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ルーンブレイド  作者: さくらんぼえっくす
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 -27- -ルーンブレイド-



 ネオはもはや自分が助かるつもりなど、毛頭無かった。この程度でアスモデウスが消滅するとも思えなかった。ただ、皆が助かる可能性を少しでも高める、その為の時間稼ぎになればいいと考えていた。底に落ちるまでこの剣は離さない。そんな強い信念がネオから意識を失うことを許さなかった。




 裂け目は本当に世界の底まで続いているかと思う程深かった。アスモデウスの巨体が抵抗となり、落下は思いの他緩やかだった。そんな中、上方から声がしたので、ネオは驚く。




「ネオーー!!!!」




 ギルバートであった。アスモデウスを抱えての落下に比べて、ギルバート単体の落下速度は驚く程早く、ぐんぐんとネオに近づいていた。




「ルーンブレイドを抜けっ!!!!」




 ルーンブレイドは使えないことを、すでに試したネオであったが、もはやギルバートも、この落下に対して抗う術などない。結末は転落死しか残っていないこの状態で、命を懸けたギルバートの言葉に対して、ネオは赤子の様にギルバートを信じた。



 アスモデウスに刺さった愛剣を離し、ルーンブレイドを抜くと、ギルバートへと向けた。



 ギルバートは落下しながら両手を広げ、海老反りのような体勢になった。全身の筋肉が張っているのが分かる。そして、手の先、足の先にルーン文字が浮かび上がった。しまいには首から顔にかけてもびっしりとルーン文字が覆い、ギルバートは力を込めるようなうめき声を上げた。






「うおおおおおおおおおおおお!!!!」







 そしてそのまま両手でルーンブレイドの剣先を力強く掴む。ギルバートの両手から光が放たれ、見る見る内にルーンブレイドにルーン文字が蘇った。




「ギルバートっ!!」




 ネオが叫ぶと同時に、ギルバートは弱々しく手を離し意識を失い、再度自由落下の住人へと戻っていった。



 即座にギルバートのした事を理解し、ネオはアスモデウスへと方向転換し、体勢を縦にして落下速度を上げた。




「うおおおおおおお!!!!」





 勢いが付いたネオは、そのままルーンブレイドをアスモデウスの腹部へと突き刺す。




 深々と突き刺さったルーンブレイドの周りから、黒い霧のような塊がアスモデウスから抜け出るのが確認出来た。





「グオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!」





 凄まじい断末魔の声を上げながら苦しむアスモデウスであったが、黒い霧が消えると、木炭のような只の塊へと成り果てていた。




「へっ! ざまあみろ」



 ネオはこの土壇場にアスモデウスの封印に成功したことで、もはや思い残すことは無かった。ルーンブレイドを鞘に戻し、アスモデウスであった塊を蹴り、ギルバートの元へと近づく。ギルバートの右手を掴み、自分の元へと手繰り寄せ、もはや物言わぬギルバートに話しかける。




「やったなギルバート。お前のお陰だ」




 ギルバートは全く動かない。周りの温度がどんどん上昇するのが解かった。終わりが近づいていた。地の底が真っ赤に燃えているのが見えた。



「ふふっ、そういや前の奇襲作戦の時も二人きりだったよな? お互い腐れ縁だな。こうなりゃ最後まで一緒に逝こうぜ、今度はあん時みたく裏切るんじゃねーぞ」



 ネオはそう言って笑った。その瞬間ネオが握っていたギルバートの腕がぴくりと動いた。




「ギルバート!!」




 ギルバートは空中でゆっくりと上体を捻り、ネオに向いた。



「す、すまん、ネオ、又、お前を裏切る私を許してくれ」




 最後の力を振り絞って、ギルバートの左手がゆっくりとネオに伸びた。



 そしてアスモデウス、ネオ、ギルバートの3つの塊は、地の底へと激突した。




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