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第23話 依頼

 仮眠から目が覚めて、部屋を出るとキッチンからいい匂いが漂ってくる。

 階段を下りるとヴィオレットがキッチンから出てきた。

 「あら、ご主人様。おはようございます。ちょうど朝食の用意が出来ましたのでお呼びしようと思ってましたのよ」

 「そうか、ありがとう。顔を洗ってすぐ行くよ」

 顔くらいはまず洗いたいよね。

 「分かりましたわ。ではお待ちしております」

 ヴィオレットはキッチンに戻っていく。

 俺は洗面所で顔を洗い、鏡でちょっとだけ髪型を直し、ダイニングに向かう。

 ダイニングに入ると、メロリやレモが挨拶してくれた。

 「おはようございます!ご主人様!」

 メロリは相変わらず朝から元気で尻尾をブンブン揺らしながら近づいてくる。

 「おはようございます、ご主人様。お食事の準備が整いましたのでお座りください」

 レモに促され、椅子に座ると野菜と肉の入ったキッシュ…とまではいかないが卵焼きらしきものをメロリが俺の前に置いてくれた。

 それにパンとサラダ、ジュースが次々に置かれる。

 健康そうなメニューだ。しかもいい匂いだし、食欲をそそられる。

 「いただきます」

 まずは目覚めの一杯ということでジュースを飲むが、少し酸味を感じる。レモンとか柑橘系じゃなくて、アセロラのような味だ。へぇ、こんなのもあるのね。

 一口キッシュもどきを食べると、優しい味がする。塩しか味はついてないのでほかは野菜の甘みや肉のコクといったものだろう。油っぽくはないので朝には最適だ。

 サラダは今回のはトマトらしき物が入っていた。お、こっちにもトマトがあるのね。

 食べてみると、ほぼトマト。いや、トマトだ。程よい酸味と甘みがあって美味い。あとは葉っぱみたいなのがあるが、これはルッコラとかバジル的なものだろう。

 パンは宿屋で食べたタイプなので、カチカチパンだ。俺はこれがあまり得意ではない。

 それでも残すのは悪い気がして何とか食べた。

 他の3人も見るが、美味しそうに完食しているのでこっちのパンはこれが常識なんだろう。

 パンもそのうち作りたいな。

 食事も終わり、今日の予定を立てる。

 今日はレモの鎧が完成しているはずなので、それを回収するのとエルファンに薬を渡すことが一番のメインだ。

 後は冒険者ギルドに行って、依頼を見てみるのもいいかもしれない。

 2人からいきなり4人パーティーになったんだから戦闘スタイルも少し変更しないといけないかもな。

 俺は3人に今日の予定を話して、全員用意させる。

 レモが気を利かせてお弁当を用意してくれた。それを鞄にしまいこみ家を出る。

 行き先はガルムさんの防具屋だ。


 開店しているのを確認し、扉を開けると早速ガルムさんが迎えてくれた。

 「おう!頼まれてた鎧は出来てるぜ」

 ガルムさんは昨日頼んでおいたワイルドボアの皮の鎧を渡してくれた。

 レモに装備させるとちゃんとぴったりサイズで問題なさそうだ。

 「これは、とってもいい鎧ですね。手も肩もよく動いて窮屈な感じがしなくて凄いですよ」

 「当たりめぇだよ。そりゃ、オレが作ったんだからよ」

 ドルムさんはちょっとテレながら鼻をこすりドヤ顔をする。

 「ドルムさんはかなり腕のいい職人さんだからね。俺やメロリの鎧を作ってもらったけど、動きやすくて良かったよ」

 「おめぇはよく分かってるな、リュート。それならオレの作業をちょっと見せてやってもいいぜ?」

 え?マジで?それは願ってもない話だ。

 「見せてもらってもいいんですか!?」

 俺はドルムさんに詰め寄った。だって、これは新たなスキルを手に入れる予感がプンプンするからな。

 「いいってことよ。それじゃついてきな」

 俺達は店の奥の作業場に連れてきてもらった。

 そこには沢山の素材が山積みされていて、雑然としながらも汚いというわけでもない。

 痒い所に手が届くみたいな感じだ。作業スペースのあらゆるところに物が置いてあって、そこにいれば全部手が届く。

 いかにも職人ですって感じの作業場だ。しかも見たことのない道具も色々置かれている。

 「ここがオレの作業場だ。一つ見せてやろう」

 ガルムさんが取り出したのは一枚の皮だ。型紙みたいな物を皮の上に置くが少しも余ることなく上手い事配置する。配置が終わると印をつけ、カットしていく。

 カットされたものを今度は針と糸で一定の間隔で縫っている。ここまでの作業が尋常じゃないくらい速い。

 そうして出来たのが、剣を差しておくためのベルトだった。


 スキル:【革細工】を習得しました


 おお、覚えた。ありがたいな。こういうののレシピとかそういうのってあるのかな?

