第24話 戦闘
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8/17 読者様のご指摘によりホブゴブリンに変更しました。作者はずっとボブゴブリンだと思ってました。イタイ作者ですいません。
北門から抜けて、俺たちは北へ向かう。
マップで確認してみたが、【ハーミアの森】は確かに湖の目の前にある。
森の調査が終わったら湖を観光するってものいいな。きっといい眺めに違いない。
俺は聴覚、嗅覚スキルを発動させる。いつ何時敵が近づいてきても良い様にだ。
ふむ、今のところ問題なしと。
今日の俺の格好は黒の魔王の法衣を纏っているので前衛をするつもりはないが、でもいざという時の為に鋼の剣は腰に差しておく。
暫く歩いていると、かなり遠くからだが数体の動物らしき足音が聞こえる。匂いからは何の動物かまでは分からない。
もう少し俺たちに近づいてくるなら戦闘体制をとらないといけないが、今のところ様子をみる。
様子を見ていたが警戒領域まで侵入してきたので、一気に警戒を高める。
「ご主人様、左の方からストーンバイソンがやってきます!数は5体です!」
「みんな戦闘準備を!レモ、メロリは前衛で応戦、ヴィオレットは俺と共に魔法で攻撃!くれぐれも無茶はするな。駄目だと思ったら退け!」
「はい!」
「わかりました!」
「仰せのままに」
レモは2本の短剣を鞄の中から取り出し、敵に向かっていく。メロリも同様槍を鞄から取り出し、構え走って行く。
ヴィオレットは杖を取り出し、詠唱中だ。
俺は無詠唱で魔法を発動させる。夜中に遊んでやっていた水の球連発は悪目立ちだしな。ここは堅実的に1個ずついこう。
「水の球」
杖は使わず、手から発動させる。
俺の手から出た水の球はストーンバイソン目掛けて飛んでいく。
一番殺傷能力が低そうな水の球を選んだのは殺しちゃうとマズイからなのである。
近づいてくるストーンバイソンに当たるが、少し怯むが全く効いてなさそうだ。
ストーンバイソンと言うだけあって非常に体の表面が硬いな。風の刃くらいでやれば良かったか?
今度は風の刃にしてみる。
「風の刃」
俺の手から風の刃が出てストーンバイソンに当たる。先程よりは傷を付けたがあまり効いてないな。
他の3人も確認してみた。
レモは2本の短剣を上手い事持ち、ストーンバイソンの首元を狙っている。
右手の剣で首元を切り、左の剣で目を突いていた。器用だな。
スキル:【二刀流】を習得しました
え?レモってスキル持ってなかったよね?何で?よく分からんのだけど。
戦闘中だが、レモを鑑定してみたらレモは【二刀流】を習得していた。レモが習得してるならスキルを使えば、それを見ている俺はスキルを習得出来るけど…。
しかし、習得するのははえーな。俺も人の事言えないけど。
メロリは小さな体で槍を巧みに操りストーンバイソンの目や喉元を突いている。
スキル:【槍術】を習得しました
え?これも?そういや前の戦闘のときは全く心にも余裕が無くて、メロリがどんな戦い方をしているのか見てなかったもんな。
ちゃんとしっかり見たことで【神眼】のスキルが働いたんだろう。
ヴィオレットは詠唱が終わり、天使のポーズを決め風の刃を発動し、首を切りつけた。切りつけられたストーンバイソンは次第に弱ってくる。
弱ってきたところをレモが止めを刺す。
俺も負けちゃいられないな。
どうやらストーンバイソンは首元が急所みたいだ。まぁどんな生物だって首元は急所だもんな。当たり前か。
「風の刃」
今度は首元を狙って発動させる。俺の放った風の刃がストーンバイソンの首元にヒットした。
ストーンバイゾンが怯んだ瞬間、メロリがストーンバイソンの頭に槍を突き刺す。
ヒィッ。頭に槍が突き刺さってる…怖ぇ!!
