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絶対王政VTuber白百合マリアの華麗なる配信

作者: 佐倉美羽
掲載日:2026/02/16

―― † 白百合マリアの絶対王政チャンネル † ――

 ⇒アーカイブ


 ◆1770年5月16日に配信済み

 【初配信】白百合マリアでございます【絶対王政】

 ――――――――――

 配信開始

 ――――――――――


 〈視聴者数:大〉

 〈コメント速度:極大〉


 白百合マリア

「皆さま、ごきげんよう〜っ。

 本日もお茶会、始めてもよろしくて?」


 《コメント》

 ・来たー!

 ・王妃殿下だ

 ・開幕ごきげんよう助かる

 ・白百合の御声だぞ静粛に

 ・これは歴史的瞬間では?


 白百合マリア

「ふふ、愛され王妃、白百合マリアでございますわ。

 本日は初配信ですの。よろしくお願いいたしますわ〜」


 《コメント》

 ・初配信!?

 ・初陣だ

 ・声が思ったより軽やか

 ・王妃が配信する時代になったか

 ・革命の予感


 白百合マリア

「そう、わたくしが“白百合マリア”ですわ〜!

 あら……コメントが、まあ……!」


 《コメント》

 ・流れ速

 ・読めるかこんなの

 ・お前ら落ち着け

 ・書記官を呼べ

 ・これは読めない


 白百合マリア

「コメントが速すぎて、まったく読めませんことよ〜!

 皆さま、そんなにマリアに会いたかったの?」


 《コメント》

 ・はい

 ・はい

 ・はい

 ・謁見希望

 ・王妃様かわいい


 白百合マリア

「それでは本日、配信ということで、

 わたくし、たくさん勉強してまいりましたの!

 もう、することは全部、決めておりますわ!」


 《コメント》

 ・かわいいから許す

 ・原稿あるのか

 ・段取り王妃


 白百合マリア

「でも、その前に。

 簡単な自己紹介を、させていただきますわね」


 《コメント》

 ・来た

 ・正座

 ・公式設定開示


 白百合マリア

「わたくしは、白百合マリアと申します。

 はい、この国の正統なる王妃、白百合マリアでございますわ〜」


 《コメント》

 ・正統強調

 ・絶対王政だ

 ・否定できない

 ・王妃本人が言うの強い


 白百合マリア

「わたくし、新婚でして〜。

 実は、まだ大使妃なんです。

 でも、立派な王妃になりたいですの!

 そして、皆さまのことを、もっと知りたい!」


 《コメント》

 ・新婚

 ・夫の影が見えない

 ・これは推せる

 ・距離感が近い


 白百合マリア

「ということで、よろしくお願いいたしますわ!」


 《コメント》

 ・よろしく

 ・こちらこそ

 ・臣下一同


 白百合マリア

「では、さっそくですわね。

 私、ハッシュタグを準備してまいりましたので……」


 《コメント》

 ・タグ文化来た

 ・革命的

 ・王妃がタグ管理


 白百合マリア

「こちらをご覧あれ!

 ……あら?」


 《コメント》

 ・映らん

 ・事故

 ・初配信だな

 ・これはこれで良い


 白百合マリア

「映りませんわ〜!

 少々お待ちくださいませ〜」


 《コメント》

 ・待つ

 ・何時間でも

 ・可愛いから許す


 白百合マリア

「あ、映りましたわ。コホン。

 では、気を取り直してまいりますわよ!」


【画面表示:タグ一覧】

 ファンネーム:白百合騎士団

 イラストタグ:#マリアへの献花

 配信タグ:#マリアのお茶会


 《コメント》

 ・騎士団入団希望

 ・献花の語感が良い

 ・お茶会なの平和

 ・全部覚えた


 白百合マリア

「こちらのタグで、

 豪華絢爛なイラストや、配信のご感想、

 お待ちしておりますわ!」


 《コメント》

 ・描く

 ・捧げる

 ・才能ある民が集まっている


 白百合マリア

「そして、趣味ですわ!」


【画面表示:趣味】

 音楽

 演劇

 ル・アモー(農村風庭園)

 ファッション

 高級家具集め

 ジュエリー


 《コメント》

 ・全部金かかりそう

 ・王妃の趣味だ

 ・農村風庭園って何

 ・演劇好きなの良い


 白百合マリア

「綺麗なものが大好きですの!

 音楽も演劇も、観るより、する方が好きですわ!」


 《コメント》

 ・才能ありそう

 ・舞台配信ある?

 ・期待


 白百合マリア

「年齢は非公開ですわ!

