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「ハァ、ハァ、ハァ」
少女が走る。
ザアザアと降りつける雨が少女の体力を奪う。
追われているのだ。
追っ手は4人、皆腕利きの傭兵と見える。
少女の追われる理由は外見にあった。
長いストレートの白髪もそれなり目立つのだがもっと異常なところがある。
銀色の眼、尖った耳、少女は精霊族だ。
精霊族は魔術を使える高等な種族だが、人間とはあまり仲が良く無い
自分達と違うことで忌み嫌っているのだ
少女の体力も限界に近づいてきた。
止まって息を整える。
前方の方から微かな気配がした。
顔を上げるとスミレ色の眼光が自分を捕捉していた。
ほんの少しの気配だったのだが前方1,2メートルほど前に警戒すべき存在があった。
「おい、そこのガキ!お前も同業者か?言っておくが俺たちが先に見つけた獲物だぞ」
追ってきた男達のリーダー各の男が声を張り上げる。
「あんたらはこいつをねらっているのか?」
えらく低いトーンで喋る眼前の青年だが自分にはどうでもいいように感じられた。
「そうだ、言うまでも無いだろう」
「わかった」
単純な回答
その瞬間眼前の男は消えた。
というより早すぎて自分の肉眼では捕らえられなかったのだ
少女はすぐ振り返り男達を見る。
神速の青年が全員に打撃を与え吹き飛ばした。
「帰れ」
その声には殺気が篭っていた。
「!?」
「こいつぅ、やってしまえ!!」
蹴り飛ばされた男の仲間は何が起こったのかわからなかった。
抜剣し全員で襲い掛かった
青年は鞘の付いた剣を振りはらった。
鎧が割れ、剣が折れる。全員吹っ飛ばされた。
「ゲホッ、ゲホッ、グウッ、な、何故だ?」
「俺の剣は特別製でな、白金でできていんだよ。重さは他の剣と比べ物にならないぜ」
「あ、ありえねえ……そんな重いもの……簡単に振り回すなんて……」
「実際やっているんだ」
「…………………」
「おい、逃げろよ。そうしないとカッコが付かないだろう」
急にフランクな発言をする青年
男達は無言で去っていった
最後まで見えなくなったのを確認すると近づいてくる
後ずさりして逃げる体制に入る。が。
「あーあー、お嬢さん逃げてどうするわけ?帰れるの?」
ハッと気付いた。ここまできて水の神殿に帰れるとは思えない。
「ヤッパリ、帰れないじゃん。そ こ で 提案がある。家に泊まっていかないか?」
不敵な笑みと白い歯を見せつけられ1秒後にこちらに背を向け歩き出した。
それからどうすればいいかも分からずに黙って付いていった。
* * *
キイイイイィィィ
古い木製のドアを開ける
中には質素な家具がいくつかあるだけだ
連れてきた少女おどおどと家にはいるやきょろきょろと家の中を観察する。
「名前、なんていうの?」
「アルティナ……、アルティナ・ウィッチ・フォールタル」
「そうか俺はレイオ、よろしくな、アルティナ」
互いの紹介が終わったらアルティナはまじめな顔をして質問した
「…………何で助けてくれたの?」
「誰かが妖精を嫌って刺客をさしむけたんだろう?だったらあっちが悪いじゃん追い返したほうがいいじゃん」
硬い表情のアルティナとは対照的に軽い口調で答えるレイオにアルティナは首をかしげる
「変だよ、あなたは人間と妖精を同じ扱いしてる」
「変とは何だ!でもお前の気持ちもすこしは分かる、人間と妖精は違うところはたくさんあって区別するべきかもしれない。だけど意思のある生物の行動はみんな同じ基準にあると思う。だからこうゆうことは公平に見るべきじゃないかな?」
アルティナはレイオを自分の仲間だと判断できた。自分を明かし接してくれる。自分もそうしなくてはいけないと思った。
「あなたは……」
「おい」
「はい?」
「アルティナ名前で呼べよな『レイオ』ってな」
「分かったよ、 レ イ オ 」