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第15話 予期せぬ話

何とか今日の分は書けたのでUPします。

 エルファン達の泊まっている【灰色の熊猫亭】をマップで探す。

 北門に近い所にその宿屋はあった。

 冒険者ギルドは西門に割りと近い場所にあるので、北門と西門の間にある商店街を見ながら歩いていけばいいだろう。

 商店街を冷やかしながら宿屋を目指す。

 マップでエルファンやミゼルたちがいる事は確認済みだ。

 【灰色の熊猫亭】にたどり着いて宿屋の人にエルファンの事を尋ねると、呼んできてくれるというので少し待つ。

 そんな時間も掛からずにエルファン達はやってきた。

 「やあ、リュート!昨日は本当にありがとう!そしてよく訪ねてきてくれたね!」

 爽やかな笑顔を振りまきつつエルファンは近づいてくる。何というか様になる感じだ。

 「いや、レモの様子も気になったしいいよ」

 「そうそう、君は貴重な薬をレモに飲ましてくれたんだって?何から何までお世話になりっぱなしで申し訳ない。おかげさまでレモも元気だしレモの主人として礼を言うよ」

 「レモ、君からもお礼を言いなさい」

 「リュート様、昨日は本当にありがとうございました。」

 レモはぺこりと頭を下げる。

 「お礼なんていいんだ、難病とかで苦しんでる人を助けてあげるのも俺の旅の目的でもあるんだから気にしないでくれ」

 間違った事は言ってない。俺は確かにこの世界を観光しながら旅をするつもりでいるが、ジョニーさんの遺言通り難病で困っている人を助けるってのも旅の目的でもある。

 「君はいい人なんだね。ところで少し話をしたいから何か食べながらでもどうだい?」

 「そうだな、それで構わないよ」

 俺達は食堂に移動しようとしたらメロリが声を上げた。

 「レモ!!!」

 「メロリ!?」

 ん?知り合いなのか?メロリがレモに抱きつき、レモはメロリを撫でて何か話している。

 「メロリ、レモと知り合いなのか?」

 「はい、ご主人様。レモと同じ商館で暫く一緒に暮らしてました」

 なるほど。そうだったのか。

 昨日はメロリは眠っててレモとは顔を合わせてないから知らなかったんだな。

 「そうだったんだね。何というか奇遇だね。」

 「ほんとそうだな」

 「じゃあ色々と話もあるし食堂へ行こうか」

  エルファンと俺達は宿屋の食堂に移動する。

 「ここはね、豆料理が美味しいんだ。適当に頼むから気に入ったならつまんでくれて構わないよ」

 「分かった」

 豆料理といえばブラジル料理とか思い浮かべるんだが、そんな感じなんだろうか?

 まあ俺は田舎に住んでいたからそんなブラジル料理なんて食べた事ないけどね。

 店員さんにエルファンは何かを頼んでいた。まぁ初めて食べる料理だしちょっと楽しみだ。

 「リュート、僕達の話を聞いてくれるかい?」

 急に改まったように姿勢を正し、エルファンは真摯な顔をしながら話を切り出してきた。

 「何だよ、急に改まって」

 「いや、ちょっと真剣な話をするからさ。僕とミゼルは3年前に田舎から冒険者になるために出てきたんだ。親にはある程度のお金を貰ってね。それでそのお金で3人の奴隷を買ったんだ」

 「ふんふん、それで?」

 「始めはね、わりと順調だったんだよ。でもEに上がったくらいから何かが違うって思い始めて、それでも何とかDランクになってトレントを狩れば金が儲かるって聞いて、あの森に入ったんだ。そうしたらワイルドボアの群れに出くわしてああなったわけさ」

 俺、FランクからEランクになるまで所要日数1日なんだけど…この人たちDランクになるまでに3年も掛かってるって事か?どんだけ才能ないんだよ。

 「それで、僕達話し合ったんだ。もう冒険者を辞めようって。僕の判断ミスで2人も奴隷を殺してしまったんだ。この罪は重い」

 へぇ、ちゃんと考えてるんだな。しかも奴隷をちゃんと人として扱ってる。

 エルファンは冒険者としては才能ないが、人としてはいい奴だと思う。

 「それで冒険者を辞めてどうするつもりなんだ?」

 そこはやっぱり気になるところだよな。

 「ここで商売を始めようかと思ってる。あまり無駄遣いしないようにして貯めたから少しは持ってるんだ」

 「ふーん、それで何を売る事にしたんだ?」

 「それはまだ決めてないんだけど…」

 そこは基本だろうよ。

 需要と供給をちゃんとリサーチしないと店なんてやっていけないぜ?