 理由は……怖いですので!」


 《コメント》

 ・正直

 ・賢明

 ・詮索は野暮


 白百合マリア

「それから……

 わたくし、白百合のような、

 愛されるお嫁さんになることが夢ですの」


 《コメント》

 ・尊い

 ・王妃の夢それでいいのか

 ・いいんだよ


 白百合マリア

「なぜそう思うようになったのかは、

 配信の最後にお話ししますわ。

 引き、というやつですの!」


 《コメント》

 ・あざとい

 ・だが嫌いじゃない

 ・最後まで見る


 ―――(中略:雑談・コメント拾えない事故・お茶会感)―――


 白百合マリア

「それでは……

 どうして白百合のような

 愛されるお嫁さんになりたいか、ですわね」


 《コメント》

 ・来た

 ・核心

 ・静粛に


 白百合マリア

「わたくし、子供のころから

 『あなたは王家の娘であり、国家の駒である』

 そう教えられて育ちましたの」


 《コメント》

 ・重い

 ・急に政治

 ・これは王妃


 白百合マリア

「でも、可哀そうとかではありませんわ。

 王家の娘として、当然の務めですもの」


 《コメント》

 ・強い

 ・納得してるのが余計に

 ・思想が王政


 白百合マリア

「ですが、毎日、毎日、つまらない勉強ばかり!

 読み書きも、歴史も、政治も、

 さっぱりでしたの!」


 《コメント》

 ・さっぱり

 ・でも王妃

 ・不安になる


 白百合マリア

「それでも……

 太子妃になること、

 華やかな宮廷、

 王妃として愛される未来を夢見て、

 がんばってきましたの!」


 《コメント》

 ・夢が支え

 ・王妃も人

 ・応援したい


 白百合マリア

「だから……

 わたくしのことを見て、

 皆さまがハッピーになってくれたら、

 それで良いと思って……

 配信を、始めました」


 《コメント》

 ・推す

 ・守りたい

 ・これは白百合


 白百合マリア

「というわけで!

 皆さまに覚えていただけるよう、

 毎日配信いたしますわよ!」


 《コメント》

 ・毎日

 ・無理しないで

 ・でも嬉しい


 白百合マリア

「どうぞ、よろしくお願いいたしますわ!」


 《コメント》

 ・こちらこそ

 ・王妃万歳

 ・乙百合準備


 白百合マリア

「では、本日の配信はこのあたりで。

 次のお茶会で、お会いしましょう!

 ごきげんよう♡

 乙百合〜♡」


 《コメント》

 ・乙百合

 ・良い配信だった

 ・歴史が動いた

 ――――――――――

 配信終了

 ――――――――――



 ◆1772年1月3日に配信済み

 【雑談】復帰いたしますわよ!お家のごたごたの話ですわ【絶対王政】

 ――――――――――

 配信開始

 ――――――――――


 〈視聴者数:大〉

 〈コメント速度:中〉


 マリア

「皆さま、ごきげんよう〜っ。

 本日もお茶会、始めてもよろしくて?」


 《コメント》

 ・きたあああああ

 ・ごきげんよう!

 ・待ってた

 ・開幕王妃ボイス助かる

 ・帰還おめ


 マリア

「皆さまお久しぶりです。愛され王妃、白百合マリアでございますわ~。

 久しぶりの配信で緊張しているのは、わたくしだけ?

 ともあれ、皆さまがた、お会いしたかったですわ~」


 《コメント》

 ・こっちも会いたかった

 ・声聞いただけで安心する

 ・緊張してるのかわいい

 ・ブランク感じないの強い

 ・王妃は緊張しない

 ・1か月くらいに感じた


 マリア

「体感1か月くらいに思われます?

 じつは、たったの5日間ですわ。

 寂しかった?

 ……うふ!

 わたくしも、寂しかった♡ あははっ」


 《コメント》

 ・5日でこの渇き

 ・完全に禁断症状

 ・寂しかったです(即答)

 ・これは愛

 ・計算じゃないのが怖い


 マリア

「はいっ!一年の始まりということでして、

 お家のお厄介なことも収まりましたので、こうして戻ってきましたの!」


 《コメント》

 ・お家のごたごた来た

 ・今回の本題

 ・絶対王政タグ回収

 ・不穏で草


 マリア

「え~と、何から話そうかしら。

 久しぶりの配信で、わたくしも、え?え?え?っとなっております」


 《コメント》

 ・え?え?え?かわいい

 ・脳内処理中

 ・そのままでいい


 マリア

「それでは、まずはこの話題から!

 デュ……、お義父様の意地悪な例の寵姫夫人と、仲直りいたしました」


 《コメント》

 ・!?

