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ルーンブレイド  作者: さくらんぼえっくす
27/31

 -25- -決戦オーランド-



「レ、レイモン様!! 大変です!! ギルバート様がオーランドに行くと言って聞きません!!」




 王室から医療班の一人が慌てて出てくる。


 レイモンは驚き、王室へと飛び込む。



「ギルバート!!」



 ギルバートは皆に押さえつけられながらも、ベッドから飛び出そうともがいていた。





 医療班の話によると、何とか傷口の治療には成功したので、命に別状は無いが、それには何日か絶対安静にしていることが条件であり、動き回り傷口が開いて再び出血すれば、もはや今度は命を保つことは敵わないということであった。



 オーランドに向かうということは、即ち戦うということである。それは裸で戦場に向かう行為に等しく、ギルバートの死を限りなく近づける事に他ならない。レイモンも医療班の意見に賛成であった。




 ギルバートはレイモンを見つけ、話をさせてくれと医療班の面々に懇願した。レイモンの合図があり、皆はギルバートから手を離した。





 ギルバートの話によれば、ネオは長が最初から狂言を言っていることを分かっていたらしい、自分がアースガルドに戻るときに、ネオにルーンブレイドというオーランドに伝わる秘剣を見せて貰った。


 その時にネオは言った。こいつは、長が言う世界に訪れる最悪を、唯一封印することが出来る剣だと。だから世界を統一しようが、何をしようが、この剣以外ではその最悪に立ち向かうことは出来ない。


 ならば必然的に長の言っていることは狂言ということになる。世界を一つにして、束になって立ち向かっても意味は無い。この剣以外ではその最悪に勝つことは出来ないのだからと……。



 ギルバートはネオから見せてもらったルーンブレイドに見覚えがあったという。外見だけでは分からなかったが、中身を見て、自分の遠い先祖が作った剣であったのだと知った。元々ギルバートの家系は封印魔法に長けていた。


 ギルバートの家系は、代々オーランドの王宮魔術師として仕えていたが、ギルバートの代でノアルに移り住み、今に至る。



 それがきっかけで、ネオの話が嘘ではないと分かり、全てを信頼していた長に対して、少し距離を置き、離れて向き合えることが出来たという。その為、命を落とさずに居られたのだとギルバートは言った。



 そしてギルバートは、ネオの為にオーランドに行かねばならないとレイモンを強く見つめた。レイモンはギルバートの決意の程を目の力から読み取ると、つかつかと壁に向かって歩き出し、本棚の後ろにある隠し扉を開いた。







 その頃、アースガルド軍は、まるで軍隊蟻の進行のようにオーランドの前線基地を壊滅させると、オーランドの正門を破壊し、城下町中庭付近で激しい戦闘を繰り返していた。



 ネオ達ノアル騎士団も城下町中庭にて戦っていた。ネオは、今回の戦争の重大さを理解しているのか、全くアースガルド軍に容赦なく、鬼の強さで次々と敵を倒し、アースガルド軍の隊長格も数人葬っていた。




 その為、アースガルド軍は一旦引き、ネオの居る正門から攻めるのを躊躇し、睨み合いが続いていた。




 裏門からオーランドに入国したレオナルド一行が城の横を通り、ネオ達の居る中庭へと到着した。そしてレオナルドがネオを呼び叫んだ。




 ネオ達一行は振り返りレオナルド達の合流に喜ぶ。



「ネオ!! バレンチだ!! バレンチ遺跡に急ぐのだ!!」



 レオナルドは叫びながら中庭を横切り、北のバレンチ遺跡へと走っていく。



「バレンチには誰も入れてないぜ!!」



 ネオはレオナルドの行動を見たが、すぐに正門へ視線を戻し、レオナルド達に言った。しかし、ジークが叫ぶ。



「ネオさん!! 王族の人間は裏から入れる鍵を持っています!!」



 ネオは、今叫んだのがジークなのだと直感で理解した。ネオは振り返り、リックとポールを見た。




「悪い、ここ任せていいか?」

「ああ、行ってこい!」



 リック達は深く理由を聞かない。ネオが抜けることで、どれだけの苦戦になるかは容易に想像出来るが、この戦場に立っていたネオが、それを捨て尚バレンチに行くということは、即ちその必要があるのだと、リック達は納得しているのだ。




 ネオは走り出し、レオナルド達の後を追いかけ、バレンチに続く北の城門へと向かった。




「ネオ! 手短に説明するぞ!」



 レオナルドはネオと併走しながら叫ぶ。




「こいつはジーク、先代ロバート様の息子だ! そしてアースガルドを率いている長は、ヨハネス! ジークの兄だ! ヨハネスはロバート様を殺害し、アースガルドへと渡った! 目的はアスモデウスの指輪を探す為だ、そして手に入れた! 後はバレンチにあるアスモデウスの肉体だ! その二つが合わされば世界は終わる! ヨハネスをバレンチに入れてはいけない!!」




 ネオはレオナルドの言葉の何割かは、すでに理解していた。レオナルドに分かったという合図を出し、そしてジークの元へと行った。




「ジークか。じいさんからよく話は聞かされたよ、歳の離れた二人目の息子が出来たってな。逢わせてくれって言っても、今は王族になる修行中だって言って、全然逢わせてくれなかったぜ」




 ネオは笑う。ジークはネオを見つめ。



「始めまして、ネオさん。私も父や、ここにいるスティーブンに、貴方のことはよく聞かされて知っています。父が、とても貴方を信頼していたと聞いています」



「お前が俺を見つけてくれたんだってな。すまねぇな、感謝してるぜ」

「いえ、指輪を探しに入ったら、偶然発見したに過ぎません」


「謝りついでに、お前のじいさんから預かったこいつだが。悪い、使っちまった。責任は取るから、許してくれ」



 ネオはルーンブレイドを持ち、そう言った。



「はい、それも知っています。元々兄を変えたのは私の責任です。責任なら私の方があります。兄は私を助ける為に、自らアスモデウスに魂を渡したのです」


 ジークは暗い表情で話す。






 ヨハネスは初代エクスカリバーになった男である。ネオはオーランドで一度ヨハネスと面識があった。その時の印象は、父であるロバートに輪をかけたような正義感を持った男であった。民衆を愛し、又民衆に愛された、素晴らしい人格者であり、世界を破滅させようなどとは決して考えないような人物であった。



 ネオはジークから詳しい事を尋ねるのを辞めた。とにかく今は、そのヨハネスが世界を破滅に導こうとしている事実だけを理解すべきだ。そう考えた。



 一行は北の城門へと辿り着くと、スティーブンが素早く門番に何かを見せ、一言二言話をすると、重い扉が大きな唸り声を上げて開いた。



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