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ルーンブレイド  作者: さくらんぼえっくす
22/31

 -20- -アースガルド帝国-


 兵を乗せたままノアルから引き返して5日が過ぎていた。


 ギルバートを乗せた船は早朝にアースガルド港へと到着した。そして、兵を港の広場に一旦集め、労いの言葉を掛け、解散させた。



 そのままギルバートはアースガルド城へと足を運び、長への報告へと向かった。 


 南に正門を持つノアル城に対して、逆の入り口となるアースガルド城は、北側に正門を持ち、西の海から引かれた水を城の周りまで掘り進み、四方を水が囲む水城となっている。



 跳ね橋を渡ると、奥の兵士が頭を下げる。ギルバートは軽く手を上げ、そのまま城の中へと歩を進めた。



 ウルフガング皇帝の側近としての地位にまでなった長は、皇帝と共に王の間に居るとこが多い、ギルバートはそのまま王の間へと向かった。長から受けた指令は、ノアルの制圧であったが、戦うことすらせずに帰国したことを、ギルバートは素直に報告すると決めていた。



 王の間に到着すると、長が一人立っており、ウルフガング皇帝は不在であった。恐らく自分の寝室に居ると思われる。長はギルバートを確認すると、笑顔を見せ、ノアルはどうなったと尋ねてきた。



 ギルバートは自分が話した事は全て伏せ、ノアルは落としていない事を伝えた。長が一瞬険しい表情になる。ギルバートは続けて、来るべき時が来れば、ノアルは全ての兵力をアースガルドに引き渡してくれると約束したと伝えた。なので、そのままノアルはアースガルド支配下にあらずとも、必ず協力してくれると長に話した。



 長の表情はまた笑顔に戻り、ギルバートがそう言うなら、ノアルを信じようと言った。ギルバートは胸を撫で下ろした。ノアルの皆がそのままの生活を送れる事に安心した。



 長は、ギルバートの心中を察したのか、疲れているだろうから、自室で休むといい、とギルバートに告げた。ギルバートはそのまま長に深くお辞儀をし、王の間を後にした。




 ギルバートが王の間を出ると、長は突然一人で声を上げた。


「ロイ、居るか?」

「ここに」


 音も無く一人の男が姿を現した。


「ロイ、仕事だ、ギルバートを始末しろ」


 長は表情を変えずロイと呼んだ男に対して命令した。


「はっ、仰せのままに、してノアルはどうしましょう?」


 ロイと呼ばれた男は、二人の話した内容を理解しているようだ。


「放っておけ、あんな島国の小国、何も出来んさ、それにあそこはもう全て探し終えた。あれが無い事はもう分かっている、それよりギルバートだ、やはり奴では我々の理想には付いてこれないようだ、謀反の心が出る前に始末しろ」


「はっ」


 ロイと呼ばれた男は、また音も無く姿を消した。




 暫くすると、また別の男が王の間に入って来た。


「長、南の大陸を完全に支配下としました」


 そう言って、頭を下げる。


「おおジェラルド、そうか、ならば我らの兵を使い、あれを探すのだ、洞窟や遺跡、隠してありそうな場所は全て、くまなく捜査しろ」


「はっ! 了解しました」


 ジェラルドと呼ばれた男が王の間を出ようとすると、上の階にある寝室から声がした。


「ヨハネス、そこにおったか」


 そう言ってウルフガング皇帝が降りてきた。長はウルフガング皇帝から、ヨハネスと呼ばれていた。


「ヨハネス、南の大陸はどうだ? もう全て制定出来たか?」


「はっ、皇帝、全ての国は支配下となりましたが、まだまだ法律や規律、制定すべき事柄が残っております、もう暫くお待ちを」


 ウルフガングはあごの髭を軽く撫で、少し考えている。


「ふんっ、もはやこのアースガルド帝国に歯向かう国など、南の大陸にはおらんよ、それより北のオーランドだ! あの忌々しい国めが、しぶとく歯向かいおって! ヨハネス、オーランドに当てる兵の数が少な過ぎるのではないか? 一気に落としてしまえ!」


 ウルフガングは自分で喋りながら、苛立ちが増してきたのだろうか、最後には酷く不機嫌な物言いになっていた。


「皇帝、物事には順序があります。今しっかりと南を制定させねば、アースガルドとして動かない恐れがあります。時が来ればオーランドは必ず落とします。私にお任せを」


 長は冷静にウルフガングをなだめた。


「まぁよい、わしはもう少し寝る。後はお前に任せるぞ」


 そう言って、階段途中まで降りたウルフガングであったが、またきびすを返し、寝室へと戻っていった。




「長……」


 ジェラルドと呼ばれた男は呟く。長はジェラルドを見て微笑む。


「ふふふ、言わせておけジェラルド、オーランドが落ちて、あの部屋の存在が奴に知られるのはうまくない、今まで通り適当に善戦する程度の兵でいい。あれさえ見つかれば、あんな老いぼれ、真っ先に八つ裂きにしてくれる。それより南の大陸だ、我らの兵を使い、全て捜索するのだ」


「はっ!」


 ジェラルドはそのまま王の間を後にした。




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