 ・まじで

 ・展開早

 ・和解ルート入った

 ・王妃の器


 マリア

「ふふ。ありがとうございます。

 貴賤結婚で生まれた夫人なんて、宮廷の華やかさを損ないますのに、

 皆さま、わかってくださらなくて大変でしたの」


 《コメント》

 ・言葉が強い

 ・まあ王妃だし

 ・正論王政

 ・刺さる人には刺さる


 マリア

「宮廷内でも同じ意見だという人も大勢おりましたのに、

 お義父様もお母さまも、喧嘩はやめるようにと言ってきかないんです!」


 《コメント》

 ・家庭問題重い

 ・義実家強い

 ・板挟み王妃

 ・ドロドロすぎて草も生えない

 ・胃が痛そう


 マリア

「あら、ドロドロなんてしていませんわ。

 宮殿を清潔にしようとしているだけですことよ」


 《コメント》

 ・言い切った

 ・清潔(物理)

 ・語彙が強い

 ・王妃理論


 マリア

「ですが、わたくしも皆に愛される王妃になりたいですので、

 大人の対応を見せてあげたんです」


 《コメント》

 ・ここで愛され宣言

 ・さすが

 ・自己評価高いの好き


 マリア

「なんと、1月1日!

 新年のあいさつに訪れた寵姫夫人に、

 わたくしから声をおかけしたんです!」


 《コメント》

 ・自分から行ったのか

 ・強すぎる

 ・王妃ムーブ

 ・これは格の違い


 マリア

「いえいえ。

 王大使の妻として、当然のことをしたまでですの」


 《コメント》

 ・当然と言い切るの草

 ・ロール完璧

 ・この人ブレない


 マリア

「ですが、こういったお面倒なことは、もうたくさんですわ~」


 《コメント》

 ・本音出た

 ・わかる

 ・王妃も人間


 ―――(中略:雑談とコメントの応酬)―――


 マリア

「それでは、そんな感じで、

 また明日、20時にお会いいたしましょう」


 《コメント》

 ・明日も!?

 ・毎日王妃助かる

 ・予定空けます


 マリア

「皆さま方!

 それまでお寂しいですけれども、

 次のお茶会で、お会いしましょう!」


 《コメント》

 ・寂しい

 ・でも待つ

 ・また来る


 マリア

「ごきげんよう♡

 ……乙百合〜♡」


 《コメント》

 ・乙百合

 ・乙王妃

 ・今日も良かった

 ・配信ありがとう

 ――――――――――

 配信終了

 ――――――――――



 ◆1778年12月28日

 白百合マリア、母になるの巻き★雑談【絶対王政】

 ――――――――――

 配信開始

 ――――――――――


 〈視聴者数:低〉

 〈コメント速度:中〉


 白百合マリア

「皆さま、ごきげんようっ。

 本日もお茶会、始めてもよろしくて?」


 《コメント》

 ・来た

 ・久しぶり

 ・復帰?

 ・始まったな


 白百合マリア

「愛され王妃系VTuber、白百合マリアの配信、はじまりますわよ。

 あ、開始ポスト忘れちゃった。今出しましたわ。これでよしっと」


 《コメント》

 ・今気づいた

 ・通知来てなかったぞ

 ・遅延ひどくない?


 白百合マリア

「今日はお歌にしようか迷いましたけれど、最近あまり雑談していませんでしたので、今日はがんばってお話しますの。

 もう、配信を始めて七年になりますけれど、未だに緊張しますわ〜」


 《コメント》

 ・七年

 ・長いな

 ・まだ緊張するのか


 白百合マリア

「机の前に座ると、どうしても身構えてしまうんですの。でも、しっかり準備してきましたので大丈夫。

 今日は五つほどトークテーマを考えてきましたわ」


 《コメント》

 ・五つも

 ・ちゃんと準備してて偉い

 ・えらい


 白百合マリア

「では、まず一つ目のテーマはこちらです」


【祝】子供が生まれました【12月19日】


 白百合マリア

「もう、ついに、ついに生まれましたの。

 はい、ありがとうございます。ありがとうございます」


 《コメント》

 ・おめでとう

 ・やっとかよ

 ・へえ


 白百合マリア

「夫がまあ、あまりノリ気ではなくて!

 悪い人ではないのですけれど、どうしても時間がかかってしまいましたわ」


 《コメント》

 ・ノリ気じゃないって

 ・それ言う必要ある?