 売れないものなんて扱ってたって仕方ないし。

 「それなら体力回復薬ポーションとか魔力回復薬マナポーションなんてのを扱うってのはどうなんだ?」

 「それは扱っているお店も多いんだけど、結構冒険者だけじゃなく一般の人も買ってる事が多いから商売としては成り立つかもしれないね。しかしそんな薬なんて僕たちがいきなり仕入れとか出来ないだろうしなぁ」

 エルファンはため息をついている。

 俺ならいくらでも体力回復薬ポーションとか魔力回復薬マナポーションなんて作れるし、それの上位薬の完全体力回復薬フルポーション完全魔力回復薬フルマナポーションも作れる。 ちなみにジョニーさんのレシピには精力向上薬なんてのもあって俺はそれを作れたりする。多分なんだがバイ〇グラみたいな物だとは思う。確証は持てないけどね。

 それから精神安定剤みたいなものもあったからそういうのを作ってあげてもいいとは思う。

 他にも、避妊薬と、風邪薬、胃腸薬、傷薬、疲労回復薬まである。

 ジョニーさんグッジョブだぜ!

 エルファンこいついい奴だし、俺が作って卸してやってもいいかもな。

 「それなら俺に当てがある。俺は体力回復薬ポーションとか魔力回復薬マナポーション作れるんだ。それを大量に作ってタダで卸してやってもいい。まぁ売れたら売り上げの3割程度くれればいいよ」

