断罪イベント365 ― 第11回 魔道具爆発
断罪イベントで365編の短編が書けるか、実験中。
婚約破棄・ざまぁの王道テンプレから始まり、
断罪の先にどこまで広げられるか挑戦しています。
壇上の王子が、堂々と胸を張る。
「本日、婚約者アメリア・グレイスを――断罪する!」
どよめく会場。
けれど、すでに観衆の注目は、
王子の隣に立つ麗しき令嬢、
カミラ・フォン=ルシアの手元に集まっていた。
「こちらが証拠の魔道具ですわ」
そう言ってカミラが取り出したのは、光沢のある黒い箱型の物体。
「婚約期間中にアメリアが別の男性と逢引していた場面が、
こちらに録音されておりますの」
観衆「ほほぉ~」「また魔道具来たぞ」
「前回はカラオケマイクだったよな?」
ざわつく中、王子が頷いた。
「確かに、これが証拠だ。では再生を――」
カミラが魔道具の上部に手をかざした瞬間だった。
――ドンッ!!!
突如、眩い閃光とともに魔道具が爆発した。
衝撃音と煙、そして王子とカミラの絶叫。
「きゃああああっ!!」
「ぐわっ、目が、目がぁっ!」
煙が晴れると、王子の髪はふんわり逆立ち、
カミラのドレスは裾が焦げていた。
会場中が唖然とする中――
観衆の誰かが、ぽつりと呟いた。
「……ド派手な自爆だ」
別の誰かが続ける。
「爆弾証拠って……マジかよ」
「むしろ婚約者が無実を証明されたのでは?」
「いやこれ、逆ざまぁ案件」
爆煙の中、アメリアは冷静に一礼した。
「私は、手品のような断罪より、誠実な対話を望みます」
観衆「カッコいい……!」
「スモークの中から出てくるとか、ヒロインじゃん!」
王子は焦げたマントをはたきながら叫んだ。
「ま、まだ終わりではない! 予備の証拠が――」
「爆発物持ち込み禁止でーす!」
会場警備隊が王子とカミラに詰め寄り、撤去モードに突入。
王子「えっ、えっ、私が主催なのに!」
観衆「ド派手に退場してもろて」
その日、断罪イベントは煙とともに空中分解した。
可哀そうな王子・・・
また魔道具壊れた
婚約者、煙の中からの登場で株爆上がり・・
あの魔道具、高価だったのに。
また経理から怒られる。
読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m