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3-0話 茶会と茶番って似てません?

 あはは、うふふ、なんて淑女の笑い声が聞こえだしそうな美しい中庭と、中央に据えられた純白を基調とした机と椅子。

 お茶会の為に誂えられた、華美な雰囲気を前面に出したそこ。燃えるような赤黄の木々がまたその白を一層浮かび上がらせている。


 座っているのは壮年の男女の他。愛くるしい見目と癖の強い猫っ毛が特徴的な銀髪の少年と、金糸の髪を丁寧に結い上げ、ふんわりとしたドレスを着た少女の二人。

 まるで絵画の中の一枚のようだ。……傍から見るだけで済むならば。


 だが、その中にいる人としては、少なくとも私、シグリア=クアンタールからしたら、冗談ではないのだ。本当に。


「ふふ、まさかクアンタール家の御子息のみならず、ご息女ともお近づきになれるだなんて。私の子どもたちは本当に果報者ね。」

「おや、そう仰っていただけるなど……。確かに愚息は畏れ多くもソルディアの一員として選出されはしましたが、あくまで私共は一介の男爵家。

 ルナイア様に仕えていらっしゃる由緒正しき神官御一家とこうしてお関わり合いになれるなど、こちらこそ光栄余りあります」


 傍らから聞こえる会話に厭気がさしそうになるのを、お茶を飲んで濁す。年単位ぶりに身に着けることになったドレスとコルセットに締め付けられながら、表面上は微笑みを浮かべた。


「そんなに畏まらなくても良いのよ。確かにこの度はお見合いという形ではあるけれども、この邂逅だけで全てを決めようなんてつもりはないもの」

 たおやかに微笑みを浮かべる銀髪の女性は、けれども例えるならば猛禽類のような鋭い光をその瞳に湛えている。


 本当に、どうしてこんなことになったのだろう。愛想笑いを浮かべながら視線を下へと降ろせば、右手中指に美しいオーロラ色の輝きが目に入った。

 そもそもの発端、この奇妙なお見合いの席の元凶はこの指輪を贈ってきた張本人だ。


 久方ぶりに“シグリア”として息が出来る私は、けれどもそのことを感謝する余裕もないままゆるりと息を吐きだし、数日前のことを思い出しはじめた────。

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