第33話
お久しぶりでございます。かなり更新が遅れて申し訳ありません。
家に辿り着いてから夕食までの時間を自由に過ごす事にした。
俺は大豆の様子を見ながら、買ってきた牛乳で生クリームやバターを作り、カカオの実からチョコレートを作った。魔法があるのでそれほど苦労はしなかったが、実際に牛乳を遠心分離をかけようと思ったら普通出来ないよな。チョコレートも手間が掛かるが、魔法でごり押しで作った。そういう点ではこの世界は滅茶苦茶便利だと思う。魔法がなかったら俺は絶対に生クリームにバター、チョコレートなんてものは作らなかった。あのまま地球でフリーターしていたところで俺がチョコレートなんぞ作る機会なんて無いし、なかなかのいい体験だ。
しかも作ってみると意外と面白い。今日はこれらの物を使って3人娘に地球で食べていたデザートを作ってあげようと思う。喜んでくれるといいけど。
トントン
ドアがノックされで、ドアの向こうからメロリが夕食が出来たと告げてくれた。
あれだけ昼に食べたというのに人間の腹は不思議な物で時間が来ると腹が減る。俺の胃袋はもう夕食を食べる準備が整っている。作った物を無限収納の中にしまってダイニングに向かう。
今日の夕食は昼が肉だったので魚だった。簡単な塩焼きってだが、美味しかった。パンも柔らかいので食べやすかったし、満足だ。
さて、ここからが俺の本番だ。
「今から俺がデザートを作るから待ってて」
キッチンに立ち、準備を始める。
「ご主人様、何を作るんですか?」
メロリ達もキッチンに来て俺のすることを見ている。
「甘くて美味しい物だから、楽しみにしてるといいよ」
「本当ですの!?楽しみですわ!!ご主人様!!」
ヴィオレットは今にも踊りだしそうなくらい喜んでいる。
「何かお手伝いする事はありますか?ご主人様」
レモは律儀に聞いてくれるが、これは俺の【調理】スキルを上げるためでもあるので手出しは無用だ。
「大丈夫。みんな座って待ってていいよ?」
そう言ったが誰一人俺の傍を離れる事はなかった。そんなに気になるのだろうか?
俺は料理本に沿って作り出す。卵と牛乳と小麦粉、バターなどを加えて生地を作り鉄板で薄く焼いていく。
次に生クリームを泡立て、袋に詰める。バナナを一口大にカットしておく。
薄く焼いた生地にバナナを並べ袋に詰めた生クリームを搾り出す。そして仕上げにチョコレートをかけてクルクルと巻いた。
そう俺が作っていたのはクレープだ。それを人数分作って渡してやった。
「凄いです!ご主人様!何ていう食べ物ですか?」
メロリは興奮気味で尻尾を揺らしている。
「クレープっていうお菓子で、俺が住んでいた所ではよく見かけるものだな。口に合えばいいけど。さあ、食べよう」
まずは俺が率先して口に運ぶ。久しぶりに食べる味に懐かしさがこみ上げる。一から全て作り上げた物なので、美味さが倍増だ。
「「「美味しいです(わ)!!!!」」」
3人娘の声が揃う。
「!」
俺は絶句した。3人娘がほっぺや唇の横に生クリームをつけている…。
メロリは鼻に、レモは唇の横に、ヴィオレットはほっぺにつけていた。漫画によくあるお約束な展開みたいだ。
「メロリ、あんた鼻の頭に付いてるよ」
レモがそう言ってメロリの鼻の頭に付いていたクリームを指で拭いそれを舐めた。
「そういうレモも唇の横に付いていますわよ」
「ヴィオレットもほっぺに付いているのです!」
3人でクリームの舐めあいをしているのを見て、イケナイ気分になるのは俺だけじゃないはず。
そんな邪念を払いのけるように一心不乱にクレープに齧りつく。
3人娘もクリームを舐め終わった後は、あっという間に完食した。
「こんなに美味しい物があるなんて知りませんでしたわ。ご主人様ありがとうございます」
「バナナにこんな食べ方があるなんて知りませんでした。本当に美味しかったです」
「ご主人様、またメロリは食べたいです!メロリ頑張るのでご褒美にまた欲しいのです!」
クレープはかなり高評だったみたいだ。ふむ、また時間があれば作ろうかな。
それから麹作りを進めて、寝る事にした。
翌日、俺達は冒険者ギルドにいた。
受けられる仕事を見てみると、Dランクの中に護衛の仕事があった。今まで討伐や調査しかやった事が無かったがたまにはこんな仕事を請けてみてもいいかもしれない。日程は3日間で帝都からルロン村、ルロン村から帝都までの道のりを護衛するらしい。一応3人娘とも話し合ってこの仕事をすることにした。
「おはようございます、リラさん。今日はこの仕事を請けてみようと思うんですが」