暫く暴れていたがストーンバイソンは徐々にそれが弱くなって力が抜けていった。
俺が怯んでいる隙にもヴィオレットは風の刃を発動させ致命傷を与えていく。
そして致命傷を与えられたストーンバイソンをレモが止めを刺す。連係プレーになっているみたいだ。
俺たちは連携を重ねながらストーンバイソンを何とか倒し終わった。
「やったな。みんな大丈夫か?」
3人娘を見てみると、多少の返り血は浴びているが怪我は無く問題なさそうだな。
「メロリ、解体頼むよ」
メロリにナイフを渡す。もうこのまま持っててもらおう。
「はい、ご主人様」
メロリはナイフ片手に素早く解体していく。
「ご主人様、もう一本ナイフはありますか?」
レモが訊ねてくるが、1本しか持ってない。
「ごめん、1本しか持ってないんだ」
「そうでしたか、分かりました。少しこの短剣を使いますがよろしいですか?」
短剣で何するんだろ?レモの短剣だし、俺に何も異存はないので頷いた。
「構わないけど、どうするんだ?」
「短剣で解体を手伝ってきます」
なるほど、あの短剣で出来るんだ?
レモは短剣を片手に器用にストーンバイソンを解体していく。レモといいメロリといい女の子なのに凄いよね。俺はそんなの出来ないけど。
ヴィオレットは少し顔色が悪いが、鑑定してみても特に異常もない。
「ヴィオレット、大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫ですわ。少し、血の匂いと解体のグロテスクさに驚いただけですの」
そりゃそうだよね。俺も初めてのときそうだったし、今も得意じゃないしね。
「次からは大丈夫だと思いますわ。頑張りますわよ」
両手を握り締めて、気合を入れているヴィオレット見て逞し過ぎると思う。
女の子がこんなに頑張ってるのに俺は何をやってるんだろうね。
「ご主人様、解体が終わりました。肉、内臓、皮、に分けましたけど、どうしましょうか?あとは魔石も手に入りました。」
え?もう終わったの?仕事速いな。
「ストーンバイソンの肉はかなり美味しいと思いますので、出来ればあたし達が食べる分は残しておきたいです。内臓も美味しいので、これも取っておきたいです。皮は硬いので防具になります」
へぇ、肉も内臓も美味いのか。焼肉とかいいんじゃないかな。焼肉…食べたいじゃない。
「じゃあ取っておこう。じゃあ回収するよ」
レモ達に回収させても良かったが、無限収納の中に入れといたほうが良いと思う。
前に一度神桃を取り出してみたが、新鮮なままだったので無限収納の中に入っていると時間が経過していないみたいだ。
ならば時間が経過しないようにこちらに入れておいたほうがいいだろう。
俺は解体された肉、内臓、皮、魔石を全て無限収納の中にしまった。
回収が終わったので、また【ハーミアの森】を目指し歩き始める。
「そういえばレモって二刀流のスキルって持ってたんだっけ?」
俺はさっきの疑問を思い出し、レモに訊ねた。
「いいえ、ストーンバイソンの戦闘前までは持っていませんでした。あたしの父も冒険者で二刀流だったんです。子供の頃に父のやり方を見ていたので、それを思い出してやってみました。そうしたら習得出来たみたいです」
なるほどね。やり方を知っていて尚且つ2本剣を持ってやったら出来たというわけね。
それにしてもレモのお父さんは冒険者か。両親は亡くなっているって事だったから戦闘で命を落としたのかもしれないな。
暫く歩いていると、目の前には大きな森と湖が見えてきた。どうやら無事に到着したみたいだ。
もう少し近くまで湖に近づいてみると、かなり大きい事が分かる。
向こう岸がかなり遠く、湖の真ん中くらいに島みたいなのも見えた。
湖は澄んでいて、水底もよく見える。魚が泳いでいるのも分かった。
湖以外には森がある程度で景色がかなり良い。休憩や、弁当を食べるのにはちょうどいいロケーションだ。
