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転生領主一代記──伯爵四男に転生したので辺境開拓したら、いつの間にか公国建国して連邦王国まで出来てた件  作者: 想いの力のその先へ
第二章 16歳、領地飛躍の時

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二十七話

 あの後、意識を失ってしまった俺が再び目覚めたのは、館の自室だった。そして、隣には恐らく、俺の看護をしてくれていたのだろう。エレインがベッドに身体を預けて寝こける姿。

 どうやら、心配をかけてしまったようだ。

 いつまでも寝ているわけにもいかない。そう思い、身体を起こそうとして――。


「ぐ、ぅ……!」


 ずきん、と鋭い痛みが奔る。よくよく身体を見ると、上半身裸で、包帯があちこちに巻かれている。

 やれやれ、無茶をやらかした弊害か。

 反省すべき、なのだろうが。もし、俺は同じ場面に遭遇したら、きっと同じ行動を取る確信がある。


「ん、ぅん……?」


 エレインの寝惚け声が聞こえた。俺の呻きが煩かったのだろうか。


「あっ……」


 こちらを、起きた俺を見たエレインの寝惚け眼が、少しづつ開いていく。


「アイン! ……良かった、起きたのね!」


 エレインの瞳にじわり、と涙が溜まっていく。

 それに少し、罪悪感が沸く。エレインは姫騎士とまで評される戦闘者だが、見た目は可憐な美少女であることも間違いない。

 そんな美少女を泣かせているのだから、罪悪感を抱くな、というのが無理な話だった。


 無音で、静かに泣くエレインと罪悪感を抱く俺。しんみりとした雰囲気が部屋の中を流れるが、バタン、と豪快に扉が開かれたことで霧散する。


「おお、坊っちゃん。起きられたのですな!」

「アインさま、あまり無茶をしないでください」


 アスガル、レグルスコンビだ。ふたりにも心配をかけたようだ。


「まったく、驚きましたぞ坊っちゃん。二日も寝ておられたのですから……」

「二日ぁっ……! あ、痛っ!」

「ちょっ、アイン。無理はダメよ!」


 アスガルの言葉に驚いた俺は、傷の痛みで蹲る。エレインが俺を心配して支えてくれた。

 しかし、二日寝ていた、か。

 俺はもう大丈夫、とエレインの手を優しく握るとふたりへ問いかける。


「それで、俺が寝ている間、なにがあった?」

「それは……」




 その後、レグルスが要約してくれたが色々な動きがあったようだ。


 まず、最初にモンスターの襲撃はあそこ。俺やメルが居た場所だけではなく複数同時に起きていた。

 その被害は、建物の損壊は水際で食い止められたが、軽症4、重症1だったそうだ。なお、唯一の重症は俺のことである。

 軽症の内約についても、モンスターの攻撃を躱そうとした際に足を滑らせ頭を強打やら、咄嗟に殴り付けたは良いものの、盾で防がれ打撲。などの内容で直接戦闘の負傷ではないらしい。まぁ、頭の強打に関しては、普通に死ぬ可能性があるので、軽症で済んで良かった、ところもある。

 それでも、突発的な襲撃で死者が出なかったのは万々歳、と言えるだろう。……俺が唯一の死者となりかけたのは笑えないが。


 そして、モンスターの襲撃であるが、結論から言えばこれは人災。黒鍬隊が来た、早く家屋の補修、建築を終わらせなければいけない、と森林を乱雑に切り開いたのが原因だった。

 やはり、最初ゴブリンが現れた時に、ここが元々縄張りだったのかも、と言う考えは正しかった。


 元々、ゴブリンたちも縄張りを移動する必要はなかったはずだが、人間たちが近づいてくるぞ。と言うことで、縄張りを森の奥地へ移そうとした。

 しかし、そこはオークや他のモンスターの縄張りで、慌ててもとの場所へ逃げようとして俺たちと遭遇。というのが結果のようだ。

 他の場所も最初にゴブリンが現れ、その後に他のモンスター。オークやら、犬型の獣人。コボルトの群れが現れたようだから間違いないだろう。

 さらにいえば、モンスターが現れたのは、全て切り開いたもと森林の向こう側からだ。これも、説を補強している。


 なお、他の襲撃地点では先ほども言ったように、戦闘での負傷は出ていない。モンスターの数が少なかったこと。アスガルが雑兵の訓練をしていたり、公爵家正規兵の黒鍬隊が作業をしていたのが要因だ。

 それぞれの地点では各兵士の頑張りもあるが、アスガル、エレインの獅子奮迅の活躍で鎧袖一触。

 その後、ふたりは部隊を率いて村の中心地へ。なにが起きているのかを把握しようとして、複数の子供たちが泣きながら、逃げてくるのを確認したそうだ。


 子供たち。俺が逃がした子供たちだ。

 彼らは急にゴブリンが出てきたこと、俺が逃げろと叫んだことでパニックになった。その結果、脱兎のごとく逃げたわけだが、村に着いた段階でメルがいないことに気付いたらしい。

 そこで、ちょうど村に帰還していたアスガル、エレインへ泣き付いた。俺とメルがモンスターに襲われている、と。

 その後のことは知っての通り。俺とメルは九死に一生を得た。後少し、子供たちがアスガルたちに泣き付くのが遅かったら、ふたりがたどり着くのが遅かったら、最低でも俺が、場合によってはふたりとも命はなかっただろう。


 それで、俺が気絶した後の事だが。なんと言うか、領地に意識を失った俺が戻ってきたことで、一時的にパニックが起きたらしい。

 だが、村人たちはデミオ老、奴隷はレグルス、そして全体をアスガルがまとめる形で落ち着いたそうだ。これでパニックが継続していたら、大変なことになっていただろう。主に、領民たちに被害が出ていた可能性が高い。

 これは完全の俺の落ち度。というより、こう言うとこそばゆいが、自身を過小評価していた弊害だろう。もう少し、自身を大事にするよう自重しよう。


 また、俺の治療に使った薬草やポーションはマーネン商会から無償で渡されたそうだ。その時、アルフェは大層不機嫌だった、と言っていた。

 まぁ、俺が死ねば投資を回収できないのだから、当然だ。そして、当のアルフェは、なんでも召喚状が来た、とのことで帰ってるそうだ。いったい何事だろうか?


 そして、黒鍬隊の方でも動きがあったらしく、パニックになっていたエレインの代わりに、副隊長が公爵家へ伝令を走らせた、とのこと。今頃は公爵家へ着いている頃かもしれない。

 まぁ、こんなところか。


「さて、想定よりマシではあるがお仕事を――」

「休んでください」

「えっ?」


 レグルス? なに言ってんの?


「休んでください」

「お、おう……」


 ずごご、と凄んでくるレグルス。

 俺は押しきられる形で強制的に休みを取らされるのだった。

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