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第20話 魔法習得その1

本日2話UPしました。

1話目は幕間でもう1話が本編です。よろしければ前の幕間もお楽しみください。

 俺達は昼を軽く食べてから二手に分かれた。

 片方は俺とヴィオレットの魔法習得班で、もう片方はメロリとレモでお使い班に分かれて行動する。

 家を借りたのでもう宿屋には居ない事と家の場所を教えるためにレモにエルファンへの伝達を頼む。

 魔法習得に少し時間が掛かるかもしれないので遅れても良いように家の賃貸料の金貨10枚とお小遣い大銀貨1枚渡す。

 レモはお金を渡されることを暫く渋っていたが、信用しているし大丈夫だと伝えると頷いて了承してくれた。

 「そう言えば今晩の食料買ってなかったな。レモ、適当に何か買ってきてくれるかな?」

 大銀貨2枚を取り出して渡す。

 「分かりました。大銀貨2枚もあれば沢山買えますよ」

 レモは頷いて、俺からお金を受け取り鞄の中へしまう。

 「それでは行ってきます。メロリ、行くよ」

 レモはメロリを連れて町の中に消えていった。

 「さてと、俺達も行こうか」

 「はい、ご主人様」

 ヴィオレットが頷いたので歩き出す。


 レティナットさんが書いてくれた地図も分かりやすかったので迷うことなく場所に着いた。

 その場所には石造りの小さな家があった。壁にはコケのような物が所々に生えている。見た目はちょっと古臭い感じの家だ。

 俺達は意を決して、ドアをノックする。

 「誰?」

 扉を少し開け物凄く不愉快そうな顔をしたレティナットさんそっくりのおっさんだった。

 名前を確認してみると、モランディオというらしい。

 顔はレティナットさんにそっくりで化粧はしていないが、顔の左半分には刺青が彫ってある。髪型は頭頂部以外はつるつるで頭頂部からはピンクの髪が生えていてしかも髪は長く、三つ編みしている。

 うーん、ラーメ〇マンにしか見えない。黒髪でおでこに「中」が書いてあったら尚更良かったのに。

 しかしおっさんの三つ編みって破壊力があるな。

 体つきはレティナットさん同様鍛えてあるのか、ローブを着ていても逞しい事が分かる。

 何というか魔法使いのイメージをことごとく逸脱しているような存在だ。

 俺にとって魔法使いってめっちゃじいさんか、もしくは暗そうな貧弱そうな男か、ロリッ子ツインテールしか浮かばない。どれも当てはまらなかった。

 気を取り直して話しかける。

 「すみません、僕はリュート申します。こちらはヴィオレットです。こちらで魔法を教えてもらえるとレティナットさんに教えていただいたので伺ったのですが…」

 モランディオさんは俺の顔をじっと見つめた後、指で入れと合図した。

 恐る恐る家の中に入ると外見は小さな家だとは思ったが、中はかなり広かった。

 使い古された家具が所々に配置してあり、部屋の中は整頓されていて塵一つ落ちていない。

 「そこへ座って。私はモランディオ。レティナットの妹よ」

 テーブルと椅子のある所に案内されて俺達は座った。

 …うん。レティナットさんがもう一人いるみたいだ。オネエがここにもいた。しかも自分を妹だというこの図々しさ。驚きだよね。

 レティナットさんといいモランディオさんといいめっちゃキャラが濃過ぎない?

 俺なんて存在薄れちゃうよな。

 モランディオさんは棚から葉っぱみたいな物を取り出し、ポットの中に葉っぱを入れお湯を注ぐ。

 お湯が注がれると、いい香りが辺りに充満する。

 「これを飲むといいわ。落ち着くと思うの」

 俺の前に出されたのはハーブティーだった。香りを嗅いでいると自然と気分が落ち着いてくる。

 ヴィオレットも気に入ったようで、香りを楽しんでいた。

 一口飲んでみると爽やかな味で、少し甘く感じる。地球にいたときは飲んだ事無かったが、ハーブティーとはこんなにリラックス出来るもんなんだな。

 見た目はめっちゃラ〇メンマンなんだか、女子力高くない?部屋も綺麗だし、ハーブティー飲んでるなんてさ女の子がするようなもんじゃないの?

