第1話 引っ越し
今回始めての投稿です。よろしくお願いします。
この世の生物は常に「死」が隣り合わせにある。生物はいろいろな種類があると思うが、大体は同じ場所に流れ着く。
ジリリリリリリリリ!!!ジリリリリリリリリ!!!
男は目を覚ました。そこにはやっと見慣れた世界が広がる。
男は「ふぁ〜」とあくびをしながら着替えをし今から出勤するところだ。
「さて、今日も行きますか」
男は玄関を開け出かけていった。
男は会社に着くと自分の担当のファイルから数枚資料を取り出し、カウンターへ向かい、魂達の苦情を聞き、資料通りの言葉で返し....ん?ここはどこだって?あぁそうだったな。
ここは魂の市役所みたいなもんだ。魂はみんな生まれると人間みたいに戸籍の登録が必須なんだ。それを管轄するのがこの仕事。この仕事は昔残業必至のブラックな仕事だけど今はそうでもないらしいぜ。ん?今度はなんだ?あぁ。あれか。あの2つの出口はもう成仏していなくなるか、もう1回やり直すか選べる場所だよ。ほら、わかったか新人。まぁ実際に見てもらったほうが早いかな。よし、じゃあ試しに今入ってきた魂を見てみるか。
ん?ここはどこだ?今通学中で...確か外が暑くてフラっとして...駄目だ。思い出せない。でもここは明らか通学路じゃないな。変な光の粒子もあるし。
「って、うわぁ!ごめんなさい」
あれ?今前から来た人とぶつかったはずだけど...
「透けた?」
よく見ると体が半透明になってる。ってことは...
「俺、死んじゃった...のか?」
つまり俺って熱中症で死んだってコト?いや、死因しょうもなすぎだろ。...って何一人で脳内会話してるんだ。らしくない。
「なんだこの列?」
たくさんの魂が列を作っている。ここに並べばなんかあるのか。見た感じ先が見えない。どこまで続くんだ、この列。
おっと。もう自分の番か。500メートルぐらいの列だったけど、案外早く終わるんだな。
「いらっしゃいませ。初めてのご利用の方ですか?」
カウンターの従業員は営業スマイルで話しかけてきた。
「あ、ハイ。そうですけど...」
とポカンとしながら話していると、従業員がカウンター右の機械を指さして、
ではそこの端末から顔認証と個人情報の入力を行ってくださいと言った。未だに状況を理解していないまま、とりあえず言われた通りにすると、従業員が機械と連携されてるモニターを見て
「熱中症で死亡ですか〜可哀想に」
と笑いをこらえて言った。おいおい。やっぱりしょうもない死に方だったのかよ。ますます自分が惨めに思えてきたぜ。
次に従業員は、紙を取り出し
「では、こちらの2つのプランからお好きなプランをお選びください。」
と言った。紙を見てみると、プランAとプランB というものがあるということがわかった。
プランA→人生に別れがついた人用。静かに眠りにつけます。
プランB→人生をランダムにやり直すことができることができます。
となっているようだ。いや、死因バカにされてプランAはないでしょ。
「じゃあ、プランBで。」
僕がそういうと従業員は左の出口に俺を案内し、
「では行ってらっしゃいませ。」
とだけ言い、自分の持ち場に戻っていった。素っ気ないなぁと思いつつ俺は左の出口を通ると、いきなり目の前が光に包まれ頭の中がスノーノイズのようになったかと思うと光は引いていき今度は暗くなった。暗闇の中に段々薄まる意識の中、頭の中には2つのシルエットが流れ込んできた。
目を覚ますと、
自分の前には一人の少女がいた。
少女は、目を輝かせて
「やった!成功した!」
と言いながらナイフを握り、襲いかかってきた。
2週間おきに投稿します。また見てくださいね。