 出来る事なら色々と作ってみたいんだけど。

 「ドルムさん、素晴らしい職人技を見せてくださってありがとうございます。例えば、こういう革細工の作り方とか職人の技とかそういうのを勉強したいって思ったんですが…そういう本とかを取り扱っている所はご存知ですか?」

 「あん?革細工に興味があるのか?それならオレが昔使っていた、製作手帳や技をメモしたノートならあるけどそれならやってもいいぞ?」

 え?そんな大事な物渡していいの??

 「大事な物じゃないんですか?」

 「そりゃ大事だが、おめぇなら譲ってやってもいいなって思っただけだぜ。オレには弟子もいないし譲ってやるよ。やるならちゃんと頑張れよ」

 ガルムさんは俺に製作手帳と、技術の書かれたノートを託してくれた。

 こんな大事な物を貰って本当に良かったんだろうか??俺はどちらかというと軽い気持ちで言ったんだけど…。

 こりゃ貰った手前うやむやにするわけにもいかないよね。

 時間が空いているときに始めてみよう。

 「こんな大切な物をありがとうございます。これを読んでしっかり勉強します」

 「ああ、わからねぇことがあったらいつでもきな。教えてやるよ」

 ドルムさんは笑顔で答えてくれた。ここにも師匠がいた。

 モランディオさんは心の師匠でドルムさんは革細工の師匠だ。

 お礼を言ってから俺たちは店の外へ出た。


 次はエルファンの所に行こうと思ってマップで確認すると【灰色の熊猫亭】にはいない。

 色々と探していると商店街の一角にいる。暫く様子を見てみるがそこから動く様子はない。

 一度顔を出してみるか。

 俺たちはエルファンの居る場所へ向かった。

 近くまで来てみると、そこは小さな店のようだった。そこにちょうどエルファンが店の外へ出てくる。

 「ん?あれ?リュート達じゃないか?今からそっちに向かおうと思ってたんだよ。良かったら店に入ってくれ」

 エルファンは笑顔で俺たちを迎え入れてくれた。

 中に入ると、狭いがその狭さを生かした店内になっている。壁からは板が何枚も出ていて、棚になっていた。それなりに沢山商品が置けそうだし、カウンターも邪魔にならない良い大きさだ。

 「へぇ、ここがエルファン達の店?」

 「そうだよ、ここを知り合いから格安で譲ってもらったんだ。ここでミゼルと頑張っていこうと思ってる。ちなみに自宅兼店なんだよ。ちょっと待ってて」

 エルファンは扉を開けるとその向こうは階段でどうやらここから2階へと上がるらしい。

 エルファンが階段下でミゼルの名前を呼んでいると上から声が聞こえ、バタバタと下りてきた。

 「何ですか?エルファン様」

 「リュート達が訪ねてきてくれたんだ」

 エルファンに言われてようやく俺達に気が付いたミゼルは笑顔で迎えてくれる。

 「まぁ、いらっしゃいませ。あまりお構いも出来ませんが、お茶でも入れますね」

 そう言ってミゼルは2階に行こうとしたが、俺はそれを止めた。

 「いや、俺達はすぐに行くからお構いなく。今日は薬を渡しに来たんだよ。渡したら次はギルドに行く予定だから」

 「え?そうなのかい?お茶ぐらいしていけばいいのに」

 エルファンは残念そうだが、俺達にも予定がある。

 「悪いな。また今度ゆっくりさせてもらうよ。それじゃ薬をどこに置けばいい?」

 「それならここへ置いてほしい」

 エルファンはカウンターを指し示す。確かにここなら置けるだろう。

 俺は指定された場所へ次から次へと出して並べていく。

 「こ、こんなにあるのかい!?」

 エルファンもミゼルも並べられた薬の多さに物凄く驚いていた。

 いや、まだまだあるんだが…。それを横目にまだ俺は取り出していく。

 ようやく出し終わる頃にはカウンターの上には隙間がないくらい薬が並べられている。

 「これで、最後だ」

 最後の薬を出そうとしたが、もう置ききれないので棚のところに置いた。

 「一体どれくらいあるんだい?」

 「体力回復薬ポーション魔力回復薬マナポーション完全体力回復薬フルポーション完全魔力回復薬フルマナポーションを100本ずつと、精力向上薬、避妊薬、風邪薬、胃腸薬、傷薬、疲労回復薬、解毒剤、気付け薬を各50ずつだな」

