第六話 義手の能力
「…今、なんて言った…?」
メグリ
~月下の隻腕巫女~
目を見開き、真っ直ぐにティバを見つめながら問いかけるめぐり。
それに対し、軽く頷き言葉を続ける褐色のエルフ・ティバ。
「我らエルフは古来より“月の女神”を崇拝し…その象徴として、“月光神殿”を奉っている」
「私とロカはお前の様な“転生者”の受け入れをしつつ、月光神殿で祭祀を」
ボッ!!
「キャアッ!!」
一瞬の暴風の様な風音!
ティバの言葉が中断され、相棒のロカが再び悲鳴を上げる!
めぐりのハイキックが猛然と放たれ、ティバのこめかみ数センチ手前で急停止したのだ。
「言えよ。あいつの居場所を。」
片足立ちの姿勢のまま要求する。低い声がむしろ彼女の煮え滾る感情を表している。
「居場所とは…ひょっとして女神のか?知ってどうする?」
対するティバは至って冷静だ。
「決まってるだろ。月の女神に、この腕の落とし前をつけさせるんだよ!」
「なるほど。左腕は、女神に持ち去られたのか。」
しかし次の言葉は、めぐりを困惑させずにはいられないものであった。
「女神の宣託はこうだ。その巫女騎士は自らの感情にのみ忠実で、他人の心に思いをはせること無し。…ゆえに巫女の“真の願い”は、決して叶わざるべしと」
それを聞き、思わず自分に問いかける。
私の本当の願いって、…何だっけ…
あの女の居る家に、帰ること…?
それとも…マコト…
「そこで、巫女にその義手を贈ろう。」
ティバの声でハッと自問を中断する。
「お前が身に着けている“それ”はエルフ族に伝わる義手だ。人間たちの物とは少し違う。持ち主の持つ霊力を、最大にまで引き出してくれるのだ!」
「試しにその義手で私に触れて見ろ。もしかすると、それによって女神の居場所がわか」
ガシッ!
皆まで聞く必要も無かった。先ほどの蹴りのような勢いで、めぐりはティバの胸に義手を押し当てる!
すると
キィィィンン!!!!
たちまちめぐりの意識は、その身体から切り離され
ゴオオオオオオッッッ
次の瞬間、すさまじい台風のさなかのような猛風がめぐりを包む!
何とかめぐりが両目を開けると
<後略>
第六話は以上となります。
続きは「ステキコミック」内で連載中の「メグリ~月下の隻腕巫女~」第六話をご覧ください!!