 「え?それじゃリュートが損するじゃないか」

 エルファンは驚いた顔もしつつも真面目に答える。

 「別に俺としては元手がそんなに掛かってないからな。大丈夫だ」

 別にお金に困ってないが、全くお金を貰わないってのも駄目だろう。

 「本当に良いのかい?」

 「ああ、いいよ。あの森で会ったのも何かの縁だろう」

 「ありがとう、本当に助かるよ」

 エルファンは深々と頭を下げた。

 話が一区切りしたところでちょうど豆料理が届いた。

 見た目はぜんざいのように見える…が香りは甘くないな。

 小豆よりは少し大きい豆でうずら豆くらいだろうか。

 「せっかく料理が来たし、先にみんなで食べよう」

 エルファンは全員分の豆料理が運ばれてきたのを見計らってそう言った。

 俺とメロリは手を合わせて「いただきます」と呟いてから食べ始めようとした。

 「リュート、それは何かの儀式かい?」

 それ、メロリにも言われたよな。この世界の住人は食べる前に何も言わずに食べ始める。俺が知らないだけで神様とかに祈ってる人もいるんだろうけど。

 俺はメロリに説明したようにエルファンにも説明してやった。

 「そうなんだ。それはとってもいい考えだね。それじゃ僕達もそうやって『いただきます』と言ってから食べよう」

 エルファンの意見にミゼルもレモも賛同して「いただきます」と言ってから食べ始めた。

 うーん、そもそもこれは俺の考えじゃなくて先人の考えなんだ。俺はそれに倣ったまでで俺の意見じゃないんだよな…。感動してるのに水を注すのもなぁ。

 まあそのままにしておこう。

 気を取り直してまずは目の前の料理に集中だ。

 ブラジルの豆料理…フェジョン?だったっけか?あれとはまず全く違う。

 あれはご飯にかけてあったと思うが、ご飯ではなくカリカリに焼かれたパンと一緒に出されている。

 カリカリに焼かれたパンはどちらかというとパン耳ラスクといった感じに近い。

 1本手にとって齧ってみると、甘くはなくほんのり塩味でにんにくみたいな香りがする。

 この世界にもにんにくがあったよ!いいこと知ったよな。

 サクサクっとして更に香ばしく焼けているのでかなり美味い。

 この世界に来てパンがパサパサで不味いって思っていたが、この食べ方というかサクサクになるまで焼いてあるとかなり美味しくなるのが分かった。

 俺は毎回これでもいいな。

 次に豆料理の方なんだが、色はぜんざいでこれまたカリカリに焼かれたベーコンみたいなのが入っていて、野菜もゴロゴロ入っている。

 豆とベーコンみたいなのと野菜を一緒に掬って食べてみる。

 豆はホクホクで豆自身がほんのり甘く、カリカリに焼かれたベーコンらしきものがまた香ばしくて美味い。野菜はもちろん肉の旨味が移っていて文句なしだ。

 味はあっさり塩味。今のところしょうゆ味とかには出会ってないのでこの世界にはないんだろう。

 パンにもにんにくのいい香りがしていたが、この豆料理にも少しにんにくが入っているのかあっさりながらも食欲を掻き立てる。

 【豊かな銀樹亭】の料理も美味いが、ここの料理もかなり美味いな。

 カリカリパンと一緒に食べると尚更美味かった。

 メロリの方を見ると、メロリも肉が入っているからなのか喜んで頬張っている。

 あっという間に無くなりそうだな。

 そういう俺もあっという間に食べ終わってしまった。満足満足。

 他のみんなもちょうど食べ終わったみたいだ。美味いもの食べてる時ってだいたいみんな無言だよな。 

 「どうだった豆料理は?」

 「美味かったよ。そういや、この料理って独特な香りがするんだがこれは何を使ってるのか分かるかな?」

 にんにく…という名前じゃないと思うし、名前さえ分かれば買いに行けるしな。

 「うーん、僕は料理をしないからなぁ。ミゼルは分かるかい?」

 「そうですね、ガーリックだと思います」

 !!!!そのまんまじゃん。まぁ分かりやすいけど。

 「ガーリックね。ありがとう、助かったよ」

 一応お礼を言っておく。もしかして、みんな英語読みみたいな感じで地球にもあった食材があるのかもしれない。

 「じゃあさ、ジンジャーとかってあるのか?」

 「ジンジャーですか?ありますよ。」

 「ペッパーは?」

 「リュートさん、料理でもされるんですか?詳しいですね。ペッパーはありますがかなりの貴重品です。少しでも金貨1枚くらいになりますね」

 あった、あったよ。今の料理って基本的には塩味で香草とかスパイスはあっても胡椒らしきものは見当たらなかったんだよな。

 少しで金貨1枚なら庶民には手は出ないよね。でも何とか手に入れたいな。

 「料理には興味はあるんだけど、やった事ないんだよね。どこか教えてもらおうと思ってるんだ」

 「そうでしたか、私も料理はそこまで得意ではないので教える事が出来なくて申し訳ないです」

 「いやいや、俺が単に知りたかっただけだからいいよ。気にしないでくれ」

 俺は慌てて弁解した。料理は確かに覚えたいが、今すぐって訳じゃないし。

 「さてと本題に入っていいかい?」

 エルファンが俺のほうを向いて問いかける。

 「え?さっきのが本題じゃなかったのか?」

 「それも大事な話なんだけど、今から話す事のほうがもっと大事なんだ」

 何か真剣な話みたいだ。俺も姿勢を正してその先を促す。

 「レモの事なんだけど、リュートに引き取ってもらいたいと思ってるんだ」

 「は?」

 だって話がさっぱり分からないだろう?レモはエルファンの奴隷で何故俺に引き取らせるなんて事になるんだ?

 「僕達は商人になるんだけど、レモは猿の獣人だ。器用で罠解除も出来る。冒険者としてやっていく方が良いと思う。それにレモ本人からもリュートの所へ行きたいと言ってるんだ。どうだろう、悪くはない話だとは思うんだけど?」

 「いや、そんなこと言われてもなぁ」

 「駄目でしょうか?お願いします、リュート様」

 レモは俺の元に来て土下座する。この世界にも土下座ってあるんだなぁ…。

 おっと、脱線した。

 「レモ、君はエルファン達と暮らしたほうが命の危険にも晒されず幸せに生きていけるんだぞ?なのに何故?」

 「あたしはリュート様に救われて少しでも恩返しがしたいのです。もちろん敵避けになれと言われたら喜んでなります。お願いします、あたしをリュート様の奴隷にしてください」

 もう一度土下座をするレモ。

 何というか、そのここまで言われてイヤだとは言えないよね。

 しかも女の子の口から奴隷にしてくださいって言われたら、ねぇ?うんと頷くしかないよな。

 レモをじっくり見たことは無かったので少し観察してみる。

 髪型は赤髪のベリーショートで猿族だからなのか耳は人間よりやや大きいかなといった程度。

 人間の耳とそんなに大差ない形をしているので前から見るとパッと見じゃ人間に見える。

 だが、ちゃんと尻尾があって髪の色と同じ赤色だ。勝気そうな瞳は金色で、鼻はメロリよりかは少し高めかな。唇は桜色で肌の色は褐色で艶がある。文句なしの美少女だ。身長は俺が165cmに対してちょっとだけ高い。大体168cmくらいだろうか。体つきはその…肉感的というか非常に魅力的だ。褐色の艶肌に肉感的な体…これで15歳とは俺には信じられない。

 この世界は発育が良いのだろうか?20歳未満には手を出すつもりはないが、何かこうぐっと来るものがある。これは近々そーゆー事が出来るお店に行って朝までカーニバルをせねば!

 メロリもレモも20歳未満だし手を出せないしね。

 おっと、話が逸れたので頭を振って切り替える。

 「分かったから顔を上げて。敵避けなんかにはしないし、これから危険な事もあるだろうけどなるべく危ない目には合わせない様にするよ。エルファンやレモが良いなら俺は断る理由がない」

 「ありがとうございます、リュート様」

 レモは嬉しそうにしている。

 「ありがとう、リュート。レモもリュートの仲間になって幸せになるんだよ」

 「はい!」

 「じゃあ、この後奴隷商館へ行って手続きをしてもらおう」

 エルファンはそう言って立ち上がった。

 俺達も立ち上がる。

 手続きなら俺でも出来るが、奴隷商人でもない俺が手続きが出来るなんて言ったら駄目なのはわかるので黙ってエルファン達についていく。

 しばらく5人で歩いた後着いたのは、メロリを衝動買いした時に目の前にあった奴隷商館だった。 

 

お読みいただきありがとうございます。


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