第29話 報告
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帝都に戻って、ギルドに向かうと朝のような混雑はなくそれなりの人がいるだけで静かなほうだ。
ちょうどリラさんとスティナさんがお喋りしていたのでそちらに向かった。
「ただいま戻りました。トレントの討伐とリッパーベアの討伐が終わりましたので報告に来ました」
「おかえり~、リュート君」
「おかえりなさい、リュートさん。では報告お願いします」
「トレント10体と、リッパーベアの爪です。それと魔石ですね。トレントはどこに置けばいいですか?」
カウンターには出せないので、置く場所を聞く。
「こちらに出していただけますか?」
リラさんに指定された場所にトレントを10体出した。細かい枝だけ切り落としただけだから木そのままだ。魔石は回収してあるので、カウンターに置いた。リッパーベアの爪も魔石の隣に置く。
「へぇ、まだEランクなのに頑張ったのね~。えらいわね、おねーさんが褒めてあげる」
スティナさんはカウンターから身を乗り出して、俺のほっぺにキスしてくれた。おおぅ、ちょっと恥ずかしいじゃないか。だって、こんなことされるの何年ぶりだろうか…。柔らかい感触がたまらない。
「ちょ、何やってるの!スティナ!!!貴女仕事中なのよ!しかも年下のリュートさんにそんな破廉恥な事して!!」
リラさんは顔を真っ赤にしてスティナさんに怒っていた。普段クール系の美女が初心な所を見せるとこうぐっとくるんだが。リラさん彼氏とかいないのかな?
「何よ~。そんな顔真っ赤にさせて怒らなくてもいいじゃない。だって、リュート君って私の好みのどストライクなんだもん。リラだってリュート君の事素敵な人だって言ってたじゃん!」
「ひゃあああ!!スティナ!!何てこと言ってるの!?あれは違うのよ!リュートさんはいつも笑顔で言葉遣いも良くて、真面目そうで…ああああ!!私ったら何を言ってるのかしら?」
顔から体から全て真っ赤にさせたリラさんはスティナのバカっ!と叫んで奥の部屋に引っ込んでしまった。大丈夫だろうか?普段のリラさんとはかけ離れた感じだったが。
それよりもトレントの査定とかリッパーベアの討伐証明は?
「からかい過ぎちゃったかしらね。じゃあおねーさんが査定するから待っててね」
スティナさんの顔つきが変わって真剣そのものでトレントを査定していく。さっきまでのほわほわ感がなくなって、仕事に没頭している。普段ちょっとエッチでほわほわ系美女が真剣な顔つきで仕事しているってのもいいな。リラさんといい、スティナさんといいギャップがあるってのは魅力的なもんだな。
「トレントはちょっと傷が多いから少し価値は下がっちゃうわね。でも10本のうち3本が傷が多いだけで、後はちゃんと使える物だから問題ないわ。そうね、これだと金貨2枚と大銀貨2枚ぐらいが妥当ね。それから、討伐報酬の大銀貨5枚を含めると金貨2枚と大銀貨7枚ね。リッパーベアは討伐証明である爪をちゃんと持ってきたからこれも依頼クリアということで大銀貨6枚ね。魔石は全部で…あら?トレント以外にも狩ってきたの?数が多いわね。」
「そうです。ワイルドボアの群れに出くわしたのと、ビッグアントの群れに出くわしましてそれを倒してたらこんなに溜まっちゃいました」
「え…?」
スティナさんが俺の顔を見て止まっている。
「え?」
俺もどうしていいか分からずスティナさんの顔を見て固まる。
「リュート君、ほんとにEランクなの?ワイルドボアは群れるとDランクでも厳しいし、ビッグアントって倒すのが大変なのよ。表面が硬くてなかなかダメージが当たらなくて大変なの。Eランクならビッグアントを見たら一目散で逃げないと大変な事になるわ。でも良かったわねクイーンアント呼ばれたら森を生きて出る事は無かったでしょうね。いけない、クイーンアントの討伐の依頼かけないと…」
「あ、そのクイーンアントも倒したんですけど?」
「え?」
「え?」
またさっきと同じようにスティナさんと俺は見つめ合ってしまった。
「クイーンアントはCランクでもきついんじゃないかしらね?ビッグアントはまだ何とかなったってのは分かるけれど、クイーンは相当硬くてダメージが通らないのよ?それを倒したって…凄いわよ!さすがあのギルド長が目を掛けたってのはまんざらでもないのね」
