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教室冥土〜クラスメイド〜  作者: 無味無臭
6/15

強敵

「あぁ、殺してやるよ。」

ボロボロの剣に乗りながら、トクサはそう言った。

「さっさとお前を殺して、その後あいつらも殺してやる。」

トクサはできるだけ冷静を装っているが、内心かなり怒り狂っている。

「死ね!白波黒!」

先生に向かって突進する。

先生は飛び越えながら避け、後ろに回り込み、撃つ。


ガキンッ

トクサは剣を足から背中に動かし、盾にしていた。

剣にヒビが入り、先生の血の銃は砕かれる。

隙を見て回転しながら先生を斬ろうとした。

だが、先生はそれを華麗に避ける。


先生は間合いから1歩引きながら言った。

「さっきから同じことばっかしてるなぁ。このままじゃその剣壊れるぞー?」

「そっちだってさっきっから顔色悪いぞ・・・貧血気味か?」

(このままじゃ、先に俺の剣が壊れる・・・どうにか、白波の裏をかかなければ・・・)

トクサは考える。

(状況を整理しよう。ここは7階建てのビルの中。現在2階・・・ならば・・・)

トクサは剣を手に持ち、構えた。

「何?ついに血迷った?」

先生は少し心配したような目でトクサを見た。

「いくらお前の身体能力が高くても、流石に生身では俺に勝てないよ。」

「そんなことは分かってるさ、ただ少し時間稼ぎがしたくってね。」

「何のために?」

「これのためにさ。」

すると、大量のナイフが先生の足元から噴水のように飛んで来る。

不意をつかれた先生は何本かもろに刺さり、天井に磔にされた。

(やった・・・これで奴は動けまい・・・ついに、あの白波黒を追い詰めた・・・)

「残念だったな。ショッピングモールに置いてきたナイフを1階に集め、一気にあんたを床ごと貫く。そのための時間稼ぎさ!」

「してやられたわけか・・・」

先生は動けない中、グタッと肩を落として見せた。

「にしても奇妙な絵面だな、ナイフに貫かれているのに、血の1滴も出やしない。」

「無駄遣いは出来ないからな・・・」

「まぁ、いい。さっさとトドメをさす。その後にお前の生徒を殺しに行くよ。」

(待て、何故奴は磔にされたまま行動を起こさない・・・ナイフを抜かなければ傷が治癒出来無いだろう?このままじゃ普通に死ぬぞ。)

「まぁ、そう焦るなよ、少し話でもしようや。」

「なんだ?命乞いか?ここまで来てみっともない。」

「いやいや、そんな事はしない。ただ、お前とは気が合いそうでな。」

「は?何言ってるんだお前?お友達にでもなりたいってか?」

「出来ればな。」

トクサは少し頬を赤らめた。

「・・・無理だな。俺はお前を連行しろという命令を下されている。それに従うだけだ。」

「でも、気が合うとは思うんだけどなぁ・・・」

「何でだ?」

「さっきから喋ってて思うんだよ。最初のお堅い喋り方よりも今の方が親しく感じるよ。それに、時間稼ぎとかの発想が同じだろ?」

「は?何の時間稼ぎだ?」

「これの。」

すると、大量の水が天井を突き破り、先生とトクサは床に叩きつけられた。

「いててて・・・」

「・・・どういうことだ・・・確かに俺はお前を串刺しにして、動けなくしたはず。」

ナイフから解放された先生は傷を治しながら説明した。

「確かに、俺は動けなかったよ?それに、血もそんなにない。」

「なら、どうやって・・・」

先生は上を指さした。

「俺の血は速さで威力を出すからねぇ、天井とくっついてると初速が出ないんだよ。」

「だから、君に空けてもらった天井の穴に背中から血を染み込ませて、水道管に穴を開けさせてもらったよ。」

「はぁ・・・」

(してやられたのはこっちって事か・・・)

「流石だな・・・」

「いやいや、それ程でもッ!」

喋りながら、先生は深くしゃがみ、一気に穴の空いた天井まで飛び上がり、そのまま突き破った。

「何をして・・・」

そこでトクサは気づいた。

(何だ?この匂い・・・ガスか?)

鼻をスンスンとするトクサを見た先生は、

「さっき水道管と間違えてガス管にも穴開けちゃったんだよね、ははッ」

先生は舌を出しながら笑う。

「何やってるんだ・・・お前・・・ていうか、そしたら上に登るのは危険じゃ・・・」

トクサは言ってから気づいた。

(何故こんな事を?・・・そのまま放っておけば、あのバカは勝手に一酸化中毒になるだけなのに・・・)

先生は全くふざけずに珍しく真面目な顔で、

「だからこそだろ。一酸化中毒になる前に決着を着ける!制限時間付きだ。まぁ、もちろん俺の勝ちだけどな。」

そう言った。

「来いよ!トクサ!」

先生は手を差し伸べた。

「ふっ・・・ははは」

トクサは声を上げて笑った。

(分かった・・・俺は・・・こういうバカがめちゃくちゃ好きなんだ・・・こういう、後先考えずにしたいことをするバカが。)

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