第28話 活躍
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森の奥に進むと、少し先のほうから大きな物音が聞こえる。
マップを確認してみるとトレントの群れとビッグアントの群れが戦闘していた。
3人娘をここで待機させ、俺は1人でその場所へ向かう。足音をさせないようにゆっくりと静かに近づく。
木に隠れながら戦闘を盗み見るとトレントも応戦はしているが、蟻が一方的にトレントを蹂躙しているような形だ。白蟻みたいに木を食べる昆虫のお化けと言った方が分かりやすいな。ビッグアントまさにそのままで、でか過ぎる蟻がワラワラと湧いて気持ちが悪い。
トレントを狩りに来たはいいが、蟻に食われてるのはちょっといただけないよな。トレント討伐は数を減らす目的もあるが、木材としての利用価値が高くそれなりの値段で売れる。
お宝を目の前で失うのはもったいない。俺は引き返して3人娘と合流し、簡単な作戦を立てた。
「ヴィオレットと俺で蟻をけん制するからメロリとレモは蟻の間接部分を攻撃してくれ」
3人娘は頷き、武器を構える。
俺とヴィオレットは水の球や風の刃でまずはトレント達から蟻を離す事を優先させ、こちらに注意を惹きつけた。
ビッグアント達は俺達に気がつきトレントを食べるのを止め、大きな手足を器用に動かしながらやってくる。尻の部分から針を出し入れしながら攻撃するタイミングを見計らっているみたいだ。
その中の1匹がメロリに向かって大きな口を開けながら近づいた。
メロリは飛びのいて、槍を腹部に刺すが硬くて弾かれる。そこにすかさずレモがビッグアントの足の間接部分を短剣で切りつけた。
すると、ビッグアントの足が切れてバランスを崩す。その瞬間にヴィオレットの詠唱が終わり、ビッグアントの頭部と胸部の間に風の刃が炸裂した。
やったか?と思ったのもつかの間、蟻は節を伸ばしたり縮ませたりして音を鳴らす。
その音を聞いてか他のビッグアント達も音を鳴らし始めた。
これは…何かやばいような気がする。仲間とか呼んでいるような感じで嫌な予感しかしない。
とりあえず、周囲に気を配りながら3人娘の連携を手助けしつつビッグアントを1匹ずつ確実に仕留めていく。
ガサゴソガサゴソ
俺の聴覚探索に引っかかる。マップで確認すると、クイーンアントだ。
これはもしかしなくとも女王蟻のご登場っぽいな。3人娘はビッグアントの群れだけで手一杯だ。
ここは俺が出るしかないだろう。念のためにヴィオレットには完全魔力回復薬、体力回復薬などを渡しておいた。魔力が無くなれば戦闘がきつくなるし、怪我をしては大変だ。多めに渡しておく。
「俺はクイーンアントを食い止めるから、3人でやれるか?」
「大丈夫です!」
「はい、大丈夫です」
「お任せくださいませ!」
3人娘は気合を入れてビッグアントに向かっていった。俺がさっさと倒して戻ってこればいいだろう。
俺はクイーンアントの所まで走っていき、1発水の球をお見舞いしてやる。クイーンアントは俺に的を絞り、毒針から蟻酸を噴射する。ひらりとかわすと、蟻酸は木にかかり酸でとけ始める。強力だな…。かかったら終わりじゃないか!
