小説家になろう。やる気と裏技と、居心地の良い『底辺』と。
エッセイというものを初めて書きました。
自分の場合、楽しようとしてもダメだなと感じた、そんな情けないお話。
自分は、『小説家になろう』様にて、お話をいくつか書いています。
じつは友人のひとりも『なろう』様にてお話を書いておりまして。
ことのはじまりは、そんな友人から相談があったからでした。
どうも、もらったコメントのひとつにとても悩んでいるらしく、内容は、
『アナタより面白い作品を書いていますが、全然読んでもらえませんし、評価してもらえません。どういった手を使っているのですか。方法を教えてください』
直訳するとこうです。
まぁ、もう少しオブラートに包んだ物言いだろうとは思うのですが、友人の話を鵜呑みにすれば大体こんな感じ。
それについて、友人は、
「自分もそこまで人気があるわけではない。新作を書けば多少なりとも上に行くけれど、すぐいなくなる程度の人間だ。だから、そんな方法があるならこっちが教えてもらいたい」
そう愚痴りまして。
せっかくのコメントを無視したくもないし、だからといってこの内容だから適当な事も言いたくない。どうしたもんかと困っている。とのこと。
まず、この話を聞いて、こちらとしては、とてもビビりまして。
なぜなら、どうして、その話を自分にしてくるのかなと。
友人も、己のペンネームや作品名など、何から何までオープンにはしていません。ただ、好きで小説を書いているのだと、そんな程度の情報開示のみ。
しかし、対してこちらは、お話を書いていることすら内緒にしているのです。
そんな中で、こんな相談がきたものですから、一瞬、あれ? バレてる? と冷や汗をかきまして。
いろいろと隠し事が多い生き物なのですよ。恥ずかしがり屋なので。
すみません、大きく話がそれました。戻しましょう。
友人は、この方からのコメントは初めてではないと言います。
どうやら友人が新作を書くたびに、その方も似たようなお話を書くケースが多いらしく、その都度、この手のコメントが来るらしいのです。
その内容に、自分は思わず、ポツリ。
「……この人、めっちゃファンですやん」
友人は、「いや、似たような内容の話はそれこそ山ほどあるし」真似したわけじゃないさと、首を横に振りまして。
「そもそも、このヒトからはマイナスのコメントしかもらったことがない」
その場では、「ヘェ、ソウナンダネー」と濁しましたが、……ツンデレが、気になるあの子にちょっかいをかける。そんな図式が容易に想像できました。
気になるあの子へと近づくために、不器用にも頑張るだなんて、実にラノベ的な展開です。そういうの好き。
……またもや話が脱線しそうですね。すみません。
友人の言っているとおり、もし、このコメント主がツンデレでないのなら、その発言に対する自分の感想としては、『このコメントを書いた方はとても向上心があるんだな』でした。
そもそも『小説家になろう』という看板のとおり、小説家になりたいのでしょう。
それはとても素晴らしいことだと考えます。
一生懸命、夢を掴むその日のために、『やる気』という名のガソリンをガンガン燃やして愚直に走っているのでしょう。
そうなると、今回のコメントに、ギラついた野心が見え隠れします。
閲覧数が増える → 評価がもらえる → 左の二項目がループして → ランキングの上層に行ける → 出版社の目にとまる。
憶測でしかないのですが、素人の自分が考える流れと、コメント主の考え方は、大きく乖離していないことでしょう。
なるために、どうすべきか。
そのために、努力する。
その姿は自分にとって、近づけないほど熱いし見てられないほど眩しいです。――羨ましいとすら言ってもいいほど。
なぜかって、……その時、はっと気がつきまして。
そういえば、自分にもそういう気持ちがあったなぁ、懐かしいなぁと。その時しみじみと頭に浮かんだ感想が、どれもこれも『過去形』だったからです。
――いつからか、楽しく書けたらそれだけで満足していました。
もちろん、このサイトを利用されてる全てのかたが、小説家を目指しているわけではない。それは重々承知しております。
