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第30話 墓参り

ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます!

すいません、風邪を引いて寝込んでました。アップするの遅くなって申し訳ないです。

 家に帰り着いて、3人娘には食事の準備してもらい俺は風呂の準備に取り掛かる。

 『肌にも優しい激落ちマイルド石鹸』をデッキブラシにつけ鼻歌を歌いながら洗い始める。

 もちろん俺の好きなアニソン達だ。鼻歌だけじゃ収まらず、声に出して歌いだす。好きな歌を歌っていると仕事も捗るしな。

 その内脱線してCMの歌を歌ってみたり、中学生の時に聴いていた曲も歌っていた。ちょうどロック調の曲を歌っていると気分が高揚してきて、デッキブラシをスタンドマイク代わりにしてポーズを決めながら歌う。

 気分は武道館で一万人の観客を目の前に歌っているスターのようだ。盛り上がり過ぎてスタンドマイクのデッキブラシを掲げながら風呂場を走る。武道館の端から端まで走っていくようなイメージでだ。

 その間にもファンに手を振るのも忘れない。あと少しで武道館の端に着くというイメージの中で事件は起きた。

 ツルッ、ゴォン!!

 「オベフッ!!」

 うぉぉぉぉっ痛い!!後頭部を抑えて転がる俺。目の玉飛び出たぞ!まだ風呂洗いの途中だったので『肌にも優しい激落ちマイルド石鹸』を流していなかった。それで滑って後頭部を思い切り地面に打ち付けたみたいだ。

 しかし、とんでもなく痛い。後頭部を擦りながら一応ステータス見たけど問題なかった。普通これ、陥没骨折くらいしてもおかしくないくらいの勢いでぶつけたぞ。

 頭を打ち付けたことで思い出したのだが、俺はこれと同じようなことを中学生の時に実際にやっている…。それから成長していない俺って一体…。

 友人が有名男性2人組ユニットのビデオを貸してくれたので何気なく観ていたのだが、男性のちょっと高めの歌声と格好良さに気分が段々高まってきて、元々憧れていたのもありビデオの中で男性歌手がステージを走り回っているというシーンでは俺も一緒に歌いながら部屋を走り回った。若気の至りってのは怖いね。

 そして見事足を捻って、そのまま壁に激突し悶絶する羽目に。未だに何故あんな事をしようと思ったかは分からない。本気で足を捻って暫く動けない状態で病院に連れて行ってもらったから後で家族に散々バカにされたんだよな。

 おっと、閑話休題。


 懐かしくイタイ思い出に十分浸ったところで我に返り掃除を再開し始める。

 「あの、ご主人様?頭を打ち付けていらっしゃったようですけど大丈夫ですの?」

 ヴィオレットがおずおずと声を掛けてくる。

 「え?ああ、大丈夫。痛いけど別に何ともないよ」

 「それなら良かったのですけど。しかし先程の余興は素晴らしかったですわ。わたくしにも教えてくださいませんか?」

 「え?何の話?」

 「嫌ですわ、ご主人様。私、ちゃんとこの目でずっとご主人様を見てましたのよ」

 …嫌な予感がする。

 「どこから見てたんだ、俺の事を」

 「え?扉の前でですわよ」

 「いや、そうじゃなくてどれくらい前から見てたんだ?」

 「デッキブラシを片手で振り回しながらポーズを決めてたくらいからですけど?」

 「ヒィィィィィィィ!!!!結構前から見られてた!?」

 俺は頭を抱えながら悶絶する。恥ずかしい!!!股間を見られたのも恥ずかしかったけど、それよりもこのイタイ姿を見られたことがショックだ。マジで穴があったら入りたい!!

 「素敵でしたわ!!デッキブラシをこうやって持って、このようなポーズをされて、一番素敵なのはご主人様の歌声でしてよ。何の歌かは存じませんけど。ああ、私思い出すだけでもうっとりしそうですわ」

 ヴィオレットは俺の先程やっていたイタイ姿を完璧にコピーする。

 やめて!!俺の精神力はもう0だよ!!