 ・笑い話みたいに言うな


 白百合マリア

「お母さまも心配して、たびたびお手紙をくださって。

 お兄様まで様子を見に来て、大騒ぎでしたの。

 結局、七年もかかってしまいましたわね」


 《コメント》

 ・七年

 ・長すぎる

 ・王妃としてどうなんだ

 ※このコメントは運営によって削除されました

 ※このコメントは運営によって削除されました


 白百合マリア

「皆さまにもご心配をおかけしましたわね。

 でも、無事に生まれましたので、もう大丈夫ですわ」


 《コメント》

 ・本当に大丈夫?

 ・何が大丈夫なんだ

 ・王妃も子育てするんか


 白百合マリア

「え、王妃は子育てをするのか、ですって?

 もちろん、いたしますわよ」


 《コメント》

 ・え

 ・本気で言ってる?


 白百合マリア

「子育てのために、小さな宮殿も用意していただきましたの。

 そこで、仲良しのお友達と一緒に、大切に育てるつもりですわ」


 《コメント》

 ・小宮殿

 ・友達

 ・庶民と感覚違いすぎ

 ※このコメントは運営によって削除されました

 ※このコメントは運営によって削除されました


 白百合マリア

「仮面舞踏会も、トランプも、少しお休みですわ」


 《コメント》

 ・そこじゃない

 ・休む理由それか


 白百合マリア

「それにしても、宮殿のお作法というのは、本当に面倒くさいですわね」


 《コメント》

 ・始まった

 ・またか


 白百合マリア

「起きてから着替えて、食事も就寝も、いつも誰かが見ていて。

 ほんの些細な所作にまで、裏を勘ぐられてしまいますの」


 《コメント》

 ・それが仕事やろ

 ・国の象徴なんだが


 白百合マリア

「息が詰まってしまって。

 まるで、黄金の檻ですわ」


 《コメント》

 ・黄金の檻

 ・言葉選べ

 ・あ

 ※このコメントは運営によって削除されました

 ※このコメントは運営によって削除されました


 白百合マリア

「実家は、こんな感じではありませんでしたのに。

 でも、小宮殿では少しはマシになりそうですわ」


 《コメント》

 ・実家実家

 ・いつもそれ


 ―――(中略:村里の話、恋愛を匂わせる発言、賭博で大勝した話)―――


 《コメント》

 ・話題軽すぎ

 ・今それ言う?

 ・国庫でやってるんだよなぁ

 ・賭博?

 ※このコメントは運営によって削除されました

 ※このコメントは運営によって削除されました

 ※このコメントは運営によって削除されました


 白百合マリア

「ふぅ……少し話疲れてしまいましたわ」


 《コメント》

 ・こっちが疲れた

 ・正直な感想


 白百合マリア

「それでは、本日はこのあたりで」


 《コメント》

 ・あっさり

 ・終わるのか


 白百合マリア

「次のお茶会で、またお会いしましょう。

 ごきげんよう」


 《コメント》

 ・はい

 ・はいはい


 白百合マリア

「乙百合〜」

 ――――――――――

 配信終了

 ――――――――――



 ◆1783年7月16日に配信済み

 近況について【雑談】

 ――――――――――

 配信開始

 ――――――――――


 〈視聴者数:大〉

 〈コメント速度:大〉


 白百合マリア

「……お久しぶりです。

 お休みをいただいておりました、白百合マリアです」


 《コメント》

 ・はじまた

 ・来た

 ・久しぶり


 白百合マリア

「本日は、最初に近況についてお話しして、その後に雑談をしようと思っています」


 《コメント》

 ・声明?

 ・先にそれか


 白百合マリア

「すこし緊張しておりまして……うまくお話しできないと思いましたので、文章を読んでお話しさせていただきます」


 《コメント》

 ・原稿読み

 ・ガチだな


 〈紙をめくる音〉


 白百合マリア

「はい……今回の、ある伯爵との噂について、ですが」


 《コメント》

 ・来た

 ・その話か


 白百合マリア

「応援してくださった方、厳しいご意見をくださった方、それぞれのお立場で感じることがあったのだと思います」


 《コメント》

 ・テンプレ

 ・いつもの言い方


 白百合マリア

「お休みしている間も、いろいろなお声を耳にしました」


 《コメント》

 ・耳にしただけ


 白百合マリア

「わたくしの至らない点で、不安にさせてしまった方、不快に思わせてしまった方には……」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「素直に、謝らせてください。申し訳ありませんでした」


 《コメント》

 ・

 ・謝った


 白百合マリア

「ただ、王妃としての立場から逃げたいとは、思っておりません」


 《コメント》

 ・逃げる逃げないじゃない

 ・そこじゃない

 ※このコメントは運営によって削除されました


 白百合マリア

「これからは、より一層、見られ方に気をつけて活動していこうと思います」


 《コメント》

 ・また言ってる

 ・何度目


 白百合マリア

「これからの配信で、その積み重ねをお見せできたらと……思っています」


 《コメント》

 ・積み重ね

 ・信用


 白百合マリア

「……ふぅ。以上です」


 〈一瞬の沈黙〉


 《コメント》

 ・

 ・終わり?