今も、お話を書くのは、ただそれだけで楽しいですよ。
書き始めたきっかけも、楽しそうだなという点でしたし、――ですが、あわよくば小説家になれたらなと当時の自分が思っていたのも事実。
まぁ、端的に言うと諦めたんでしょうね。いつの間にか、自分でも気がつかないうちに。
皆まで言うなという所ですが、当然、一度もランキング上位に上がったことはありません。
ランキングも、ジャンル別やら総合やら日間だの月間だのと色々あるわけですが、――いわゆる人気作を書いたことのない、日陰に生息する自分です。
もちろん、今回も書きたいものが書けたぞ。と、毎度毎度と鼻息荒く投稿しているのですが、蓋を開ければいつも通り。
頑張って書いたお話に評価が付かないことはざらにありますし、冷静に振り返ってみれば、たまに調子の良いものもありますが、それでも今まで書いたお話の大半はアクセス数が一桁や、かろうじて二桁のものだらけ。
意識はしていなかったのですが、いくつ書いても鳴かず飛ばず。そのうち、自分が楽しめればという方向にシフトしていったのでしょう。
それが一つ目の理由。
ここでわざわざ一つ目と言ったのは、上を目指さなくなった理由に、実はもう一つ心当たりがありまして。
コレが、自分の場合はとてもやっかいなもの。
……まず、どこかで聞きかじった程度の知識ですが、自分みたいに目立たない位置にいるヒトのことを底辺作家というらしいですね。
そして、その生息地は『底辺』
あまりいい言葉としては使われていないようですが、……この底辺と呼ばれる場所、恐ろしいことに、自分にとって、とても居心地が良いのです。
流行に左右されず、自分の好きなものを書いて、毎回ではないですけど、たまにコメントもいただけるんですよ。しかも、そのコメントが的確で、かつ優しい。
けっして向上心がないわけではないですし、たくさんのヒトに読んでもらいたいという欲もあります。
ですが、どこかこの『底辺』と言われる場所が、なんだかんだと自分にとっては一種の『竜宮城』でして。
鯛やヒラメの舞い踊りではないですが、それこそ時が経つのも忘れるくらいに、肩肘張らず、のんびりとできるのです。
しかし、ひとたび見方を変えれば、自分のペースで好き勝手出来る反面、いざ、やろうとしても、気づけばのんべんだらり。
ある程度のやる気はあるし、書きたいお話は出てくるのです。
だけど、『やるぞ! 』の心意気は『どうせ、書いたところで誰も見やしないしな』そんな楽な方へと流れていき、『じゃぁ、いつ書いても一緒か』へと変換されていきます。
気がつくと、あぁ、今日も一日終わったな。そういえば、最近書いてないな。まぁいいか。と、なんだか熱意を吸い取られていくような、そんな感覚なのです。
浦島太郎は抜け出せましたが、いやはや自分の場合、いかんせん頭までどっぷりと沈み込んで、どうにもこうにもなんともはや。
これでは、よっぽどの運と才能に溢れていない限り、『小説家になろう』だなんて、夢のまた夢。
こんな感じでいるものだから、例のコメント主のような、小説家を目指す方の熱量についていけないのかもしれません。眩しくて目をそらすのかもしれません。
まぁ、こんなもんさ。
そりゃ、これくらいがお似合いだ。
ようするに、まだこの程度なんだよ。etc……
最終的には、自分の『面白い』は、はたして本当に面白いのかと、『自信』がどうにもついてこない始末。
だから――
こんなんじゃ、到底面白いものなんて書けようもない。
そんなもの、誰も見てなんかくれない。評価なんかあるわけがない。
上層なんて夢のまた夢。
――なんて、今まではそう考えていたのですけど。
当然、己の力量不足というのがネックになっているのは理解しています。
一人称だと三人称だとか、そもそも句読点の打ち方すらよくわかっておりません。
本人としては勉強しているつもりなんですけどね。悲しいかな、出来の悪い生き物です。なかなか上達しないのですよね。
そこが『お話を作り、書く』やりがいのひとつでもあり醍醐味だとも言えるのですが、――今回の件で、ふと、『もしかすると』が脳裏をよぎったのです。
……もしかすると、『力量不足』それ以外にも理由が有るのではないか?