 「ヴ、ヴィオレット…。この事は秘密で…」

 「あら、それは無理なお願いですわね。だって、そこに2人ともいますし」

 え!?マップで確認すると確かに風呂場の扉の前にいた。歌う事に夢中で3人の存在に気づいてなかった。

 終わった…俺の異世界ライフは終わったよ。この辱めをこれから俺は背負っていく事になるんだな…。

 「出るタイミングを逃してしまいまして…。でも先程のご主人様は素敵でしたよ!あたしはああいった余興を見たことが無かったのですが、ご主人様のが1番凄いと思います。見惚れてしまいました」

 「メロリも最後の方の手を振りながら笑顔で滑って頭を打ち付けるご主人様は凄いと思ったのです!メロリには出来ません!!やはりご主人様は偉大なのです!」

 レモとメロリがひょっこり顔を出して風呂場に入ってきながら俺を褒め称える。

 むしろそっちの方が針の筵です。メロリの発言はもう褒めているのか貶しているのか分からない。今の心の中の俺はHPもMPも0だよ!!!

 「今のは4人だけの秘密だ。絶対に誰にも言うなよ?分かったな?」

 俺は気力を振り絞って3人娘に告げた。

 「秘密…いつもご主人様は素敵だと思いますけれど、先程のご主人様も一段と素敵でしたから隠す必要ないと思いますわよ」

 「メロリも素敵だと思いました!ご主人様カッコイイです!」

 「そうです!!隠す必要ないと思います!」

 「あ、ありがとう。でも内緒だからな」

 力説されて戸惑いながら頷いてしまった。イタイ姿を見てドンビキされなかっただけでもマシか。

 無視されたり、嫌われなくて良かった。ちょっとジーンときた。本当に出来た子達だよね。

 35歳でイタイおっさんなんて、普通はシカトだぜ?俺はしみじみ優しくて良い子達を仲間にしたよなと感慨に耽る。

 「あ、そういや何でここに居たんだ?ご飯の準備はどうした?まだだろう?」

 「いえ、3人で用意したら早く出来ましたのでご主人様を呼びにきたらご主人様が楽しく歌っておられたので声を掛けられなくて…」

 「ごめん、気がつかなくて。もう終わるから食堂で待ってて」

 「分かりました。待ってますね」

 3人とも頷いて外に出て行く。

 水で洗い流してさっきの事は忘れよう…。そうしよう…それが俺の身のためだ。こんな恥ずかしい事早く記憶の彼方に消し去りたい。

 俺は慌てて水で洗い流す。全て水に流れてしまえばいい。俺の辱めと共に…。

 これでもかと洗い流した後にはちゃんと湯を入れておいた。

 そして食堂に向かう。今日のご飯は何だろな。


 今日のご飯はストーンバイソンのシュラスコバージョンだ。肉の塊を串刺しにし豪快に焼いてある。

 後はサラダとパンだ。ストーンバイソンの肉の焼ける匂いが香ばしくて、食欲を掻き立てる。

 出来立てホヤホヤの肉を俺の所にレモが運んできてくれる。

 「ご主人様、好きなだけ切り取りますので仰って下さい」

 「じゃあ3枚ほど欲しいかな」

 ここは焦らず、3枚にしておいた。食べたくなったならまた言えばいいし。レモは頷いて器用にナイフで肉をそぎ落としていく。おお、美味そうだ。中は完璧にレアに近いので見た目はローストビーフに似ているかもしれない。肉に仕上げのソースをかけてくれた。レモはメロリやヴィオレットにも切り分け、最後に自分の分を切り取る。全員分揃ったところで「いただきます」をして食べ始める。

 シュラスコという料理は知っているが、食べた事はない。この世界に来てからはどちらかと言うとブラジル系の料理が多いな。豆料理といいこのシュラスコといい、似ている感じはする。その内コーヒーとか出てくるんじゃなかろうか。俺の中のブラジルってそんなイメージ。後はサッカーやサンバぐらいなものか??