 白百合マリア

「というわけで……」


 〈急に声色が明るくなる〉


 白百合マリア

「皆さま、ごきげんよう〜っ。

 本日もお茶会、始めてもよろしくて?」


 《コメント》

 ・切り替え早

 ・テンション違いすぎ


 白百合マリア

「愛され王妃、白百合マリアでございますわ。一週間ぶりですの。

 張り切って、行きますわよ」


 《コメント》

 ・張り切ってる場合か

 ・メンタル強い


 白百合マリア

「まずはですね。ようやく!

 わたくしの、スパイ容疑が晴れましたの!」


 《コメント》

 ・は?

 ・そういう言い方

 ※このコメントは運営によって削除されました

 ※このコメントは運営によって削除されました


 白百合マリア

「誤解というのは、本当に恐ろしいものですわね。

 何もしていなくても、疑われてしまうことがあるなんて」


 《コメント》

 ・何もしてない?

 ・本当に?

 ※このコメントは運営によって削除されました


 白百合マリア

「ただ、その影響で……しばらく、政策決定や顧問会議から外されておりまして」


 《コメント》

 ・そりゃそう

 ・当然


 白百合マリア

「ですので、最近は本当に、時間がたっぷりありまして」


 《コメント》

 ・暇アピ


 白百合マリア

「本を読んだり、庭を歩いたり……静かに過ごしておりましたの」


 《コメント》

 ・静かにしててくれ

 ・今後も

 ※このコメントは運営によって削除されました


 白百合マリア

「……あら」


 〈視線が下がる〉


 白百合マリア

「今日は、もう……このあたりで終わりにいたしますわ」


 《コメント》

 ・察した

 ・早いな


 白百合マリア

「次のお茶会で、またお会いしましょう」


 《コメント》

 ・次ある?

 ・どうだろ


 白百合マリア

「ごきげんよう。

 乙百合〜」

 ――――――――――

 配信終了

 ――――――――――



 ◆1785年5月11日に配信済み

 一連の疑惑に関する説明について

 ――――――――――

 配信開始

 ――――――――――


 〈視聴者数:異常値〉

 〈コメント速度:極大〉


 白百合マリア

「……この度、わたくし、白百合マリアが――」


 《コメント》

 ・始まった

 ・逃げ場なし

 ・今日で終わり


 白百合マリア

「例の首飾りについて関与しているとの憶測が飛び交っている事件につきまして」


 《コメント》

 ・憶測じゃない

 ・もうそれ言う?


 白百合マリア

「本配信にて、ご説明させていただきます」


 《コメント》

 ・説明で済む話じゃない

 ・今さら


 白百合マリア

「まずは、本件について――」


 《コメント》

 ・前置き長い

 ・早く本題


 白百合マリア

「このような情報が飛び交う事態となり、関係者の皆様、視聴者の皆様に――」


 《コメント》

 ・視聴者代表ヅラ

 ・迷惑の桁が違う


 白百合マリア

「ご心配とご迷惑をおかけしたことを、深くお詫び申し上げます」


 《コメント》

 ・謝って済むなら楽

 ・首飾り一個で何人餓死した


 白百合マリア

「結論から申し上げます」


 コメント

 ・はいはい


 白百合マリア

「わたくし、白百合マリアは――」


 《コメント》

 ・来た


 白百合マリア

「例の首飾りについて、まったく関与しておりません」


 《コメント》

 ・嘘

 ・信じろって?


 白百合マリア

「売却費用で利益を得た事実もございません」


 《コメント》

 ・帳簿出せ

 ・王妃の言葉に価値ある?