湖を観光…といきたいが、今日は【ハーミアの森】の調査で来ているのでまたゆっくり見に来てもいいかもしれない。
観光気分から頭を切り替え、湖の前にある森の前に立つ。
マップで確認してみると、【ハーミアの森】で間違いない。間違いないが、森の中にはかなりの数の赤い点が見える。
敵が多いな。でも、【黒の森】もこんな感じだったような気もする。今のところこれが異常と言うわけではないだろう。
意を決して森の中に入り込む。
【黒の森】とは違い、わりと森の中は明るく視界が開けている。敵に気をつけながら歩いていく。
もちろんこの間の鑑定は忘れずに行う。そして、薬の材料や石鹸の材料など沢山見つける。
この森もかなり俺にとって見れば宝の山だな。
3人娘に説明しながら、手伝ってもらいつつ材料を回収していく。調査も忘れずに注意しながら森の奥へと進む。
森の奥へ進むと、少し開けたところに出た。
石みたいなのが何個も並べて置いてあり、中央には火を使った跡がある。
キャンプでもしていたんだろうか?暢気な事考えていたら、こちらに向かってくる赤い点が見える。
8人くらいの足音が聞こえ、鼻の曲がりそうな臭いが徐々に近づいてくる。
「ご主人様、こちらになにやら近づいてきます」
メロリが槍を構えながら言うと、レモも剣を取り出して構える。
ヴィオレットも臨戦態勢だ。
姿がはっきり見える位置まで来たときに俺が見たものは背は小さく、緑色の肌で耳は尖り、ボロボロな腰巻をして今にも壊れそうな武器を持っているゴブリンの姿だった。
ゴブリンきたーーー!!!ファンタジーだよ、ファンタジー!
「ギョゲ!?」
俺達に気がついたゴブリン達は武器を構え、こちらに突進してくる。
「生け捕りって出来るか!?」
人型をしているので殺すのはちょっと躊躇うからだ。
「やってみます!」
手加減をしながらゴブリン達の隙をついては武器を取り上げ、丸腰にしていく。
俺やヴィオレットも水の球でゴブリン達の戦意を殺いでいった。
「ギョギョ」
ゴブリン達は降参して武器を捨てた。殺さなくても良くて安心した。
さて、生け捕りにしたもののどうしようか?
「ご主人様、ここはあたしにお任せください。ゴブリンくらいならあたしでも調教できると思います」
調教?ああ、そういえばレモは固有スキルに調教を持っていたな。
「いいけど、どうやってやるんだ?」
そう訊ねると、レモは1匹の(1人の方がいいか?)ゴブリンに何やら話しかけている。
その後、ゴブリンは頷いて立ち上がる。
「ゴシュ・・ジンサマ・・ヨロシ・・クオネガ・・イシマス」
ゴブリンは俺に向かって挨拶をした。
スキル:【調教】を習得しました
ゴブリン手懐けるなんて凄いな!しかも俺も習得出来たし。
「凄いな、レモ。ゴブリンを手懐かせるなんて」
「ありがとうございます」
レモは少し赤面して嬉しそうに微笑んだ。
ゴブリンを手懐けれたので、ゴブリンに少し話を聞くことにした。
「お前達はここで何をしていた?」
「ハイ・・ゴシュ・・ジンサマ・・。ゴブリン・・ハ・・ゴブリン・・キング・・ヲオムカエ・・スル・・ツモリデ・・シタ」
ゴブリンキングだと?それを迎える?どういう事だ。
「ゴブリン・・キング・・モウスグ・・ココ・・ヤッテキマ・・ス」
キングがここに来る!?マップで調べると確かに近づいてきているし、足音もゴブリン達のに比べて力強く大きい。匂いも強烈だ。
「メロリとレモはゴブリン達を連れて少しここから離れろ。ヴィオレットも2人のサポートを頼む」
「「「はい、ご主人様」」」
メロリ達はゴブリン達を引き連れこの場所から離れていく。
その間に俺はゴブリンキングを迎える。
ゴブリンキングはゴブリン達よりもかなり大きく、筋肉も発達している。ボロ布を纏ってはいるが、先程のゴブリン達より威厳を感じた。
確かにキングっぽいな。鑑定してみると、レベルは5だが、HPやMPがそれなりに高い。
