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07 お見合いと使用人達の秘密

「素敵な、お庭ですね。モラフ様!」


屋敷の庭を5歳児の2人が並びながら歩いている。


この庭は、儂が各地から木や花を取り寄せて造らせたのだ。皆の癒やしの場じゃ…


5歳で、この魅力に気が付くとは…やはり将来が楽しみな少女じゃわい。


「少し休みましょう。本日は日差しが強いですから。」


モラフは、木陰の長椅子にハンカチを敷きコマを座らせる。


そのタイミングで、使用人のレミアがさり気なく、お茶を出した。

(ふむ。レミアよ、自然な入りじゃ!)

お茶を口にする2人を、少し離れた場所から見つめている。レミアとココ。2人は、爺やが連れて来た領内の、平民だ。今年で公爵家に仕えて8年目になる。年齢は、23歳になる2人だが、2人の間には誰も知らない秘密がある。


「本当に2人は5歳なのかしら?」


椅子に座り、お茶を飲んでいる2人から気品さを感じてしまうココ。


「私達とは…住む世界が違うのよ!」


レミアも、2人の気品さを感じたようだ。


「それより、ココ…今夜は台所で………どうかしら?」


「レミアったら、まだお昼前よ!私の胸…まだヒリヒリするの!」


そう言いながら2人はバレない様に互いの指を絡めている。


そう!この2人も、そっち寄りの世界の住人なのだ。

夜な夜な行われる、2人のそっち寄りは、いつか誰かに見られるのでは?と言うスリルも含めて愛しあっているのだ。


2人とは別に屋敷の窓から、モラフ達を見つめている視線がある。……ドレアだ。


「もう!何で仲良くしているのよ!」


昨日の夜、ずっと一緒と言ってくれたのに……ドレアの心の中に何かが目覚めたようだ。


「まぁ、モラフ様も同じ学園へ!嬉しいです。」


来年が待ち遠しいと、モラフの手を握り喜んでいるコマ

(男心を、よう理解した対応をする少女じゃ!)


話しは、どんどん弾んで行く。互いの精神年齢が高いのも有るかもしれないが…相性が良いのだろう。2人の自然な笑顔を見れば分かる。


「そろそろ、お昼ですね!一旦、屋敷に戻りますか?」


急だが、簡単な食事会をしようとダンドールが使用人達に指示を出している。


コマ達は客間へ、モラフは自室へ戻って行く。


「!!」


モラフが自室に入った瞬間、背後から誰かに押し倒された。そして見事な手捌きで両手を縄で縛り上げる。

(な、何じゃ!)


「確保!!」


地べたに這いつくばりながら、声のする方向を見上げるとドレアが儂を嬉しそうに指差していた。


(お嬢様が何故…)


可怪しい。お嬢様が、前に居るなら儂を背後から襲ったのは誰だ?


這いつくばり考えるモラフの両脇を通り過ぎる黒い靴。


「若様…ごめんなさい。」


ココとレミアだ!背後から襲ったのは使用人の2人だ!


「あんた達、しっかり見張ってるのよ!……じゃないと、ヒ、ミ、ツ、バラしちゃうからね!」


その言葉に、背筋を伸ばし固まる2人。


「モラフ、私以外と仲良くしたら…私は悪魔になるのよ!」


そう言いながら、部屋を出て行くドレア。すかさず、レミアが鍵を掛ける。


「レミアさん!解いてよ。」


耳を塞ぐ仕草をするレミア。まるで、現実から逃げている様だ。


「ココさん!お願いだよ!」


ココは、自分達の行動が許される事ではないと分かっているが…逆らえないとモラフに告げる。


「執事のモラフ殿は、如何なる時も、ドレア様を助けるのだ。あの方はベルモンド公爵家の光りだと、教えてくれました。だから…私達は、お嬢様の指示に従いますから!すみません若様!」


(言った…。確かに儂は…そう言ったのじゃ!)


その後、何を言っても2人は聞いてくれなかった。


(お嬢様は、何を企んでおるのじゃ?)



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