「おはようございます、リュートさん。ああ、フレデリックさんの護衛ですね。募集人数もちょうど4人ですし大丈夫ですね。報酬は1人1日大銀貨2枚です。護衛が終わった後に冒険者ギルドに来ていただければお支払いします。詳しいお話はフレデリックさんに直接聞いてください。これはフレデリックさんの住所です」
そう言ってリラさんは住所の書かれたメモを俺に渡してくれた。
「分かりました。ではこれから伺いに行ってきます」
「えぇ、お願いします。気をつけて行ってきて下さいね」
リラさんに笑顔で見送られた後は、メモに書かれた住所に向かう。
辿り着いた先は昨日俺が買った果物屋さんだった。
「あれ?昨日のお客さんじゃないですか。どうしました?うちの商品傷んでましたか!?」
店の主人が血相を変えて聞いてくる。
「いえ、昨日の果物はとても美味しかったですよ。今朝も食べさせてもらいましたけど瑞々しくて最高でした。それで今日伺ったのは冒険者ギルドの護衛の仕事の件です。僕はリュートと申します。こっちからメロリ、レモ、ヴィオレットです」
「それは良かった!!お客さん達冒険者の方だったんですね!すいません、申し遅れました。僕がフレデリックです。ルロン村までの間の護衛をお願いしたいです。帝都からだとルロン村までは徒歩で1日かかります。安い報酬ですみませんね。それに申し訳ないんですけど、水や食事は各自でお願いします。移動は行きは荷台に乗ってもらって、帰りは荷台に沢山商品を積んで帰るので徒歩になりますね」
「分かりました」
「じゃあ明日の早朝に東門の前で待ち合わせでお願いしますね」
「はい、では明日から宜しくお願いします」
フレデリックさんと別れた後、商店街に寄って食料を買い、3人娘に魔法の水筒も買っておいた。
後は初めて少し離れた場所へ行くので、念のために色々な物を購入し全て|無限収納の中にしまっておく。備えあれば憂いなしっていうだろ?これで大丈夫なはずだ。まぁいざという時は俺が瞬間移動で戻ってこれば良いだけだしね。
明日は早起きだし、早めに寝て明日に備えておこう。
まだ夜が明けるか明けないかくらいの時間に家を出て、東門に向かった。
人が少ないかなって思ってたけれど、思いのほか人は沢山居た。仕入れの時間といった感じだろうか。東門まで来ると、更に活気があるというか野菜を積んだ荷台や肉や魚などが次々と門の外から運ばれてきて、門番はそれを丁寧にチェックしている。
「あ、リュートさんこっちです」
声のする方を向くとフレデリックさんが馬車の御者台に座って手を振っている。
「おはようございます。遅くなって申し訳ありません」
「おはようございます。いえいえ僕もさっき来たところですから。さあ、そろそろ行きましょうか」
「そうですね。宜しくお願いします」
ちゃんと門番のチェックを受け、フレデリックさんの馬車の荷台に3人娘が乗って俺はフレデリックさんの隣に座らせてもらった。
帝都から出て、長閑な風景を楽しみながら警戒は怠らない。普通こういうのって盗賊とか襲ってくるのがお約束だからだ。しかし、待てども襲ってくる気配もないしまず近くに敵なんぞいない。
フレデリックさんと他愛の無い話をしている間にルロン村に着いてしまった。え?マジで?そんな簡単に着いていいのか?でも無事に着けたんだからいいか。
「じゃあ僕は色々とやる事があるのでリュートさん達は自由行動で良いですよ。今日はこの村で一泊してから明日また帝都までの護衛をお願いしますね。宿屋はここから真っ直ぐ行った所にあるのでそこに泊まってください。僕も同じ宿屋ですから後で合流しましょう」
「分かりました。僕たちは仕事のお手伝いとかしなくても良いんですか?手伝う事があるなら手伝いますよ?」
「え?良いんですか?お言葉に甘えてじゃあお願いしようかな」
俺達はフレデリックさんと一緒に村長の所へ行って、それから収穫した果物をフレデリックさんと一緒に荷台に詰め込む。
全て詰め込み終わって、一息つくと村の外から悲鳴が聞こえる。
「アトローシャススパイダーが出たぞ!!!!皆逃げろー!!!」
「女子供優先させて逃げさせろ!!!」
「全て置いて逃げるんだ!」
「ヒーッ!!こっちに来た!!助けてー!!」
村人たちが一斉に必死でこちらへ向かってくる。
「リュートさん、逃げましょう!!アトローシャススパイダーはBランクです!命あっての商売です。さっさと逃げましょう!!」
「アトローシャススパイダー!?」
レモは途端に顔色悪くなり、震え始めた。
お読み頂きありがとうございます。すいません、病気のため治療に専念するため暫くお休みを頂く事になるかもしれません。体調の良い時は少しずつ書き進めますのでそれまでお待ちください。




