛玉が消える瞬間、『一人じゃないよ』と女の人の声がきこえた。ルカはびっくりして辺りを見渡すがそこには毛玉の姿がなかった。ルカは寂しそうな顔をして地面を見るとそこには濃いめの緑色をした綺麗な石があった。ルカはそれを拾い上げ『綺麗』と呟く。
そんな光景を橋の上で寂しそうな顔をした男性が見つめていた。そこには先ほどいた毛玉が浮いてこの世界の常識から外れた服装の男性に擦り寄っていた。男性は『ここにいることがあの子にとって幸せなのかもしれない』と呟いた。
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