 「レティナットの紹介で私から魔法を習いたいとそういうわけね?」

 モランディオさんは単刀直入に聞いてくる。

 「そうです。僕とヴィオレットに魔法を教えてください」

 俺とヴィオレットはモランディオさんに頭を下げる。

 「しかし、珍しいものね。あの姉が私の所に人を寄越すとは」

 モランディオさんは口角を少し上げて笑う。

 あの、レティナットさんはガチムチのおっさんですよ?姉って…。

 「どういうことですか?」

 俺は何も知らされて無いぞ?紹介してくれって言ったらここを案内されただけだし。

 「知らされてないの?私は『死神のモランディオ』と呼ばれていたのよ。姉と共謀し冒険者として荒稼ぎしていたの」

 「『悪逆無道のレティナット』というのは耳にした事がありますが」

 モゲタラ達に絡まれてレティナットさんが助けに来てくれたときに言われていた言葉だ。

 「そうなの…君は知っているのね。姉は昔の事を言われたり思い出すのを嫌っているわ。そんな姉が昔の事を連想させる私の所に人を寄越すとは珍しいと思ったのよ。君に何か思うところがあるんじゃないかしらね」

 モランディオさんはベッドの下から杖を取り出してきて俺達の目の前に置く。

 「これは魔力と何の属性魔法が向いているのか調べるための物よ。杖に付いている石が色が変わる事によって分かるの」

 なるほど。便利な物があるんだな。様子見でヴィオレットからやってもらおう。

 「ヴィオレットから先にどうぞ」

 「え?わたくしからでよろしいのですか?」

 不安そうな顔をしているが、俺は頷いた。

 テーブルに置かれた杖を持ってみると石が水色と緑色が交互で光り輝く。

 「水色は水属性で、緑色は風属性を表すのよ。この娘は水、風の属性の魔法が最も力を発揮できるわけね。そして魔力はあるほうだと思うわ。無い人は光らないの」

 ふむふむ、こういう風になるのね。ヴィオレットは杖をテーブルの上に置くと石もまた元通りの色に戻る。

 「次は僕ですね」

 俺はテーブルに置かれた杖を掴むと、いろんな色に点滅し始める。な、何だこれ?

 杖はいろんな色が点滅した後スパークしたのでビックリしてうっかり手を離す。

 ガシャンと音を立てて落ちた杖はまた元通りの色へ戻る。

 何だったの、今の。

 「どういうこと?」

 モランディオさんは杖を取り上げて見ている。どういうことなのかは俺が聞きたいっす。

 「こんなことは初めてよ。大体人は多くても3色くらいが限界だけど、君の場合は違った。6色から7色くらいあったわね。しかもスパークするってことはかなりの魔力じゃないかしら」

 モランディオさんは俺の顔をまじまじと見ている。

 「道理で姉が目をかけるはずね。いいでしょう。魔法を教えてあげてもいいわよ」

 教えてもらえるみたいだ。ヴィオレットと顔を見合わせ俺達は頷く。

 「それでは外に出ましょう」


 3人とも外に出て、庭に移動した。

 「そうね、魔法を使うには魔力を体内に循環させ安定させてから魔法のイメージを明確にして言霊…つまり詠唱と思ってくれて構わないわ。それを行うと使えるようになるの」

 モランディオさんは手を広げて瞑想するポーズをとった。

 「このポーズが一番やりやすいと思うわ。まずは魔力を体内に循環させ、安定させるのが先ね。やってみてちょうだい」

 「「はい」」

 俺もヴィオレットも手を広げて瞑想するポーズをとる。

 循環させるイメージは前にもやったことがあるし、このポーズだと確かにイメージがしやすい。

 次第に魔力が体中を流れるような感覚に陥る。

 「それくらいでいいわ。2人とも上手く出来ている感じなので次の段階ね。魔法のイメージと詠唱に移りましょう。まずは手本を見せるから見ていて」

 杖を構えてモランディオさんはブツブツと詠唱を始めた。

 「赤い炎ファイア

 そう唱える瞬間ポーズを決めた。片足で立ち、体は地面と水平になる様にし、両手は左右に指先までしっかり伸ばしている。何そのポーズ…。

 次の瞬間杖の先にに炎が現れた。

 魔法だ!!!凄い!!!カッコイイ!!!けどポーズが気になる!!!!


 スキル:【火魔法】を習得しました


 あ、あれ?簡単に習得しちゃった。マジで?

 「こんな感じよ!やってみてちょうだい」

 やってみてって…あのポーズまでするの?

 「あの、先程のポーズはいるんでしょうか?」

 疑問に思ったので聞いてみる。むしろ俺はあんなのやりたくない。恥ずかしいよ、あれ。

 「ポーズは大事よ。人それぞれの特徴があって、発動する時素敵なポーズを決めるのが主流なのよ。毎年魔法を発動するときのポーズのコンテストが開かれていて私は優勝した事もあるくらいなの」

 モランディオさんは自慢なのかめっちゃむかつくドヤ顔をしていた。

 ってか、そんなポーズのコンテストがあるってこの国も平和だよね。


 「赤い炎ファイア

 ヴィオレットの声が聞こえたのでそっちを向くと…

 天使のように翼を広げ、祈るようなポーズを取っている姿がそこにあった。

 ヴィオレットは美少女だし鳥族で白い羽もある。そんな彼女が祈るポーズをすれば絵になるだろう。

 神々しいくらいだ。おっさんのポーズより非常にイイ!