 まずは切り取られた肉を一口大に切って口に入れる。塩で味付けられた肉は脂が乗っていて美味い。焼き方が絶妙だ。それにソースは酸味があるソースで柑橘系の味がする。醤油ベースのソースくらいしか食べた事が無かったからこういった柑橘系のソースだとさっぱりして美味しい。

 あっという間に平らげると他の3人娘達も皿の上は空っぽだった。レモは2本目の肉の塊を持ってくる。また何枚か切り取ってもらい、十分に堪能する。

 3人娘達はその内おかわりのし過ぎで1人1本を手に持っていた。…流石に食い過ぎじゃないのかね?まぁ、3人ともどちらかというと痩せている分類だとは思うからいいだろうけど…太ったら痩せる薬でも開発でもするか。


 娘達の食事が終わったところで、さっさと後片付けをして風呂に入り作業部屋に戻る。

 早速味噌作りと醤油作りに取り掛かった。無限収納アイテムから料理本を取り出して作り方を見てみると、味噌には麹と大豆と塩がいると書かれている。待て待て待て!麹なんてどうやって手に入れるんだよ!?麹って米から作るんじゃないのか?今の所この世界には米なんてないぞ?どうやって作るんだよ…いきなり詰んだわ。畜生め。

 醤油作りも見てみたが、同じく麹が必要だった。ガビーン。味噌や醤油が作れないじゃないか。

 しょぼくれながら料理本を捲っていて思ったのだが、別に米に拘らなくても出来るんじゃないだろうか?大豆で代用出来るかもしれない…。そう考え付いてやってみることにした。

 大豆を綺麗に洗い、水に浸す作業をとりあえず大豆3袋分やった。これくらいなら失敗しても大きな損害にはならないと思うからだ。初めて作るから成功するとは限らないしね。

 水に浸した後はこれを明日の晩くらいまでつけておく予定なので、今日はもうやる事がなくなってしまった。

 今日は大人しく寝ておくか。俺はベッドの中に入ると、夢の中に旅立つまでに時間は全く掛からなかった。


 翌日起きて、朝食を取った後自由行動することにした。家でまったりしてもよし、どこかに出かけて買い物や美味しい物を食べてきてもいいし、好きな事をする時間に使う。日曜日とかそんな感じだよね。

 「あ、あのご主人様…それはあたし達がいらないって事でしょうか?」

 3人とももじもじしながら俺の方を見ている。

 「え?何でそうなる?今日は休日にするから好きな事していいよって言っただけだよね?」

 「休日って奴隷には無い物です。全てはご主人様のために尽くすのが奴隷です。奴隷に休日なんて聞いたこともありませんよ」

 「いや、昨日も戦闘ばかりで疲れただろう?疲れた体を癒すのも仕事だから問題ないよ」

 「じゃあ、両親の墓参りにでも行ってきてもいいですか?」

 レモは少しためらいがち俺に聞いてくる。

 「いいよ。それなら俺も連れて行ってくれないか?ご両親に挨拶くらいはしておきたいしな」

 「ご主人様、よろしいんですか?」

 「もちろん、花もたくさん買っていこう」

 結局俺達は4人揃って出かける事にした。墓参りということなのでヴィオレットにもお嬢様の墓参りをするかと訊ねたら、嬉しそうに喜んだ。因みに両親の墓は知らないらしい。

 商店街で花をたくさん購入し、まずはレモの両親の墓参りから行く事になった。

 

 レモの両親の墓は帝都の西門から出て少し歩いた小高い丘の上にあった。辺りは何もなく殺風景な場所にレモの両親の墓標が2つ並んでいる。墓標には苔が生えているし、墓の周りは雑草が生い茂っている。最早誰の墓なのか分からない状態だ。

 「とりあえず、お墓の周りを少し綺麗にしてあげよう。それからだな」

 「はい、ありがとうございます。ご主人様」

 レモは頷いて早速墓標を擦り苔を落とし始めた。

 メロリやヴィオレットは雑草をむしり始めたので、俺も草むしりに参加する。4人で掃除をしているのであっという間だ。

 綺麗になった所で、墓標を確認するとクリムとアランナと書いてある。お父さんがクリムでお母さんがアランナかな。

 「父さん、母さんただいま。なかなか来れなくってごめん。あたしは元気に暮らしているよ。今はこちらにいるリュート様というご主人様にお仕えしてる」

 レモが2つの墓標に向かって話しかけているので、俺もそれに習って墓標に話しかける。

 「クリムさん、アランナさん、僕はリュートと申します。訳があってレモを奴隷にしてしまいましたが、粗末に扱うような事はしません。危険な事もあまりさせないようにします。大事に成人まで育ててちゃんと来るべき日が来たら奴隷から開放してあげるつもりなので心配しないでください」

