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転生領主一代記──伯爵四男に転生したので辺境開拓したら、いつの間にか公国建国して連邦王国まで出来てた件  作者: 想いの力のその先へ
第二章 16歳、領地飛躍の時

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二十八話

 わたくし、マイア・ディオスクロイは領主館で、御用商のマーネン商会、頭取のヴァンから件の辺境領の報告を受けていました。


「それで、あちらについて。詳しいことは分かりましたか?」

「へぇ、どうやら領主はんは無事みたいです。ですが、大事を取って、休まされてるようですね」

「そうですか。まぁ、無事であるなら問題ありません」


 始まりはヴァンからもたらされた一報。専門家、森林管理人から木材の乱雑な伐採、それにともなうモンスターのスタンピードが起こる可能性アリ。と、言うものでした。

 しかし、当時森林管理人の方も現場には未到着。あくまで、傾向による可能性、ということで監視に留めておこう。と、言う話で纏まりかけていたのですが……。


「まさか、昨日の今日で起こるなんて……」

「はい、流石に予想外ですなぁ」


 正直、小規模とは言えスタンピードが即座に起こると思っていませんでした。ただ、わたくしもヴァンも甘く見ていた。と言われればその通りと言う他ありません。

 これにはいくつかの要因が重なっていました。


 ・領主のアインくん、実際に伐採していた騎士アスガル、黒鍬隊の指揮官、ならびに副官に森林の知識がなかった。

 ・アインくんが少しでも早く領民の生活を安定させるため、伐採を優先するよう指示を出していた。

 ・先代代官。あの搾取していた代官は定期的なモンスターの間引きを行っていなかった結果、動物と同じようにモンスターも個体数が増えていた。そのため、多くの群れが形成されていた。


 不幸な事故、と言えばそれまでのこと。ですが、防げた事故でもありました。


「あちらからは、専門家の派遣は保留。という返答をされていたのでしたね?」

「ええ、そうです。……どうやら警戒されてるようで」

「……でしょうね」


 アルフェの辣腕の弊害。とでも言うべきでしょうか?

 彼女は確かに商売上手なのですが、強引すぎるきらいがある。それで敵を作りやすい。

 やはり、召喚状を送っておいて正解でした。……間に合いませんでしたが。


「とりあえず、こうなってしまった以上、なんとしても職人の派遣をねじ込みなさい。あちらも嫌、とは言えないはずです」

「はいな、分かっとります。いまなら、交渉のしようもありますからに」


 こちらの方はそれで良いでしょう。あそこは妹の避難所となり得る場所です。些細な問題で失うわけにはいきません。

 それともうひとつ。


「イオス公爵家にアポイントメントを取っておいてください」

「へぇ……? 会談、なさるので?」

「ええ、あれが起こる前なら公爵家相手にゼロサムゲームを楽しんでも問題ありませんでした。ですが、こうなった以上、利害調整をしてでも安定させなければなりません」


 楽しみを優先して、投資先が潰れたなど笑い話にもなりません。それにこの頃、公爵閣下にしては動きがおかしく見えることが度々あります。閣下の背後にブレーンが付いたか、あるいは……。

 それを確かめるためにも、公爵家へ赴くというのも悪い選択肢ではありません。


「それと今後、辺境に関してはあくまで投資優先でいきます。多少、現時点で減益が出たとしても、後で回収できるなら問題ありません。留意するように」

「へえ、承知しました。奥さま」


 指示を受けたヴァンはわたくしにぺこり、と頭を下げてきます。


「それと、分かっているでしょうが。もうすぐアルフェが帰ってくるわけですが、しばらくの間、抑えておくように。勝手に動かれて辺境や公爵の態度が硬化したら元も子もありません」


 わたくしの指示にヴァンは露骨に顔を引き攣らせます。恐らく、無理難題を、とでも思ってるのでしょう。


「なにも難しいことじゃありません。アルフェはまだ若いですが、ヴァン。あなたはもういい年でしょう」

「へぇ……?」

「はぁ……。いい加減、子供を作れ。と言っているのです。あの娘が恋愛に関しては超奥手なのは、あなたも分かってるでしょう」


 まったく、殿方は……。あの娘は無意識に不安をそらすために、商売に精を出してることくらい、気付いてほしいものです。

 自分の妻を不安にさせてどうするんですか。


「ともかく、アルフェが帰ってきたら部屋に連れ込んででもやりなさい。子供ができれば、少しは落ち着くでしょう」


 本当に……。うちの旦那さまも商売が楽しいのは分かりますけど、ご無沙汰ですし。まだ、ディオスクロイ家には嫡子がいないんですよ? 本当にその事、分かってるのでしょうか?

 わたくしの方も、そうですね……。今度帰ってきたら、強引にでも迫るとしましょう。うん、それが良い。

 それでもダメなら、その時は――。


「うん、押し倒すとでもしますか」


 わたくしの独り言に、ヴァンは、さぁ、と顔を青くしていました。あなたのことではありませんよ?

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