ゼロ章②「この子をどうしたら・・」
@<はい!今日は二話までになります!毎回イラスト1枚は必ず添付してますから、データ量不安な方はご注意を!
「・・ふぅっ・・」
私は大きく息を吐いて、いつもの戦場に視線を戻す・・
じーっとこちらを見つめている視線、柔らかそうな視界の端に映る翡翠色の髪の毛、確かな吐息、もぞもぞという音・・これら私が感じる全てが、否応なしに『これが現実なのよね?』っと某キャラクターのセリフのように訴えかけてきたから・・
「・・まーま・・?」
更に追い打ちをかけるように聞こえてくるのは、私のことを『お母さん』と呼ぶ声・・
・・まがいなり(?)にも、こちらは産み出した者・・作者は自分の作品に責任を取るべし!・・前に呼ばれた教室で生徒さんたちにも自分が伝えた言葉だ・・
(・・むっちゃ特大ブーメランやん・・)
頭を抱えたくなったけど、余りの出来事に動転して椅子ごと倒れ、強打した後頭部がまだ痛いので止めておく・・
聞こえて来るのは『日本語』だ、そう理解できる・・まあ、この作品・・このキャラクターも翡翠色の髪の毛以外は基本、日本人みたいな設定で考えてたから・・
「・・えっと・・あなたは・・どこのどなた?」
傍から見ると正気を疑うわ・・自分の作品に話しかけてるんだもん・・まあ、よくあることですが。
「・・わからない・・」
ふむ、どうやら私の考えていたキャラクターの設定ではないらしいか・・?
世にも奇妙な動き喋る作品なんて、現実にありえないんだけど・・画竜点睛?
昔の竜書いた人!、私に何かアドバイスをわけてくれ!・・無理だね・・
「とりあえず、ここは私の家・・あなたがいるのは私の机の上・・あなたは・・」
言いかけて迷う・・こんな生きてる人間(上半身、腕なし)にしか見えないけど・・それに『人間じゃない」って伝えていいか迷う・・
もし、伝えて逆上されて私も絵の中に閉じ込められるとか、絵から出てきて殺されるなんてことになったら・・
「心配しなくていい、私はあなたの味方だよ?」
まずは、生みの親が、目の前の人物が安心できる者か教えてあげないと・・そう思った。
「私はあなたに悪いことはしない・・だから、あなたも私に悪いことはしないでくれる?」
出来る限り、優しくゆっくり話しかける・・何の当てにもならないだろうけど信用してもらうために。
「・・・・・・・」
作品は目を閉じて、何かを感じ取ろうとしているようで何も喋らない・・
「うん・・あなたはよいもの・・わかる・・あなたがわたしのママ?」
暫くして、その綺麗な翡翠色の瞳で私をじっと見つめながら問いかけてくる。
「うん、私があなたの産みの親・・お腹から生まれた訳じゃないけど・・」
その吸い込まれそうな綺麗な瞳は、本当の人間・・ううん、全く人馴れしてない、まるで純真無垢な赤ん坊のようで・・
「間違いなく、私はあなたのママだよ」
私の中で、すっかり警戒心を溶かしてしまう瞳だったんだよね。
まあ、ぶっちゃけ物心ついてから描き続けてウン十年・・生涯最高の出来だから、この作品への愛は揺るがないわけで。
「ママ・・わたしのママ・・えへへへっ♪」
その言葉を噛みしめるように繰り返した、この作品は、こぼれる明るい笑顔で嬉しそうな声をあげちゃって・・
ずっきゅーーーーん!!!
「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」
その眩しさ、愛くるしさに眩暈と私の心臓がフィクションみたいに打ち抜かれて!?
「その笑顔・・尊し!!!・・我が人生に一片の悔いなし!!!」
思わず、某世紀末覇王のように拳を天に掲げて昇天してしまいそうに!!!
「きゃっ?・・えっ、どうしたのママ?・・マーマー?」
・・呼びかける声に応えるのに、かなりの時間を要したのでございました・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、地獄の閻魔大王から現世へ強制送還された私が戻って・・
この作品に色々と質問したところ、『自分が何者かわからない』『名前もない』『目的って何?』という、正に生まれたての赤ちゃん・・いや、イラストだから白紙の状態か・・がわかっただけ。
イラスト的には、十代後半って感じで描いたんだけど・・
肝心の『私の描いた作品に命が宿った』理由は、さっぱり分からなかった。
・・ただ・・
失礼して、恐る恐る触ってみたところ、本当の人間のような皮膚の感覚、体温を感じた。
(本当に生きているんだ・・)
なら、私の出来ることは・・
「これで寒くないかな?」
この作品に新しい紙をお布団代わりに掛けてあげるだけ。
なんせ、もう草木も眠る丑三つ時だ・・古民家を改良した我が家では暖房も・・いや、元紙なら火や水、風、湿気とかも大敵だろう・・
あっ、ちゃんとインク乾かない状態で紙置いたらダメですからね?
にじんじゃいますからね?
「うん・・あったかい・・ありがとう、ママ♪、うふふっ」
嬉しそうに私に笑顔を見せる作品・・こっちも何故か温かさを感じる。
「とりあえず、ママも眠いから寝るね・・おやすみ、また明日ね・・ふぅあ」
そう言って、手を振る・・きょとん、とした顔の作品・・あっ、手は描いてないからか。
「・・今日は寝れそうにないや・・」
私は、また戦場に戻る・・いつもの儀式のために、すーっと息を吸う・・
ぱんっ!!!
そして、自分のほっぺを両手で強く叩く!!!
せめて、手だけでも描いてあげないと。
びっくりしてる、この作品の為に作者の私がしてあげられること。
さあ、私の戦いはこれからだっ!
拙い作品ですが読んで頂いて、ありがとうございます。皆様の応援が生きがいです!
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