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ルーンブレイド  作者: さくらんぼえっくす
12/31

 -11- -宴の後-

「ルーンブレイド」をネオが持つに至ったエピソードはちゃんとあるのですが、

この流れだと出さずに終わるかも知れません。


 レオナルドの家では、皆が宴の真っ最中で、近くに住む住人まで、驚いて顔を覗かせるほどの大騒ぎであった。女達が次々と料理を運び、男達は肩を組み合い、なにやら楽しげに歌っている。『ネオが戻った!!』『ティナが助かった!!』と大騒ぎである。



 上に住む城下町にまで届くのではと、心配になるほど羽目を外し、そしてそのまま夜になり、皆レオナルドの家で泥の様に眠りに付いた。




 宴の主人公の一人であったネオは、ようやく開放されたという表情を見せ、一人起き上がり、夜の地下町を歩き出した。



 ちょうどレオナルドの家から通路を一つ曲がった場所に、鉄柵から月の光が差し込む場所があった。煉瓦に囲まれ、湿気の多い地下町で、ここは格好の休憩場所であった。


 ネオは光が差し込む場所に腰を下ろし、先程のルーンブレイドを手に取り、なにやら独り言を呟き始めた。



「すまねぇロバートじいさん、約束、破っちまったよ。でも悪いが、俺は後悔してねぇよ、俺にはあのままティナを見殺しになんて出来ねぇ」



 ネオは俯き、少し寂しげな表情を見せる。



「でもなんでだ? なんでじいさん、オーランド人でもない俺に、こんな大事な剣を託した? その上、息子二人連れて勝手に死んじまいやがって、返すこともできねぇときやがる」



 ぐっと剣を両手で握り締める。


「ふんっ、まぁなんとかしてみるよじいさん。俺が死んで、あの世で逢ったら、幾らでも説教は聞いてやるから、勘弁な」



 ネオは月を見つめ、そう呟いた。



 すると、誰かが歩いてくる足音が聞こえた。ネオは、ルーンブレイドを腰に戻すと、手を頭の後ろに組み、月を眺めた。



 通路を曲がり、姿を見せたのはレオナルドであった。


「どうしたネオ? 一人でこんなとこに、眠れないのか?」


 そう尋ねると、レオナルドは隣に座った。


「いや、気晴らしに外に出てみようと思ったら、いい場所をみつけたんでな、ただそれだけさ」




 二人に沈黙が流れる。遠くで動物の遠吠えが聞こえ、木々のざわめきや、虫の声が耳に入って来た。頭を掻きながらネオが口火を切る。


「レオナルド、さっきはティナの手前、黙ってたんだが……」


「なんだ? 言ってみろ」



 レオナルドは月を眺めながらそう言った。



「お前、ミネルバはどうした?」



 ネオがレオナルドの方を向き、尋ねる。


 レオナルドは下を向き、暫く黙っていたが、ゆっくりと口を開く。



「死んだよ、お前が居なくなって、1年もしない内の話しさ。ティナがアースガルド兵の弓矢に当たって、先に付いてた毒にやられてな、もう長くは持たないと城の医師に言われた。あいつはティナを助ける為に、古代ルーン魔法を使った。そして、その4日後に死んだ」



 また二人の間に沈黙が流れる。



「すまん」


 ネオはレオナルドに頭を下げた。


「おいおい、何故お前が謝る?」


 レオナルドは苦笑交じりで答える。


「俺が居れば、こいつでミネルバを救えた」


 ネオはルーンブレイドを握った。


「それはお前のせいじゃないだろ? 仕方の無いことさ。それにな、今は寂しくはないんだ、最近、ティナを見てると、あいつが傍に居て、見守っている気がしてならない、だから、ティナさえ居てくれれば、私は寂しくなんかないのさ」


 レオナルドはネオの肩を叩く。


「そうか……」


 ネオはそう呟き、また月を眺めた。



「ネオ、お前これからどうするつもりだ?」


 レオナルドはネオにこれからのことを尋ねる。


「どうするって、決まってんだろ? ノアルをアースガルドから取り戻すさ」


「ふんっ、簡単に言ってくれるな。今や城に居るのは全てアースガルド人だ、国王から騎士団から、何から何までな、対してこっちは20人かそこらだ。こっちが剣を持って、向こうが石ころ持ってでも勝てないぞ。普通に一国を落とすのと変わらないんだからな」


 レオナルドは半分呆れて呟く。


「その方が逆に手間が省けていいぜ、敵か味方か考えなくてすむってもんだ。それより、こんな国の一大事だってのに、あのじじいは何処行ったんだ?」


 ネオがそう尋ねると。


「レイモン国王か? 国王は、あの戦争で多くの仲間を失ったことで、今でも酷く心を病んでいる。今は森を抜けたノアル大洞窟の北よりにある、昔偵察用に作った小屋があっただろ? そこに一人で住んでるよ。アースガルドの奴等は、その場所をまだ知らんがな」


「何やってんだ、あのじじいは……」


 ネオはそれだけ言うと立ち上がり、


「そろそろ寝るか? いつまでもここに居ると風邪引きそうだ」


と、背中やお尻のホコリを叩きながら言った。

 そして、ネオとレオナルドは家に戻った。



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