 白百合マリア

「公開裁判の結果が、事実でございます」


 《コメント》

 ・その裁判が信用されてない

 ・誰の裁判だよ


 白百合マリア

「例の首飾りについて、少し詳しくご説明いたします」


 《コメント》

 ・講義始まった

 ・歴史の時間


 白百合マリア

「あの首飾りは、ダイアモンド六百五十粒――」


 《コメント》

 ・数字出すな

 ・値段言うな


 白百合マリア

「価値にして、約百六十万から二百万リーヴル」


 《コメント》

 ・うわ

 ・一年で国民何人養える

 ・それを首にかける神経


 白百合マリア

「先王が寵姫に買い与えたものでしたが――」


 《コメント》

 ・死人のせいにするな

 ・王家全体が腐ってる


 白百合マリア

「宝石商は、わたくしにその首飾りを売ろうとしました」


 《コメント》

 ・買える立場

 ・拒否したアピ


 白百合マリア

「ですが、あまりに高価であること、そして――」


 《コメント》

 ・庶民感覚アピール


 白百合マリア

「わたくしがその寵姫と仲が悪かったことを理由に、拒否しました」


 《コメント》

 ・感情で国家財政語るな

 ・仲が悪いとかどうでもいい


 白百合マリア

「しかし、宝石商は――」


 《コメント》

 ・話が長い


 白百合マリア

「わたくしと仲が良いと詐称する夫人に仲介を頼んだのです」


 《コメント》

 ・また女のせい

 ・便利な悪役


 白百合マリア

「その夫人は、ある枢機卿に――」


 《コメント》

 ・はいはい

 ・全部他人


 白百合マリア

「『王妃は秘密裏に首飾りを欲しがっている』と」


 《コメント》

 ・誰が信じる

 ・信じた方も問題


 白百合マリア

「某枢機卿は、この嘘を信じ――」


 《コメント》

 ・無罪の人だ

 ・都合いい


 白百合マリア

「代理購入を行いました」


 《コメント》

 ・無罪なの草

 ・王妃は無実で枢機卿も無実


 白百合マリア

「わたくしに似せた娼婦を用意し――」


 《コメント》

 ・侮辱

 ・娼婦を盾にするな


 白百合マリア

「首飾りは分解され、海外に売却されました」


 《コメント》

 ・国外流出

 ・国家資産


 白百合マリア

「この間、わたくしの手には一切渡っておりません」


 《コメント》

 ・だから何

 ・責任は消えない


 白百合マリア

「宝石商が、わたくしに代金を請求したことで――」


 《コメント》

 ・被害者ムーブ


 白百合マリア

「事件が発覚した、という経緯です」


 《コメント》

 ・発覚しただけ

 ・構造は同じ


 白百合マリア

「裁判の結果、夫人は有罪となりました」


 《コメント》

 ・トカゲの尻尾

 ・いつもの


 白百合マリア

「……なぜ枢機卿が無罪なのかについては」


 《コメント》

 ・そこが全て


 白百合マリア

「わたくしには、わかりかねます」


 《コメント》

 ・は?

 ・知ってるだろ

 ・王妃が関与してたからでは?


 白百合マリア

「ですが、これが事件の真実であり――」


 《コメント》

 ・真実を決めるのは誰


 白百合マリア

「わたくしは、まったくの無実であります」


 《コメント》

 ・無実でも無関係じゃない

 ・王妃という立場


 白百合マリア

「これからは――」


 《コメント》

 ・まだ続く


 白百合マリア

「皆さまのご指摘を真摯に受け止め」


 《コメント》

 ・何度目


 白百合マリア

「自分自身を見つめなおすと誓いました」


 《コメント》

 ・誓いはもういい


 白百合マリア

「繰り返しになりますが――」


 《コメント》

 ・繰り返すな


 白百合マリア

「不安とご迷惑をおかけしたことを」


 《コメント》

 ・迷惑じゃ済まない


 白百合マリア

「深く、お詫び申し上げます」


 《コメント》

 ・謝罪で腹は満たされない

 ・首飾りよりパンを


 〈沈黙〉

 〈コメントは止まらない〉

 ――――――――――

 配信終了

 ――――――――――



 ◆1791年7月13日

 無題

 ――――――――――

 配信開始

 ――――――――――


 〈視聴者数:静かに増加〉

 〈コメント速度:遅〉


 白百合マリア

「……聞いてください。

 皆さまは、誤解しています。どうか、怒りを鎮めてください」


 《コメント》

 ・……

 ・


 白百合マリア

「たしかに、我らは戦争への参加、貴族、聖職者への免税がかさみ――」


 《コメント》

 ・把握している


 白百合マリア

「事実上の国家破産寸前にまで、陥らせてしまいました」


 《コメント》

 ・“してしまいました”


 白百合マリア

「ですが、問題は制度であって、王権ではありません」


 《コメント》

 ・線を引くな


 白百合マリア

「税制を見直せば、国は立て直せるのです」


 《コメント》

 ・いつ


 白百合マリア

「皆さまへの増税に関して、腹を立てることは最もです」


 《コメント》

 ・当然


 白百合マリア

「ですが、王は特権階級への課税を、本気で検討しております」


 《コメント》

 ・検討

 ・まだ


 白百合マリア

「農民・平民の負担軽減も、視野に入れております」


 《コメント》

 ・視野


 白百合マリア

「これを、皆さまを交えた三部会にて承認していただき――」


 《コメント》

 ・過去形にするな


 白百合マリア

「財政改革を成そうとしたのです」


 《コメント》

 ・“成そうと”