無限収納から【奇跡の聖剣】を取り出し、赤い炎を纏わせる。
鋼の剣はゴリに渡して無いし、誰も見てない今なら【奇跡の聖剣】を使っても大丈夫だろう。
それに魔法を使えるようになったし、性能に魔法を纏えるってなってるんだから纏わせて厨二病擽る魔法剣にしてみた。
いいねぇ、炎の剣みたいだ。振り回してみると、炎も消えることなかった。
炎の剣を構えクイーンアントに突っ込む。手足を上手い事使い、攻撃してくるがかわしてまずは足を切り飛ばす。次に返し刃で腹部を切断した。その瞬間毒針から蟻酸が俺に目掛けて飛んでくるがそれも危なげなくかわす。
腹部を切断した事によりクイーンアントの動きが次第に鈍くなってくる。俺はジャンプしてクイーンアントの頭を切り落とした。その瞬間クイーンアントは消える。
どうやらクイーンアントは倒したみたいだ。無限収納を確認するとクイーンアントの蟻酸だとかクイーンアントの節、牙、毒針など手に入ったが…使い道あるかな。
おっと、余裕かましてる場合じゃなかった。3人娘はどうなったんだろう。
さっきの場所へ戻ってみると、ちょうど最後の1匹を倒し終わったところだった。
3人娘を確認してみると、疲労困憊状態だ。ひどい怪我程ではないが、やはり怪我は負っている。
「3人ともよく頑張ったな」
一人ずつに癒しの光を掛けてやった。
「わぁ!ありがとうございます!ご主人様」
「ご主人様の薬もよく効きましたが、魔法もよく効いて凄いです」
「さすがご主人様ですわ!神聖魔法まで使えるなんてご主人様は素晴らしいお方です!!」
試しに使ってみたらちゃんと使えた。俺は怪我したこと無いから神聖魔法使う機会ないしな。
効いたなら何よりだ。まぁあんまり頻繁に使うと目立つかな。神聖魔法って神官の修行しないと使えないみたいだし。普段は薬で、緊急時に魔法ってことでいいか。
3人とも回復したが、鑑定してみるとレベルがそれぞれ5レベルほど上がっている。ワイルドボアにビッグアントの群れを3人で倒したんだからそんなものか。
様子を見てみると今にも眠りそうなくらい目がトロンとしている。ふむ、こりゃ暫く休憩しないと駄目か。ビッグアントを使えそうなところだけ回収し、後は隅に寄せて3人娘を休憩させる。
「ご主人様、あたし…耐えられなくて…」
「ご主人様、私もうとても我慢出来な…」
「メロリも…」
最後まで言葉を発する事が出来ずに3人娘は夢の中だ。とりあえず毛布を取り出して掛けてやった。
俺も3人娘の隣に座り、近くに落ちていたトレントの残骸で火をおこす。
トレントの群れは結局ビッグアントにやられてしまって木材も使い物にはならなかった。こればっかりは仕方ないな。マップで調べてみるとまだまだ森の中にはトレントがちゃんといるので討伐依頼も問題ないだろう。
暫くは3人娘も起きないので、俺はその間にワイルドボアの肉を串刺しにして、塩と胡椒で味付けした肉を焚き火の傍に刺して焼き始める。それが終わったら薬を作ったり、新商品の開発をしていた。
ヒアリスの石鹸や香水は作った事があるので、今回は髪や体に付ける香油を作ってみたり、化粧水、乳液、美容液、日焼け止めなどを作ってみた。物凄く前に付き合っていた彼女が美容にうるさい人で常にそれらを持ち歩いていたのを思い出して売れるかなと商売根性を出して作ったはいいが、これをどうするかだ。俺で試しても意味が無い。
もし仮に俺が化粧水、乳液、美容液、日焼け止めなんぞ塗りたくっていたらレティナットさんの仲間入りだ。ホラーとしか思えない。まぁ3人娘に使い心地を聞いてみて改良してエルファンに売ってもらおう。
何個か作っている間に3人娘たちが起き始める。
「おはようございます、ご主人様」
まだ眠たそうな目を擦りながらメロリは立ち上がって伸びをしている。
「ご主人様、おはようございます。とてもいい目覚めですわ」
ヴィオレットは寝起きが良いのかすっきりとした顔で俺の目の前に座った。
「お待たせして申し訳ありません」
レモも寝起きが良くすぐに起きて俺に頭を下げてきた。
「いや、別にいいよ。俺も薬とか新商品開発してたから大丈夫。それよりも腹が減ってないか?簡単な味付けしかしてないけど食うか?」
3人娘は顔を輝かせて頷くので、串焼きを渡してやった。
「美味しいですわ!」
「とっても美味しいのです!」
「美味しいです」
もぐもぐと一生懸命食べているので、次から次へと肉を取り出しては焼いてやる。
俺もその間にちゃっかり食べているが、美味い。塩コショウのみだが、肉本来の美味さが引き立って最高だ。
腹ごしらえもしたし、サクッとトレント、リッパーベアの討伐クリアしちゃいますかね。
リッパーベアがいる方向にちょうどトレントもいるのでそちらに向かいながら歩いていく。その間の素材集めは忘れない。3人娘もちょっと慣れたのか自ら探しては俺のところに持ってきてくれるので随分大助かりだ。
トレントの場所にたどり着くと、それなりの数のトレントがいる。討伐自体は10体だが、20体位はいそうだ。よし、やってしまおう。
俺達はいつもの連携プレーをしながらトレントを倒していく。俺はほとんど手を出さず、3人娘だけの力で倒す。レベルが上がったおかげなのか、先程よりも動きもいいし、与えるダメージも大きい。
俺は【石投げ】で少し離れたトレントに石をぶつける。3人娘がこっちを見てないことを確認しているから大丈夫だ。
石を拾っては投げを繰り返していたら俺だけでトレントを13体も倒していた。あれ?いつの間に?
