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転生領主一代記──伯爵四男に転生したので辺境開拓したら、いつの間にか公国建国して連邦王国まで出来てた件  作者: 想いの力のその先へ
第二章 16歳、領地飛躍の時

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二十四話

 領主のボンと騎士のお嬢ちゃんが仲良く領地を見て回っとる。なんとも微笑ましくて、笑える光景や。うちは笑えへんけど。ちゅうか、うちもダーリンとお手手つないでデートしたいわ!


 ……って、ちゃう。そうじゃなくて!


 なんで、ここでイオス公爵家が出てくんねん!

 いや、確かに、辺境領に最初。公爵家が手伝い出してたんも、それにお嬢ちゃんが着いてきてたんも調べが付いとる。でもなぁ……。


「それじゃあ、うちらが食い込めないやん……!」


 思わず、ぎりぃ、と歯軋りする。

 奴隷も多く連れてきた。ボンの蓄えが少なくなってきとんのも把握しとる。ここでうまく内に入り込めば、利ザヤでウハウハやった。

 なのに……!


「ご破算やないか!」


 まさか、ここで公爵家が介入してくるなんて、思わへんやん!

 どうせ、内政音痴の伯爵家はもうそろそろ、支援を打ち切る。娘が動いとるようやけど、当主は首を縦に振らへん。内政、利益のことなんぞ頭にないから。

 だから一流になれへんことを理解しとらん。それは別にええ。うちらにとって、蜜でしかないんやし。


 場合によっちゃ、伯爵家や公爵家にも広げよ、思てたんに。まさか、その前の時点で擱坐やん。


「どこのどいつや、盤面広げたんわ」


 少なくとも、奥さま。マイアやない。あん人なら、うちらと甘い汁啜る側に来る。

 でも、公爵家の現当主にしても動きがおかしい、あん人はこういう搦め手が嫌いなんは調べが付いとる。

 ダーリンはこんなことする必要ない。……まぁ、やりすぎ言うて肘鉄してる可能性はあるけど。


 あの嬢ちゃんは、まぁ……。うん、そんな絵図面引ける頭ないやろ。


 まさか、領主のボンに踊らされてた? うちらが?


「いや、落ち着け……。んなわけないやろ」


 それをするんなら、もっと早い段階で手札を切る。少なくとも、領民を危険にさらす必要なんてない。と、なると怪しいのは……。


「そういえば、ボンの姉。公爵家の婚約者やったなぁ……」


 あのボンクラが動かないのに、業を煮やして婚約者に働きかけた? それなら、一連の動きも説明付く。けど。


「いや、ないわ。いくらなんでも伯爵家ん娘のお願いで、跡取りが動く、なんてあり得へんやろ」


 それに、公爵家の跡取り。イクリルやっけ。そのボンの噂は良い意味でも、悪い意味でも聞こえてこおへん。

 凡庸な跡取りなんやろ。しかも、確か年は領主のボンと同い年。さすがに、ボンみたい奇人がもうひとりおってたまるかいな。


 ……いかんな。頭が熱うなっとる。落ち着かへんと。

 すぅ、はぁ、と深呼吸して、少しでも気分を落ち着かせる。

 そして、少し落ち着いた頭で結論を出す。


「……まぁ、ええやろ。あくまで最初のプランがお釈迦になっただけや」


 すんごい、腹立つけど。まだまだ、利権には食い込める。うちも、奥さまも、や。でも……。

 うちは机にどかり、と座って手紙を、書簡を書く。そして――。


「だれか! だれかおるか!」

「はいっ! ただいま――」

「よしっ、これでダーリンのとこ行って、ケツ叩いてや!」


 ばっ、と書き終えた書簡を来た部下に渡す。

 内容は簡単、いますぐ職人連れてこい。それだけや。

 公爵家が介入してくる前なら、職人を出し渋りして、値を吊り上げてもよかった。

 でも、もうそんなフェーズは過ぎてもうた。今は少しでも早く職人連れてきて、ボンに恩を売るべきや。そうしないと、うちらの影響力がどんどん吸われてまう。

 その前に、一定の影響力は確保せんと。あと……。


「これ、これは奥さまに。超特急で頼むで!」


 もう一枚書いたものを、今度は奥さま。マイアに渡すよう頼む。

 こっちはもっと長期的なもんや。うちら、マーネン商会でもやるつもりやけど。別口でディオスクロイ子爵家でもやってもらう。


「ここの噂を流す。勢いの、流れのある領地や、って言う噂を」


 そうすればこの辺境は嫌でも注目される。そして、注目されれば流れてくる。人が、物が、利が。それが増えれば増えるほど利益という名のパイが大きくなる。そうなればこっちのもんや。

 たとえ、他の商会が来たところで、その頃にはうちらと奥さま、それに公爵家で利権はがっちがちや。入り込む隙間なんて与えへん。まぁ、ほんのちょっと、恵みを与える程度ならエエけどな。多少の競争があった方が市場としても育つし。


 そんためなら、いまは損得度外視や。ここを発展させるため、じゃぶじゃぶ流したる。人も、物も、金もや。

 それが首輪に、うちらの利益になる。


 まぁ、ボンが簡単に引っ掛かるとも思えん。ここからは、どう上手く立ち回るか、やな。


「確かに、緒戦はうちらの負けや。だけど、見とけよ? こっから巻き返したる」


 うちは負けっぱなしが嫌いなんや。覚悟しとけよ、ボンにお嬢ちゃん。最後に笑うはうち。アルフェ・マーネン、そしてマーネン商会や。そこだけは譲らへん。

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