幕間3-レモの視点ー 後編
本日2話目のアップです。前編をお読み頂いてからこちらの話を呼んでくださいますようお願い致します。
ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます!
何日もかけてようやく帝都に着いたときにはもうあたしは極度の疲労と空腹で倒れそうだった。
ついに限界を迎えて、倒れこんで意識を失う。これであたしも両親のところにいけるかな。
「目が覚めたかな?君はこの奴隷商館の前で倒れていたんだけど、覚えているかね?」
意識が戻って、目を開けるとそこには小太りで髭が生えているおじさんがいた。
「あの、助けてくれたんですか?あたしは港町から何も食べずに歩いて戻ってきたんですが、限界がやってきて倒れたみたいですいません」
「いや、いいよ。私の名前はドリー。ここの奴隷商館の主だ。ご両親は?」
「両親は死んでしまいました。それで母さんの弟の所で働こうと猿の国行こうと思ったら港町でお金を巻き上げられてしまって」
「そうだったのか、君が良ければ奴隷になっていい主人に買われてみないか?」
奴隷…あたしは奴隷に対してあまり良いイメージはない。冒険者の中でも奴隷を犠牲にする人も多いから。でも両親を無くした子供が最終的に行き着くのは奴隷という道しかない。
「別に嫌だったら構わないんだけど、君は私が言うのもなんだがいい人に買われそうな予感がするんだ」
「いえ、いいんです。両親を無くした子が生きていくのは厳しいの分かってますから」
「じゃあ暫くは体を癒して、それからにしよう」
「ありがとうございます」
あたしはドリー様に拾ってもらってから体の傷を十分に癒し、奴隷とは何であるかを学んだ。伽の相手を所望するご主人様もいれば、冒険者として仲間に迎えてくれるご主人様もいるらしい。あたしが知っているような奴隷を人と扱わないご主人様もいるみたい。そんなご主人様だけは嫌だな。
あたしは母さん譲りの顔立ちで悪くは無いと自分では思うし、12歳になってようやく母さんの体つきに似てきた。このまま成長すれば若い時の母さんにそっくりだと思う。
あたしの体は男の人が好きそうな体つきと言ってもいい。同じ部屋の姉さんが伽の仕方や可愛く見せる仕草など教えてくれたし、両親のイチャイチャぶりを間近で見てきたんだからきっと大丈夫。伽を命じられたってうまくやれるはず。
それにドリー様があたしが器用だからと罠の探索や解除、罠の仕掛け方などを教師をつけて教えてくれたので冒険者としても役に立つと思う。
商品として並ぶようになって、色々な人を見てきたがピンと来る人がいなかった。出来る事なら自分が決めた人に仕えたい。ドリー様も何故かあたしを売らなかった。
14歳になった時に、あたしのいる部屋に小さな犬の獣人の子がやってきた。不安そうな顔をしながら隅にいる子を見かけて2年前の自分を思い出した。普段は声を掛けないけど、何故か声を掛けてしまった。
年齢と名前を聞くとあたしよりも4歳も年下でメロリという名前だった。あたしには兄弟がいなかったけど。もし妹がいたらこんな感じなのかもしれない。メロリとはあっという間に打ち解けて色んな話をした。いつの間にか常に2人でいる事が多かったと思う。
ある日、ドリー様に呼ばれたので応接室に入るとそこには若い男の人がソファに座っていた。
「おお、レモ。こちらの方はエルファン・パレッド様だ。罠探索、解除の出来る奴隷をお探しでちょうど君がそれに該当したんだが…。エルファン様いかかでしょうか?」
エルファンと呼ばれた男の人はあたしをじっと見た後、笑顔になって手を差し出してきた。
「僕はエルファン。君さえ良ければ僕達の仲間になって冒険者をやってみないかい?」
え?この人はあたしを奴隷扱いしないで仲間として迎えてくれるっていうの?