 白百合マリア

「改革派の財務長官解任も――」


 《コメント》

 ・来た


 白百合マリア

「政策推進のための、一時的な措置にすぎません」


 《コメント》

 ・一時的


 白百合マリア

「決して、皆さまの改革を潰すつもりは――」


 《コメント》

 ・結果が全て


 〈一瞬、コメントが止まる〉


 白百合マリア

「……はい。

 国民議会を、武力で鎮圧しようとした件についても」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「誤解がございます」


 《コメント》

 ・誤解


 白百合マリア

「あれは、首都の治安維持」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「議会と民衆の衝突を避けるための、抑止力です」


 《コメント》

 ・銃で?


 白百合マリア

「クーデターの意志は、ございません」


 《コメント》

 ・意志


 白百合マリア

「すべてが、ボタンの掛け違いであり――」


 《コメント》

 ・偶然


 白百合マリア

「悲劇的な誤解があった、と言わざるを得ません」


 《コメント》

 ・誤解で人は死ぬ


 〈視聴者数、さらに増加〉

 〈コメント欄、静まり返る〉


 白百合マリア

「王家が国外へ避難しようとした件についても――」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「国民から離反したつもりは、毛頭ございません」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「王は、依然として国民の父です」


 《コメント》

 ・父


 白百合マリア

「ただ、重なる監視の元――」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「復活祭にすら参加できない現状に」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「良心の危機に陥ったにすぎないのです」


 《コメント》

 ・


 〈長い沈黙〉


 白百合マリア

「……わたくしについても、誤解があります」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「母国に連絡を取っていたことは、認めます」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「兄を頼ったことも、事実です」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「ですが、神に誓って――」


 《コメント》

 ・神


 白百合マリア

「本国への侵略を手引きした事実は、ございません」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「ただ、王権の回復と、安全確保を――」


 《コメント》

 ・王権


 白百合マリア

「家族を、救いたかっただけなのです」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「祖国を売ったのではありません」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「どうか、信じてください」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「どうか……」


 《コメント》

 ・


 白百合マリア

「どうか」


 《コメント》

 ・

 ――――――――――

 配信終了

 ――――――――――


 〈コメントは開いたまま〉

 〈誰も書かない〉



 ◆1793年10月16日

【卒業配信】Vive La France!

 ――――――――――

 配信開始

 ――――――――――


 〈視聴者数:異常値〉

 〈コメント速度:極大〉


 白百合マリア

「皆さま、ごきげんよう。

 本日もお茶会、始めてもよろしくて?」


 《コメント》

 ・まだ生きてたの?

 ・今日は首記念日だろ

 ・お茶会www

 ・ギロチン前に配信とか草

 ・その声で何万人死んだと思ってる

 ・フランスの血税で紅茶かよ

 ・早く終われ

 ・音声切れ

 ・母親ごっこはもういい

 ・見世物乙


 白百合マリア

「皆さま、お久しぶりでございますね。

 元・王妃の……白百合マリアでございます」


(小さく息を吸う)


「本日は……最後の配信です」


 《コメント》

 ・やっとか

 ・はいはい最後最後

 ・何回目の最後?

 ・どうせ泣き落とし

 ・情に訴えるな

 ・今さら何を言う

 ・子ども返せ

 ・税金返せ

 ・共和国に謝れ

 ・4んで詫びろ


 白百合マリア

「王妃として、皆さまの前に立つ最後の配信。

 これまで……見てくださって、本当にありがとうございました

 わたくしは……幸せ者でした」


 《コメント》

 ・幸せだったのはお前だけ

 ・民は地獄だった

 ・自分語りやめろ

 ・その幸せの代償

 ・どの口が

 ・反省ゼロ

 ・白々しい

 ・早く切れ

 ・時間の無駄


 白百合マリア

「……最初の配信、覚えておいでですか?

