表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/30

11 キレる夫人とマグロ

「うわ〜〜~ん!」


地べたに倒れ込み泣き叫ぶ、魚屋の次男カツオン。

身体に似合わない、大きな木剣を振りかざしてモラフ目掛けて突進して来たのだが…遅い。難なく躱し、カツオンの脛をチョンと小突いたら倒れてしまった。


呆気ない。


「勝者、熟女大好きボーイ!!」


自分より大きな少年を、呆気なく倒したモラフに観客から拍手が起こるのだが…その中から変な声が聞こえてくる。


「熟女良いぞ!」「熟した戦いありがとう!」


この声は…ゴンタとマサエモンだ。


ゴンタの声援に煽られた観客達から熟女コールが起こり出した。沢山の熟女コール…客の熟女さん達は、どんな気持ちで、この歓声を聞いているのだろうか?


「見たかクレアよ!あの熟女は、なかなか良い動きをするではないか!将来が楽しみな熟女だぞ!」


自身の領地に未来があると、手を広げ嬉しそうに語るダンドールに冷めた表情をするクレア。


(どうしたクレアよ。そんな冷めた表情をして…)


ダンドールとクレアは結婚して16年が経つ…

表情だけで、妻の気持ちなど分かってしまうものだ。


「熟女発言か?気にするなクレアよ!お前の熟女関連は順調そのものよ。我は幸せだぞ。年々熟す、そなたの身体を1番近くで見れるのだ!その狸の目の様な垂れ具合は我を熱くさせる。今夜の酒のツマミは、お前の狸にしようぞ!ハッハッハ。」


最後までダンドールの話しを聞いたクレアは立ち上がり

赤い花柄の刺繍が入った白いドレスの乱れを直す。


「あ!クレア様。」


レミアが持っていた日傘を手に取り、瞬時に畳み込むクレア。


「ドスン!」


近くに居た誰一人…反応出来なかった。


衝撃音に気が付いた時には、体格の良い男性が宙を舞っている。ダンドールだ!


浮かんだダンドールの腹部に無数の日傘の突きが襲いかかる。為す術もないダンドールは苦悶の表情をしながら

地面に叩き付けられた。


その後も、傘突きがダンドールの腹部に襲いかかる。

哀れな公爵の姿を目撃した民達は、助けたいのだが……

駄目だ!隣りの鬼姫の殺気が凄すぎる。


もう…大会は辞めないか?優勝はクレア様で良いではないか!


民達は公爵を見捨てるしかなかった。


「垂れてね〜よ!私の胸を狸で例えんじゃね〜よ!!」


執拗なまでにグリグリ突くクレア。


触らぬ神に祟りなし!


「聞いてんのか?あ!馬鹿公爵が!」


来賓席にダンドールの姿が無いまま剣術大会が進んで行く。


(パパって本当に学習しないんだから!ママの鬼スイッチ…まだ分からないの?)


地べたで気を失うダンドールに呆れた表情で視線を向けるドレア。


(まあ…私は3歳位で気がついたけどね!)


「ワーーーーー!!」


2回戦も勝ち上がり、準決勝まで駒を進めたモラフ。


「さあ準決勝第一試合!無傷で勝ち上がった熟女大好きボーイと弟の仇は兄が取る!魚屋の長男マグロンの対戦です!」


(ふむ、あの者の兄殿か!)


無言で大剣を構えるマグロン。顔も無表情だ。


(無心か?読み辛いのじゃ!)


掛け声も無く、大剣を振りかざしモラフ目掛け突撃してくる。


(速い!……だが、まだまだじゃ!)


マグロンの振り下ろしを難なく躱し、木剣の柄で腹部に突きを入れる!


無表情で脇腹を押さえる。声もださずにモラフを見ているのだが、次第に小刻みに震えだしてその場に倒れてしまった。


審判が確認するのだが脈はあるが、目を見開くその顔は無表情、問にも無言。この少年は…マグロ男だった。


熟女コールが起こるなかで、マグロンは何も言わずにモラフを見つめていた。


意識はあるのだろうか?


同じくダンドール公爵も何も言わずに、地ベタに這いつくばっている。


意識はあるのだろうか?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