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ルーンブレイド  作者: さくらんぼえっくす
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 -16- -ノアル奪回(前編)-

いよいよノアルの奪回作戦が始まります。



「馬鹿一人連れてきたわよ」




 ノアルの人々が居住する区間をさらに奥へ抜けた先、入り組んだ迷路のようになっている下水施設のさらに奥、大きな倉庫のような場所に着くと、鉄製の扉を開け、マリエルが言い放つ。



 中には、レオナルドにパレット、そしてティナや、元騎士団の仲間が武器を手に取り、準備万端の装いで待機していた。数にして25人、対して、ノアル城に待機している敵兵の数は少なく見積もっても10倍は居るであろう。圧倒的戦力差である。



 ネオは戦闘態勢に入っている皆を見て、驚いた。



「何をしてんだ皆、こんなとこで」

「何してるって、決まってるだろ? 今から城に攻め込むんだよ」



 レオナルドは、何当たり前のことを聞くんだと言わんばかりである。



「は? お前等、気は確かか? 勝てるわけねーだろ? 城に何人居ると思ってる?」



 ネオは呆れた顔で言う。


「おいおい、お前がそれを言うのか? お前は一人で行こうとしてただろうが、それも城の正面玄関から堂々と」


 レオナルドがそう言うと、全員が笑い出した。ネオは照れくさそうな顔を見せる。


「俺はいいんだよ! 俺はもう覚悟を決めた、勝ち負けじゃねぇんだ、許せねぇから立ち向かう、それだけなんだよ」



 ネオがそれだけ言うと、マリエルが肩をすくめ、呆れた顔で言う。



「あんたって本当馬鹿ね、なんでわかんないの? あんたが立ち上がるって知ったから、皆ここにいるんでしょ?」



 レオナルドがマリエルの肩を叩く。


「ネオ、お前が行くなら、私達も行く、お前の無茶は承知の上で、皆納得してここにいるんだよ。いつもそうだったろう? 無茶はお前、私達がそれを補佐する。やり方は悪いが、概ねお前のやる事はいつも正しい、だから人の心を動かす。ここへ皆が集まったのは、もはや必然なんだよ。もう諦めろ、ネオ」



 レオナルドの言った諦めろという一言が、ネオにはよく理解出来た。ネオは今回の行動が、完全に自分の我がままな無謀な行動だと判っていた。判っていたが止められない、それ程の怒りという感情が、自分の身体を支配していた。


 行けば死ぬだろう。ならば一人でだ、自分がそう考えている事を、レオナルドは知っている。だからこその諦めろであった。分かりやすく言うと、行けば死ぬかも知れないが、もう一人で行こうとするな、諦めて皆を連れて行け、と、レオナルドは言っているのだ。




「作戦とかあんのか?」




 もはやネオは全てを受け入れた。レイモンの思い、皆の思いを背負った上での台詞であった。


「この倉庫の裏手に、城に繋がる梯子がある、そこから城に侵入出来るわ。昼間偵察に行って、人気が無いのを確認して、一度城に入ったの。そしたら大広間の少し手前にある、仮眠室に繋がっていたわ」



 マリエルはそう話すと、ネオはにやりと笑った。



「そいつは都合がいいな、恐らくヴァレンタインはその、大広間の右奥にある、王室にいるはずだ。一気に頭を落として、総崩れにすれば、この戦は勝てる」



 ネオの言葉に、皆が納得し頷いた。



「ネオ、ヴァレンタインを討つのは当たり前として、実はもう一人、確実に討たねばならん奴がいる」


 レオナルドがそう言うと、ネオは即答する。


「側近のイアンだろ? そいつだけは俺にやらせてくれ」

「知っていたのか?」


「ああ、じじいから聞いた、ロディを殺した奴だって」

「強いぞ」


「ああ、だが俺のが強い」


 レオナルドは鼻でネオを笑った。


「それだけ言えれば上等だ、よし、イアンは任せる」



 ネオは立ち上がり、皆の方を向いた。



「よしっ! 行くか!」



 ネオは皆を先導するように言うと。



「行こう!!」

「やってやる!!」

「おおーー!!」



 皆の士気が上がった。ネオはふと奥に居たティナを見つけると。



「おいおい、まさかティナまで参加するとか言わねーよな? もちろん見送りだけだろ?」



 そう言うと、ティナはぷくっっと頬を膨らませ、明らかに拗ねていた。

 レオナルドは慌ててネオに小声で話す。


「やめろ! ネオ、その話しは散々昼間にしたんだ。ティナを怒らせるな、ミネルバが怒ると怖いの知ってるだろ。あれと同じだ、一度言い出すと聞かない。マリエルの傍に居ると約束させたから、連れてってやってくれ」


 ネオは大きな溜息を一つ付き、頭を掻きながら、


「分かったよ」


そう言って、扉を開け、外に出た。




 レオナルドはティナの元へ行き、なだめるように話した。


「ネオはお前が大切だから、お前の身を案じて言ってるんだ。決して邪魔だからとかではないんだぞ」


 ティナは相変わらず拗ねたままで、


「そんなこと、言われなくても分かってます!」


と、皆との会話で、ずっと敬語だったのが災いしたのか、何故かレオナルドに対しても、敬語で言った。二人のやり取りを聞いて、周りの皆が笑顔になった。


 一部始終を見ていたマリエルが、レオナルドを哀れんで今のやり取りを総括する。


「レオナルド、あんたも大変だね。素直じゃない友人に、頑固な娘、あんた、戦う前から疲れ切ってる顔してるわ」


 皆、大声で笑った。今から命を賭けた戦いが始まる、皆そのことを理解した上で、尚且つ笑える程の覚悟を持っていた。




 いよいよ、ノアル奪回に向けての戦いが始まる。



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