スティナさんは笑顔で俺の肩をポンと叩いた。
「そうだ、クイーンアントやビッグアントの素材、それにワイルドボアの素材も買い取るわよ」
あんな蟻の素材なんて何の役に立つのかと思ったが、買い取ってもらえるなら助かる。俺はビッグアントとクイーンアントの素材、ワイルドボアの素材を全て出した。意外と出してみると量が多いな。
「凄い量ね。本当によく無事で帰ってきたわ。これだけあると少し時間がかかるから他の職員も呼んでくるわね」
そう言ってスティナさんは職員を呼びに言ってしまった。
仕方ない、暫く待つか。バーカウンターもあるし、そこで飲みながら待とう。
俺は3人娘を引き連れて、バーカウンターまで足を運んだ。棚には沢山のビンが並んでいて、種類は豊富そうだ。そしてカウンターにはワイルド系のおじさんが1人いた。
「すみません、何か飲みたいのですがメニューとかありますか?」
「麦酒、葡萄酒、あとはジュース類も取り扱ってるが、どうする?」
俺は元々そんなに酒飲みじゃないし、3人娘もジュースがいいだろう。俺はジュースを4人分頼んだ。
「はいよ、おまちどうさん」
俺たちの前にジュースが並べられる。木のジョッキに入っているので何色かまではわからないが、爽やかな甘い香りがした。匂い的にはりんごっぽいな。
一口飲んでみると、りんごの味だ。ほどよい酸味があって甘ったるくなくていい。砂糖とか一切使用していないすりおろしりんごジュースといった感じか。
「ご主人様、このジュース美味しいですね」
メロリは尻尾を揺らしながらごくごく飲んでいる。相当気に入ったようだ。
「アップルジュースですね。久しぶりに飲みました。美味しいです」
レモも気に入ったようで、味わいながら飲んでいるみたいだ。
「私も久しぶりですわ。個人的にはもう少し甘いといいのですけど」
ヴィオレットも文句はいいつつもちゃっかり飲んでいるので問題は無いだろう。
しかし、自然の甘さで俺は好きだけどな。無添加ってのを実感できるし。こっちの食べ物は余計な物が入ってなくて、その分素材の味が良くないと不味いのがすぐ分かる。このジュースも新鮮な感じがするので採れたてのを絞った物かもしれないな。
ジュースを堪能しながら寛いでいると、声を掛けられた。
「お待たせ、リュート君。査定が終わったのでカウンターまで来てくれるかしら?」
もう終わったのか、思ったより早かったな。カウンターに行くと、スティナさんとレティナットさんがいた。
「リュートちゃん、スティナから聞いたわヨ。ワイルドボアやビッグアントの群れを倒して、更にクイーンアントまで倒した事じゃないの!凄いじゃない!ますますリュートちゃんから目が離せないわ」
レティナットさんが俺にウィンクをかましてくるのだが、気持ち悪い…。ケバイ化粧のおっさんのウィンクって誰が喜ぶんだ。
「はいはい、ギルド長それくらいにしてあげてくださいよ。だたでさえ気持ち悪いんですから。リュート君困ってるじゃないですか。じゃあリュート君精算するわね」
「失礼な子ネ!アタシのどこが気持ち悪いのヨ。どこからどう見ても完璧過ぎる美を持っているじゃないの。リュートちゃんは照れているだけヨ。ネ?そうでしょ?」
いえ、俺は一切照れてなんていません。むしろスティナさんが言ったように気持ちが悪くて最悪です。
「その無言は肯定ととっていいわよネ?ああん、もうこの照れ屋なリュートちゃん!」
レティナットさんは体をクネクネさせながら俺の頬を指で突く。このおっさん手加減はないのだろうか?頬がかなり痛い。
「痛いですって、レティナットさん。止めて下さい」
「そんな所もいいわヨ。ツレナイ感じもまたいいの」
レティナットさんは俺の話を聞いちゃいないらしい。クネクネしながら俺の体をベタベタ触っている。ある意味セクハラみたいなものなんだが、どうすればいいんだこれ。
「いい加減にしてくださいよっと」
スティナさんが、高速パンチをレティナットさんの顔面にヒットさせてから次にボディに重たい拳を沈めて、次に首の部分に回し蹴りを炸裂させる。その動きがあまりにも見事で感動してしまった。そして俺は偶然にも…黒のレースのパンチラを目撃した。素晴らしい。あくまでも偶然だから。
「ゴベフッ!」
レティナットさんの巨体をスティナさんは軽々と吹っ飛ばした。
えーーーーーー!!!マジで!?