 わたくしが、なぜ配信を始めたのか」


 《コメント》

 ・知らん

 ・興味ない

 ・忘れた

 ・どうでもいい

 ・記録消せ

 ・王妃様の遊び

 ・承認欲求

 ・暇つぶし

 ・現実逃避

 ・被害者面


 白百合マリア

「“わたくしのことを見て、

 皆さまが少しでもハッピーになってくだされば、それで良い”

 ……そう、申しました」


 《コメント》

 ・嘘つけ

 ・誰が幸せだった

 ・ハッピー税

 ・不幸の象徴

 ・笑えない

 ・この期に及んで

 ・寒い

 ・寒すぎる

 ・処刑台で言え

 ・——


 〈コメントの流れが、一瞬だけ遅くなる〉


 白百合マリア

「今も……それは変わっておりません。


 わたくしはただ、

 皆さまに――幸福であれと


 心の底から、願っております」


 《コメント》

 ・……

 ・……は?

 ・……

 ・何言ってる

 ・……

 ・(沈黙が増える)


 白百合マリア

「天に星あれ、

 地に花あれ、

 そして……民に」


「――幸あれ」


 《コメント》

 ・……

 ・……

 ・これで、いいのか?

 ・もう、終わるのか

 ・……

 ・誰も得しないな

 ・……

 ・革命って

 ・……


 白百合マリア

「では……最後の配信は、このあたりで。

 いつか……

 次のお茶会で、お会いしましょうね」


 《コメント》

 ・次なんて

 ・……

 ・ない

 ・……

 ・本当に、これで

 ・……


 白百合マリア

「ごきげんよう。

 ……乙百合、でございます」


 〈画面が暗転しかける〉


 白百合マリア

「あら、これは失礼。

 お赦しくださいませ、ムッシュウ。

 わざとでは、ありませんのよ?」


(微笑む。母親のような謝罪)

 ――――――――――

 配信終了

 ――――――――――


 《コメント》

 ・……

 ・……

 ・……

 ・ログ、保存した

 ・……

 ・終わった

 ・……

 〈誰も退出しない〉


 ◇


 マリー=アントワネット≪マリア・アントニア≫

(Marie-Antoinette≪Maria Antonia≫1755年11月2日―1793年10月16日)


 1755年、ハプスブルク家のマリア・テレジアの末娘として誕生したマリー・アントワネットは、1770年、オーストリア・フランス両家の同盟強化を目的とした政略結婚により、14歳でフランス王太子(後のルイ16世)のもとへ輿入れした。しかし、異国出身の王太子妃を待ち受けていたのは、厳格な儀礼と陰謀が渦巻くヴェルサイユ宮廷という特殊な環境であった。1774年の即位後も、彼女は宮廷の監視を嫌って小トリアノン宮殿に隠棲し、限定的な社交を好んだが、この閉鎖的な振る舞いは宮廷貴族の反感を買うとともに、「フランスを軽んじる外国女」という排他的な悪評を形成する要因となった。


 さらに、私生活におけるフェルセン伯爵とのスキャンダルや「首飾り事件」等の風評被害が、彼女のイメージを「国家財政を逼迫させる浪費家」として決定づけた。当時のフランスは長年の戦費調達により財政破綻の危機に瀕していたが、国民の困窮と不満の矛先は、実態以上に誇張された王妃の放蕩へと向けられていった。1789年にフランス革命が勃発すると、彼女は王権維持のために実家であるオーストリアとの外交交渉を試みるが、これがかえって「反革命の象徴」として民衆の憎悪を煽る結果となる。1791年のヴァレンヌ逃亡事件の失敗は、国王一家に対する国民の信頼を致命的に失墜させ、立憲君主制維持の道を閉ざすこととなった。


 王政廃止後の1793年10月16日、マリー・アントワネットは革命裁判所において国家反逆罪等で死刑判決を受け、革命広場の断頭台にて37歳の生涯を閉じた。彼女は最期の瞬間まで、王妃としての気高さと威厳を失わなかったと伝えられている。


 なお、彼女の代名詞とされる「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」という発言は、ルソーの著作に登場する逸話が後年に転用されたものであり、史実ではないことが年代的に証明されている。だが実態は、フランス革命期における慢性的な食糧不足と王妃への反感を背景に、この逸話は独り歩きし、マリー・アントワネットの発言として定着していった。

 すなわち、この言葉は史実というより、革命期に形成された象徴的プロパガンダであったと解釈される。


 ※本項は史実に基づく人物解説であり、特定の創作作品・表現とは直接の関係を持たない。


(完)

ここまでお読みいただきありがとうございました。

よければ感想、ご評価をいただけましたらとても嬉しいです。

佐倉美羽


▼本作が気に入ってくださったなら、こちらの短編もオススメ!よければどうぞ。

https://ncode.syosetu.com/n4414ls/

『夫の寵臣がウザすぎて、白い結婚になってたので鍵垢で愚痴りながら革命起こした件――She-Wolf’s Timeline』


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