いかん、面白くて夢中になりすぎた。だって、石が当たるだけで倒れちゃうんだしさ。
3人娘を確認してみるとこちらも5体倒し終わっている。あともう少しで6体目を倒し終わりそうだ。
俺は更に石を投げて追加で3体倒しておいた。俺が倒すと自動で回収されてアイテムが分けられるので便利だしね。人には見せられないけど。
全て倒し終わると、レモがトレントの解体を始める。え?トレントも解体なんてあるの?
「レモ、どうやってトレントなんて解体するんだ?」
「トレントは細かい枝などを切り落とし、ロープで縛り何人かで運ぶのが一般的です。あたし達には魔法の鞄がありますので細かい枝だけ取り払って、魔石だけ回収して魔法の鞄でギルドに持って行けば後はギルドがやってくれます」
あ、そうなの?俺の場合自動回収されるともう木材になっちゃってるんだけど…。流石にマズイか?買ってきたのか?なんていちゃもん付けられても困るしな。あと4体探して倒さないと。今度は俺は手を出さないでおこう。
近くにトレントを見つけたので、3人娘に倒させる。これで10体討伐クリアだ。
トレントの解体も終わり、リッパーベアはすぐ近くにいた。近づくと、俺たちに気がついて立ち上がる。リッパーベアは立ち上がると3メートルくらいだろうか。超でか過ぎますよ!!!!
がたいもいいし、一番の特徴としては爪だ。爪がかなり長い。30センチは爪なんじゃないだろうか。
手足が長く爪も長いからある程度離れてないと、爪でやられる。
「3人ともリッパーベアにあまり近づくな。ある程度距離を取ってないときついぞ!」
俺とヴィオレットでリッパーベアの首元を狙う。しかし、リッパーベアが凄い速さで手を振り、手から風の斬撃を出して相殺させた。やるなこいつ。
メロリもレモもなかなかリッパーベアに近づけない。近づくと斬撃が飛んでくる。あの斬撃が曲者だな。あれを何とか止めないと勝てそうにも無いぞ…。
何か策を考えないと駄目だ。何とか足止めしながら、斬撃をかわす…。
落とし穴に入ってくれればやりやすいのにな…。ん?落とし穴?そういや土魔法の中に落とし穴の魔法があったな。
「メロリ、レモ後ろへ退避!」
俺の言葉を聞いて2人とも後ろへ飛びのく。それを見計らって俺は魔法を発動させる。
「落とし穴」
リッパーベアの足元には穴があき、そこにリッパーベアが落ちる。
「グルアアッッ!!!」
「よし、今のうちに攻撃だ!!」
3人娘は頷いて、それぞれに攻撃を始めた。
「たぁっ!」
「はっ!!やっっ!!」
「風の刃」
メロリは後頭部からリッパーベアの頭を一突きし、レモが首を右からと左からで切りつけ、止めにヴィオレットの風の刃でリッパーベアの首を切り飛ばす。
スプラッタ過ぎて、しんどいよこれ。リッパーベアは足をとられて全く身動きが出来ないまま3人娘にやられてしまった。落とし穴なんて汚い手を使ってしまったが、斬撃が止まらない事には攻撃できないしな。
3人娘だけではリッパーベアは重たく落とし穴から引きずり出せないが、レモが知恵を絞って魔法の鞄を使い、一旦リッパーベアをしまってから再度取り出していた。メロリとヴィオレットがすかさずリッパーベアの解体を行う。討伐証明は爪なので爪を剥ぎ取っていた。見ているこっちが痛いです。
リッパーベアは1体だけの討伐だったので受けたのだが、俺の落とし穴がなかったらきつかったかもしれないな。解体が終わったので帝都に向かって歩き出した。
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