 杖からはちゃんと炎が出ている。成功みたいだ。

 「へ、へぇやるじゃない。私の教え方がいいからね」

 その言い方だと負け惜しみのように聞こえるんだが。

 「凄いな、ヴィオレット!」

 そう言ってやるとヴィオレットは嬉しそうに微笑む。

 そして頭を近づけてくる。何だ?撫でろって事か?

 俺はヴィオレットの頭をぽんぽんと撫でてやると、一段と嬉しそうな顔した。どうやら間違ってなかったようだ。

 ヴィオレットが成功させたんだから主人の俺がやれないと格好悪いので必死に詠唱しポーズも決める。

 俺は恥ずかしいので単に前に腕を突き出しただけのポーズだ。そんな拘りもないし。

 「赤い炎ファイア

 そう唱えた瞬間杖の先から家の屋根よりも高い火柱が立つ。

 その勢いで俺の前に立っていたモランディオさんに火柱が引火する。

 「え"?」

 「ぎゃあああああああああっっっっ、熱い、熱いわぁぁぁぁっ!!!」

 引火したモランディオさんが火達磨になって転がる。

 や、やばい!!!どうしよう!!!

 「水の球アクアボール

 そうモランディオさんが唱えると水の球が杖から出てモランディオさんに当たる。

 するとさっきまでの火達磨状態が消火され、黒焦げになっている姿が表れた。


 スキル:【水魔法】を習得しました


 あ…習得しちゃった。人が焼け焦げてるのに、簡単に習得しちゃったよ。

 「凄いですわ!!!流石ご主人様ですわね!」

 ヴィオレットは純粋に目をキラキラさせて感心している。

 いや…今目の前には焼け焦げてる人がいるんだからそっちを心配してあげようよ。

 「だ、大丈夫ですか?モランディオさん!!!」

 声を掛けるとモランディオさんはむくりと起き上がる。

 「し、死ぬかと思ったわ」

 黒焦げになり頭頂部の三つ編みが解けちりちりになっているモランディオさん。

 痛ましい姿になって…ほんとすいません。

 「ヒィッ!!私の美しい肌が火傷しちゃってるわ!!!」

 またモランディオさんはぶつぶつと詠唱を始める。

 「癒しの光ヒール

 相変わらずポーズは決めているが、そう唱えるとキラキラとした光がモランディオさんを包み込んだ。

 光に包まれていると見る見るうちに火傷が癒されて元に戻っていく。

 これは回復魔法っぽいな。


 スキル:【神聖魔法】を習得しました


 回復魔法じゃなくて神聖魔法なんだ。へぇー。

 そんなものまで習得しちゃった。さっきからどんどんスキルが増えていくんだけどいいのかな?


 「ふぅ、治ってよかったわ。これしか使えないんだけどね。私は昔、神官を目指してたの。でもいつからか神官じゃなくてシスターになりたくて、大神官様にお願いしたら破門にされちゃったのよね」

 なるほど、神官を目指していたおかげで使えるようになったってわけね。

 ってか、シスターになりたいって無理だろ。大体性別が違うし。教会に行ってこんなゴリゴリのガチムチおっさんシスターがいたらドンビキするわ。

 「神聖魔法は神官の修行をしないと習得できないものだから教えてあげれないの。ごめんなさいね」

 すいません…さっきの見ただけで習得しちゃいました。本当にすいません。

 心の中で謝っておく。

 「君達は筋がいいわね。本当ならこんなに早く魔法なんて使えないのよ。1回見ただけで出来るってよっぽどすごい事なの」

 そうだったのか…。ヴィオレットも簡単に出来ているから普通なのかと思ってた。

 「次は風魔法にしてみる?」

 「お願いします」

 モランディオさんは頷いてブツブツまた詠唱をし始めた。そしていつものようにポーズを決める。

 「風の刃ウインドカッター

 杖から風が勢いよく飛び出て、草が鋭利な鎌で切られたように切れて落ちていった。まるでかまいたちみたいだ。


 スキル:【風魔法】を習得しました


 モランディオさんって何気に凄いよな。いろんな魔法が使えるし。

 このままどんどん教えてもらっておこう!


お読み頂きありがとうございます。

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