 「そんなにもあるんですか!?」

 ミゼルはカウンターの薬を見渡している。

 「リュート、こんなにも卸してもらって大丈夫なのかい?お金払ったほうが良いんじゃ…」

 「それは売上の3割くれればいいよ。これからも何かとお金が掛かるだろうしさ。もし儲かったら上乗せしてくれれば良いし」

 「ありがとう、本当に何から何まで感謝しきれないくらいだ。もし僕達に出来る事があるなら何でも言ってほしい。やれる事なら何でも協力する」

 「まぁその内何か頼む事はあるかもしれないからその時はよろしく頼むよ」

 エルファンは頷いて手を出してくる。

 俺もその手を握って握手をした。

 「そろそろ俺達はこれで失礼するよ。また足りなくなったら家まで来てくれればいいから」

 「分かった。ありがとう、リュート。気をつけてな」

 「あ、そうだ。俺はお前に言っておかなきゃいかん事がある」

 ちょっと来いと、エルファンだけ外へ連れ出す。

 「な、何だい?」

 エルファンは何を言われるのか分かってないようだ。

 「エルファン、ミゼルとは結婚するつもりなのか?」

 「え?それは…いつかは…」

 モジモジしながら顔を赤くして言うエルファンに俺はため息が出た。

 「若いから抑えきれない衝動があるのは俺にも分かる。でも取り返しがつかなくなる前にこれを渡しておくよ」

 「?何だい?これは」

 「避妊薬だ」

 「!!!!!!?????」

 エルファンは手から避妊薬を投げた。何をする!!俺はそれを何とかキャッチした。

 「な、な、何でそれを?」

 「ミゼルとは恋人同士なんだろう?それにあれだけ可愛い子が近くにいれば…ねぇ?」

 俺はニヤリとイヤらしい笑みを浮かべ、もう一度エルファンに渡す。

 「あまり無理はしてやるなよ。んじゃ、俺は行くわ」

 手を振り、俺は店の中からメロリ達を呼び出しエルファンの店から離れる。

 落ち着いたらきれいなお姉さんのお店に行こうっと。そして朝までしっぽりするのだ。

 うん、それがいい、そうしたい。ぐへへ。

 「ご主人様?お顔がおかしいですよ?」

 メロリが俺の顔をじっと見つめてくる。顔がおかしいって…

 ヒドイ!ヒドイよメロリ。俺、自分ではふつーの顔だと思ってたのに。

 「ご主人様は何かイヤらしい事お考えなんじゃありません?」

 え?エスパーか?ヴィオレットはエスパーなのか?

 「ご主人様」

 レモは何か訴えるような目で見つめてくる。

 こ、怖い。俺の思考がこの子達に読まれている…。話を変えないとマズイ。

 「さ、次は冒険者ギルドへいかないとな!」

 俺はわざとらしく話題を変え、ギルドに向かって歩いていく。

 3人共慌てて歩き出した。


 冒険者ギルドに着き、依頼を見てみるとEランクで受けれそうなのは森の調査ぐらいなものだった。

 うーん、調査ってどうなんだろ?報酬は大銀貨5枚だった。

 森の調査なら薬草の採集とセットでやればマシになるか。それで、魔物が出たら倒せそうなら倒すって事でいいだろう。

 俺は森の調査依頼と薬草採集の依頼を持ってカウンターへ行く。

 「おはようございます、リラさん。今日はこの依頼を受けたいのでお願いします」

 「おはようございます、リュートさん。今日は森の調査と薬草採集で宜しいですか?」

 「はい、お願いします」

 「分かりました。ではこちらの森の調査ですが、北門を出て真っ直ぐ北に向かうと大きな湖が右手に見えてきます。その湖の目の前にある【ハーミアの森】の調査をお願いします。調査内容としては異常なほどの魔物の増殖とか、見慣れない魔物がいるなどそういったことを調べてください。もちろん異常が無ければそれで構いませんし、もし異常を見つけたならギルドに即報告してください。薬草は以前と同じですのでどこで採っても構いません。必ず根っこから抜いて持ってきてください」

 「分かりました。じゃあ行ってきます」

 「はい、いってらっしゃい。気をつけてくださいね!」

 リラさんに笑顔で送り出された。


 北門にたどり着いた俺達は門番の人に身分証を見せ門の外へ出る。

 「さてと、行きますか」

 「「「はい、ご主人様」」」

 俺達は森を目指して北へ向かった。

お読み頂きありがとうございます。

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