 そういい終わると、レモが涙目になってこちらを見ている。

 「ご、ご主人様…奴隷から解放させるって本当ですか?あたし何か悪い事しましたか?もしかしてあたしの事嫌いですか!?まだお役に立ててないかもしれないですけど頑張ります!お願いです。あたしはご主人様の奴隷でいたいです!!」

 レモは一気にまくし立てて俺に急に抱きついてきたのでそれを何とか受け止めた。

 「レモ、誤解だ。別に俺はレモの事嫌いじゃないし、悪い事もしてない。ちゃんと料理とか他の2人の面倒も見てくれてるし、戦闘でも役に立ってる。奴隷から開放するのはレモだって普通の女の子として人生を歩みたいだろう?好きな人と恋愛して結婚したりとかさ。俺はそういったことをレモやメロリ、ヴィオレットにもさせてあげたいんだ。だから元々いつかは奴隷から開放してあげるつもりだったよ。レモだけが特別じゃない」

 「それって…ご主人様プロポーズですか?」

 レモの瞳からは涙が止め処なく零れている。

 「え?何でそうなった?」

 「奴隷から開放して好きな人と恋愛しても良いんですよね?だったらあたしはご主人様が良いです。あたしをお嫁さんにしてください」

 「俺!?」

 レモからは嫌われてはいないとは思っていたが、まさかそう来るとは…。どうする!?でもさ、このくらいの年齢の恋愛って恋に恋する感じじゃないのかな。凄く嬉しいけど、何年かしたら気の迷いでしたってことにもなりかねない。そうなったら俺は確実に1年は浮上出来ないぞ?俺は別に特別カッコイイ顔とかしてないし、身長165センチとこちらの男性に比べれば小さいしな。ごくごく普通の日本人顔で日本人体形だ。レモももしかしたら数年後には違う人を好きになったりして…。それはそれでかなり俺は泣けるかもしれない。

 「レモだけじゃずるいのです!!メロリもご主人様のお嫁さんになりたいです!!」

 「あら、2人とも抜け駆けはいけません事よ。私もご主人様の花嫁になりたいですわ」

 メロリもヴィオレットも俺に抱きついてくる。

 「おわっ!?」

 バランスを崩して、倒れこんだ。倒れこんで4人で地面に寝転んだ。

 どこからとも無く笑いがこみ上げてきて4人で暫く笑った後、俺は答えを出す。

 「皆の気持ちは嬉しい。でもその返事は全員20歳を超えたら出すよ。それまでは皆普通にして欲しい。俺も3人とも平等に扱うからそのつもりで」

 「そういえば、何故20歳ですの?ご主人様」

 「皆成人を迎えたほうが問題ないからだ」

 「え?普通は成人は15歳ですけど?」

 「そうなの?」

 「はい」

 「・・・・・」

 知らんかった。この世界じゃ15歳が成人なのか。だから俺も一応成人となるわけか。しかし、今の俺はどこからどう見てもただの中坊にしか見えない。これが成人と言われてもなぁ。

 「俺が住んでいた国では20歳が成人なんだよ。15歳じゃまだ体も出来てないし、精神的にも幼いからな」

 「全員20歳と言うことはメロリも20歳超えてからですか?」

 「そうなるな。だからメロリが今11歳だから9年後かな」

 「結構ありますわね。でもそれまで自分を磨いてご主人様が他の女性に目もいかないようにして差し上げますわ!」

 「あたしもこの体を磨いて、ご主人様の視線を釘付けにさせれるよう努力します!」

 「メロリは、大人になったら沢山子供が生めるようになるので子孫の心配はいらないのです!」

 「お手柔らかに…」

 鼻息の荒い3人娘と引き気味な俺との横をすーっと風が通り過ぎていく。

 空を見上げると青空が広がっていてとても綺麗だ。さてヴィオレットのお嬢様の墓参りにもいかなくちゃな。俺たちは4人でワイワイ言いながら帝都に向かった。

お読み頂きありがとうございます。

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