先程のレモの調教スキルを試してみたいので、ゴブリンキングは必ず生け捕りにしたいな。
「オオオオ・・・オマエハダレダ・・・ナゼ・・ニンゲンガココニイル・・マアヨイ・・ワレノエジキ・・トナレ・・」
ゴブリンキングは拳を握って突進してくる。一直線に突進してくるので簡単に避けれた。
避けると、ゴブリンキングは先程のゴブリン達が落としていった剣を拾いそれを振り回してくる。
筋肉が発達しているため簡単に振り回せるようだ。
剣をブンブンと振り回し、近づいてくるので俺も剣を構えて応戦する。
ゴブリンキングは更に勢いよく剣を振り回した。避けていてもこの戦闘は終わらないので、死なないように手加減して、水の球を5連発させる。
全てゴブリンキングに当たり、ゴブリンキングは木に当たって崩れ落ちた。
ふむ、気絶させたかな?鑑定してみると状態が【気絶】になっているので今のうちに布を取り出し、切り裂いて簡易ロープにしてゴブリンキングを縛った。
そして、木の枝でゴブリンキングを突いて起こす。何度か突いているとようやく目を覚ました。
「オオオ・・ワレハニンゲンニ・・マケタノカ・・?」
「まあ、そうなるね。それでちょっとお前に試したいことがあるからちょっと実験台になってくれ」
「ニンゲンゴトキガ・・ワレニ・・ナニヲ・・」
ゴブリンキングは暴れようとするが、簡易ロープで縛られているため動けない。
俺は【調教】のスキルを使ってみた。すると、ゴブリンキングの様子が少しずつ変わる。
「ゴシュジンサマ・・ヨロシク・・オネガイシマス・・」
おお、成功したみたいだ。【調教】のスキルは条件があって、生け捕りと敵のレベルより上じゃないと成功しない。
俺は偽りの指輪でレベルを偽ってはいるが、3人娘に合わせて変えているので俺のレベルは今のところ9になっている。ゴブリンキングはレベル5だったし、成功したと言って良い。
「お前に名前はあるのか?」
「ワタシニハ・・ナマエハアリマセン・・」
名前無いの?じゃあ勝手に名づけるか。筋肉ムキムキだし…俺の頭にはこの言葉しか出てこない。
「お前の名前はゴリな。俺はリュート。宜しく」
「ゴリ・・ワタシはゴリデス。ナマエをつけてくださってありがとうございマス」
お?さっきより何か流暢に話し始めたぞ?鑑定してみるとゴブリンキングからホブゴブリンに変化していた。これはどういうことなんだろう?
「ゴリ、さっきより流暢に話すようになったな」
「ハイ、ごしゅじんサマ。ナマエをつけてくださったオカゲでホブゴブリンにしんかデキマシタ」
へぇ、そんなもんなの?
「ごしゅじんサマ、ナンナリとゴようけんをおもうしでクダサイ」
あー、【調教】スキルを試したくて実験台にしただけなんだけどな。
うーん。それならちょっと試しにやらせてもいいかもしれない。
「じゃあゴリ。これって分かるか?」
俺は無限収納から薬草やら、薬の材料や石鹸の材料を取り出す。
「ハイ、これはモリのナカにタクサンはえているものデス」
分かるのか。それならいいな。
「これを他の魔物が食い荒らさないよう見守る事は出来るか?後は栽培とか出来たら嬉しいんだけど」
「オマカセくだサイ。ゴリはゴシュジンさまのためがんばりマス」
やってくれるっぽい。それなら駄目もとで頼んでおくか。
「じゃあゴリ。これらの素材を守り、栽培してくれ。あとはお前とゴブリン達が人間に見つからないように。人間に見つかれば殺されちゃうだろうしな」
「オマカセください、ごしゅじんサマ」
「では、お前が他の魔物から身を守れるように俺の剣をやるよ」
俺はゴリに鋼の剣を渡した。
「ハハァ、ありがたきシアワセ」
剣を両手で受け取り、頭の上に掲げている。昔の時代劇みたいだ。
「じゃあ、お前の仲間や俺の仲間と合流しよう」
「ハイ」
俺はゴリを連れてメロリ達のいる場所へ向かった。
お読み頂きありがとうございます。
戦闘シーンは書くのが難しいですね。