足りない技量はいったん脇に置いておくとして、この『小説家になろう』という戦場において、友人に贈られた例のコメントを裏返せば、読んでもらうための方法が多少なりともあるのでは?
ネクロノミコンばりの眉唾さかもしれませんが、多数の評価をいただける、そんな手段が確かに存在するのでは?
もしそれが本当に存在していて、なおかつしっかりと使いこなせたとしたら。……ひょっとすると、ひょっとする。
この『底辺』と呼ばれる竜宮城。そのぬるま湯に今までどおり浸かったままで、花開く。小説家への道には、そんな『裏技』が存在するのではなかろうか。
我ながら、現金なヤツです。とたんにやる気の炎がメラメラと。さっきまで消炭だったくせに、なんてこった。
だから、その場で友人に、
「あるかもよ? あっというまにシンデレラストーリーかもよ? 」
なんて、すこし鼻息荒く、まるで抜け道を見つけた脱獄犯よろしく邪悪にニタリ。
脳裏をよぎるのは輝かしい未来の自分です。
そんなに稼げるものでもないだろうに、気持ちはもうアラブの石油王。はたまた南の島のハメハメハ大王か。
きっと友人の前で、欲に塗れた汚い笑みがさらに加速したことでしょう。
……ですが、流石、頭の良い優秀な友人です。こやつは昔から先を行き、冷静さすらも武器とします。
「いや、評価も大切だし、読んでもらうのももちろんだけどさ、」
続く言葉でバッサリでした。正論を持って一刀両断です。
「――重要なのは、メーカーが欲するものを書けているかどうかじゃね? 」
その見事な切れ味に、滑稽でお粗末な皮算用など、霧か霞のように消え去ったのはいうまでもありません。
……自分のお話には、技量だけでなく、内容も無いよう。
とっさに頭に浮かんだのは、地面に転がされ砂を喰わされそうな、しょうもないダジャレのみ。そして、
「……それを言っちゃあ、おしめぇよ」
その場で言えたのは、ぐぬぬと唸りながらのその一言だけでした。
……もしかすると、本当に閲覧数や評価を楽に稼げる方法はあるのかも知れません。
もし実在するのなら、それを利用し、いっきにランキングの上位へと駆け上る。そんなシンデレラストーリーを叶えるヒトもいるでしょう。
ですが、結局のところ、薄いメッキでは、プロが見ると下地の竹光が透け透けなわけで。
少しでも『このお話は売れるぞ!! 』と評価されなければ出版社は近づいて来ないのは明白。
『なんでお声がかからないのだろう? 閲覧数も評価も充分だろうに』
そんな、せっかく上位まで行けたのに悔しい思いはしたくない。
結果、一定水準以上の技量と内容は必要となるはずです。
となると、やはり自分の場合は、そもそもそんな裏技知りませんからね。――急がば回れとは、まさにこのことか。
技量を上げつつ書きたいものを書いて、それで勝負するしかないんだなと思った次第です。
先だっての友人の話ではないですが、今の目標としては、まず、自分のお話を読んでくれた誰かが『よし、わたしも書いてみようかな』と思ってくれるような、そんな面白いお話を書けるようになりたいですね。
それくらい影響力があるお話を書けるようになれば、上に行っても戦っていけそうなので。
ここまでお付き合いくださった皆様、どうもありがとうございます。
自分自身、底辺という名の竜宮城から解放されるのは、どうやらまだまだ先になりそうですが、近い将来、この竜宮城からたくさんの売れっ子小説家が生まれることを、楽しみにしています。
それではまた、どこかで。