「レモ、エルファン様は1人の仲間として迎えてくれるそうだ。悪くない話だろう?」
それが本当なら願っても無い話だけど…。
「どうかな?僕にはミゼルという女性の従者がいるんだけど、年齢も近いし仲良くなれると思うんだけな」
「あたしでいいんですか?」
「もちろん、一緒に頑張ってくれるかい?」
この人なら仕えてもいいかもしれない。
「はい、お願いします」
こうしてあたしはエルファン様に買われ、奴隷商館を出る事になった。
エルファン様はあたしを本当に奴隷とは扱わずに仲間として扱ってくれた。あたしの他にもペッゼンとモイスという男の奴隷もいたが、話していくと打ち解けて仲良くなった。
ミゼル様に用事があって、部屋の前に来たときにミゼル様の悲鳴が聞こえたので慌てて扉を開くとエルファン様とミゼル様が愛し合っているのが見えた。音を立てないよう扉を閉める。昔の父さんと母さんを思い出して懐かしくなった。両親は互いの気持ちが盛り上がるとあたしがいてもいなくても所構わずだったしね。
エルファン様と冒険者としてやっていたある日、トレントを狩っていたらワイルドボアの群れに出くわしてしまった。ペッゼンとモイス、あたしも一生懸命戦ってるけどとてもじゃないけど無理だった。
次第にペッゼンに疲れが見え始め動きが鈍くなっている所にワイルドボアの一撃が入る。
モイスが助けに入ったところをトレントの枝で刺される。最早いつもの隊形は崩れ去り、敵に蹂躙される一方だった。
「エルファン様、ここは私たちに任せて早くお逃げください!!!」
ミゼル様の言葉を聞いてフラッシュバックする。両親が死んだ時と似ている状況に体が震え出す。
「そんな、ミゼルやペッゼン、モイス、レモを置いてなんて行けないよ!」
「ダメです!!お願いですから逃げてください!エルファン様、どうかご無事で!!!」
ミゼル様はエルファン様の目の前に立ち、エルファン様に逃げるように説得している。
「分かった…何とか助けを呼んでくる!!」
エルファン様が駆け出すと、何体かは数えれなかったけどワイルドボアもついて行ってしまった。
しかし、ついて行かなかったワイルドボアも何体かはいたのでこちらに襲い掛かってくる。
ペッゼンとモイスが力を振り絞って戦ったけど、力尽きて倒れてしまう。あたしは震えが止まらなくて、戦う事が出来なかった。ついに近くにいたトレントの攻撃を受けてしまい、息が出来ず崩れ落ちる。
最後にあたしが見たものはワイルドボアがペッゼンとモイスを食い殺す場面だった。
どれだけ時間が経ったのか分からないけど、口に液体を流し込まれて驚いて目を覚ます。
目を開いている自覚はあるのに全く目の前は暗いままだった。何が起こっているのか分からない。
手を目に当ててみるが、見えないままだった。怖い!怖い!
しかも目の前には誰かがいるらしい。エルファン様やミゼル様じゃない!?
パニック状態に陥っていると、布らしき物を被せられる。
「俺は君を助けに来た。君は魔物に目をやられ目が見えない状況だ。そこまでは分かるかい?」
助けが来た?体から力が抜ける。あたしは声の主に頷いた。
「俺が今治してやるから、これを飲んで。布は被ったままで、目は瞑っていてくれ」
薬を手渡されたので、言われた様に目を瞑り薬を飲み干した。
「よし、布を被ったまま目を少しずつ目を開けてみて。一応布を被ってるから大丈夫だとは思うけど、一気に光を感じると目に良くないから」
布を被ったまま少しずつ目を開くと先程とは違って薄暗いけど光が見える。
布を外して見ると、そこには黒髪のあたしと同じくらいの歳の男の人がいた。
「あ、見えます。目がちゃんと見えました!」
そう伝えるとほっとしたような顔つきになったけど、心配そうにあたしを見つめている。
「よし、じゃあ次は立てるかい?」
手を差し出してくれたので、その手を掴み立ち上がった。
「は、はい。あの、今の薬は・・?」
「ああ、それは俺が治してあげたくてやったことだから気にしなくていいよ」
少しはにかんだ感じで笑ったのを見て、頭がぽーっとするのを感じた。
「ありがとうございます!」
あたしは我に返って助けてくれた男の人に頭を下げる。
「さてととりあえず戻ろうか。ついて来て」
「はい」
男の人はあたしに気を使いながら、前を歩いていく。途中でミゼル様と会って、お互いの無事を喜んだ。森を抜けるとエルファン様まで無事で、本当に良かった。
エルファン様と話しているときに男の人の名前を聞いた。リュートと言う名前らしい。もう一度心の中でリュート様と呟き反芻する。素敵な名前だと思った。
その後宿屋に戻って、エルファン様が冒険者を辞めて商人になると言う話を聞いた。エルファン様はあたしのスキルは役に立つから冒険者としてやっていった方が良いって言ってくれた。そしてリュート様の所に行ってみないかと言われたので、あたしも行きたいですと即答で頷いた。
あたしを奴隷にすることを躊躇っているリュート様を何とか説得し、ようやくリュート様の奴隷になれた。仲の良かったメロリや可愛らしいヴィオレットと共にやっていく事になって嬉しいし、あたしは幸せだと思う。
エルファン様も優しかったけど、今のご主人様はもっと優しい。同じ部屋で寝てもいいって言われたからいよいよ伽をするのかと思ったけど違ってた。
両親やエルファン様達のイチャイチャ姿を見ていたし、伽の仕方も教わっているから自信があったんだけどね。
しかもご主人様には20歳までは手を出さないって言われた。それがちょっと残念。あたしは早くご主人様のものになりたかったんだけどね。でもご主人様にはご主人様の考えがあるからあたしはそれに従うだけ。
あたしは目を治してもらって、顔を見た瞬間からもうご主人様の虜。飽きられない様に一生懸命尽くさないと。
男の人に対してこんな事思ったの初めてで戸惑いもあるし、どうやったら好かれるかなんて分からない。
でもやる事はただ一つ。ご主人様の役に立って、少しでもあたしの事を好きになって欲しいから頑張るよ!決意新たにあたしは眠りについた。
お読み頂きありがとうございます。