スキル:【格闘術】を習得しました
そういやスティナさんは格闘術の師範だっけ?若いのに相当修行したんだな。確かに今見てて強いと思ったし。むしろスティナさんを怒らせてはいけないというのも学習した。
「痛いじゃないの!アンタ、アタシを殺す気!?」
吹っ飛ばされたレティナットさんは、首をコキコキ鳴らしながら、こっちに戻ってくる。あれだけの技を決められて気絶とか全くしてなくて、ピンピンしているレティナットさんの方が凄いっす。
「それくらいじゃ死にませんよ。ごめんね、リュート君。じゃあ精算始めるわね。ワイルドボアの肉、皮の料金が金貨4枚でビッグアントの素材の料金が金貨3枚と大銀貨8枚ね。クイーンアントは金貨5枚よ。クイーンアントはかなり状態もいいし、買取アップしておいたわよ。魔石は全部で大銀貨4枚で、先程のトレントとリッパーベアの料金が二つ合わせて金貨3枚と大銀貨3枚だから、えっと合計金貨18枚ね」
かなりの金額になったな。これで1ヶ月の家賃代は稼いだぞ。
「では、金貨18枚ね。それからギルド長と話し合ったんだけど、リュート君は今Eランクよね?本当ならEランクからDランクに上がるためには依頼を15回クリアしてもらわないといけないんだけど、ワイルドボアの群れを倒したり、ビッグアントやクイーンアントまで倒せる技量があるんだからもうDランクに昇格してもらおうと思うの」
「そうヨ、アタシもスティナの話を聞いてそれがいいと思って許可したの。Dランクになったらギルドからランクアップの試験を出すわ。それをクリアすればいきなりCランクも夢じゃないわヨ」
いや、そんなこと言われてもなぁ。俺は日々暮らせるお金を稼げればいいし、ランク上げたいわけじゃないし。でも好意で言ってくれてるわけだし受けとくか?
「まぁ、いきなり試験をやれなんて言わないわヨ。暫くDランクで活動してみて良ければ試験を受けてもいいんじゃないかしらネ」
それならいいか。あまり危ない事したくないしな。色々依頼を受けてみてからでも遅くは無いだろう。
「分かりました。ではご好意に甘えさせてもらいます」
「じゃあ、ギルドカード出してくれる?」
俺はギルドカードをスティナさんに手渡した。
「今新しいギルドカードを発行するからちょっと待っててね」
俺は頷いて、3人娘やレティナットさんを交えながら他愛も無い話をしていた。
「お待たせ。これが新しいギルドカードね。試験を受けたくなったら職員に話しかけてくれれば大丈夫よ。リュート君、頑張ってね!おねーさん応援しちゃうぞ!」
「ありがとうございます!依頼をこなしてみてから考えますよ。あ、そうだ俺が作ったんですけど良かったら使ってください。これはスティナさんの分とリラさんの分です」
俺はヒアリスの香水を取り出してスティナさんに渡す。
「え?いいの?ってこれは…ヒアリスの香水じゃない!?リュート君ありがとう~!おねーさんとっても嬉しいわ!」
スティナさんはとても喜んでくれたみたいだ。
「ご、ご主人様、私達の分はありますの!?」
ヴィオレットが目の色を変えて俺に詰め寄ってくるので、慌てて3人娘の香水も取り出して渡す。
「嬉しいですわ!ご主人様!ありがとうございます!!」
「わぁ、いい匂いなのです!」
「ご主人様…嬉しいです」
3人娘も喜んでいるので俺も一安心だ。
「ちょ、ちょっとリュートちゃん、そんなに沢山の女の子にプロポーズしていいの?」
レティナットさんはオロオロしながら俺に聞いてきた。
「え?今何て?プロポーズ???」
「はぁ、やっぱりリュートちゃんは知らなかったのネ。スティナ、そのプロポーズは無効ヨ」
「いやあっ!リュート君は私にプロポーズしてくれたんだもん!ダメよ!ちゃんと結婚してもらうんだから!!」
え?え?え?どうしてこうなった?俺は香水渡しただけなんだけど?
「ヒアリスの香水は男性から渡すのはプロポーズの意味もあるのヨ。ヒアリスの花言葉は真実の愛なの。それを香水にして渡すのは真実の愛を込めて貴女に捧げますって事になるのよネ」
そんな事聞いてないぞ?ヴィオレットには帝都では凄く人気があって滅多には手に入らないって聞いただけだし。俺はヴィオレットをじっと見つめると、視線に気がついたのか気まずそうに視線を逸らす。
「だって、乙女なら一度は憧れるものですわ。男性からヒアリスの香水を貰うってのは夢なんですもの。もしその事をご主人様に伝えたら香水を貰えなくなるかと思って黙ってました…」
「何ていじらしいの!!アタシも憧れてるからその気持ち分かるわ!!女なら一度は夢見るものよネ!!」
ヴィオレットとレティナットさんが手を取り合って分かち合っている。ヴィオレットは分かるが、おっさんが夢見るような事ではないだろう。
「プロポーズの事は知らなかったんで、無しにしてもらってもいいですか?そのままヒアリスの香水は持っていてもらって構わないので」
「ええー、残念。おねーさんリュート君の花嫁になれると思ったのに~」
「アンタみたいな年中発情女にプロポーズなんかするわけないじゃない」
またスティナさんとレティナットさんがワイワイギャーギャー言っているのを横目に、3人娘にも言っておく。
「深い意味はないから、安心して受け取ってくれ。そもそもプロポーズって知らなかったしな」
「「「はい、ご主人様」」」
3人とも何となく微妙な顔をしているが、それは放っておこう。
収集がつかないくらい暴れている2人を置いてそっとギルドを出た。何かどっと疲れが出る。
今日こそはちゃんと寝よう。
お読み頂きありがとうございます。




