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転生領主一代記──伯爵四男に転生したので辺境開拓したら、いつの間にか公国建国して連邦王国まで出来てた件  作者: 想いの力のその先へ
第二章 16歳、領地飛躍の時

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十七話

 アルフェとの商談から既に一週間経った。その間も、まだ奴隷は到着していないが、マーネン商会との取引は続いている。

 もっとも、商品を持ってくるのも、木材の買い付けなどもアルフェとは別の商人が来ていた。なんでも、話ではアルフェはトップのもとへ赴いて話をつけている最中らしい。

 出来うることなら、商談はうまく行ってほしい。そして、村の子供たちを買い戻せたら最良なのだが。


「おや、坊っちゃん。どうされました?」

「いや、なに。いまもなんとか村を回せているな、と感慨に耽ってただけだ」

「はっはっはっ、そうでごさいましたか」


 快闊に笑うアスガル。その鎧の肩には瑞々しい葉っぱが乗っている。つい先程、木こりの仕事から館へと帰ってきたばかりだ。

 本来なら、騎士にさせるような仕事ではないんだが。

 人手が足りない+一緒に入る村人たちの護衛、という名目で木こりに同行させている。


 事実、一度木の伐採中に熊と遭遇したらしい。その日は、アスガルが切り殺した熊肉で少し食事が豪勢になった。毛皮も高く売れた、まったく熊さまさま、と言ったところだ。

 ……っと、そんな感傷に浸っている合間に、こんこんこん、とドアがノックされる音が響いた。来客か?


「開いているぞ」


 がちゃり、とドアが開く。しかし、姿を表したのは予想外の人物だった。


「おや、メルちゃんか」

「おにーちゃん、レグルスさんが呼んでるよ?」

「そうか、わかった。ありがとう」


 俺が礼を告げると、メルはふにゃり、と柔らかく笑う。


 本来、この村は子供も労働力に換算しないといけないほど人手が足りない。事実、子供たちも水汲みや畑仕事などに精を出している。

 その中でメルだけは俺の小姓、というか、館の雑務役として来てもらっている。

 そも、彼女は村の顔役。デミオ老の孫娘だ。そして優先的に残された子供でもある。その事は薄々子供たちも感じているようで、どうにも他の子たちとの間に薄い壁、みたいなものが出来ているらしい。

 だが、それをどうにか出来る策などあるわけもなく、苦肉の策として俺のもとへ小姓として貸し出し、という名目で昼間、預かっている、というのが実情だ。


 まぁ、何だかんだで伯爵家では末っ子だった俺には妹が出来たようで、この関係に不満はない。メルも年齢の――だいたい小学校高学年――の割には聡いしな。


「おにーちゃん?」

「おっと、済まん。レグルスが呼んでるんだったな」


 さて、あいつがわざわざ呼ぶとは。今度はどんな問題が起きたのか。色々と覚悟しておかないとな。








「それで、アインさま。こちらの件ですが……」

「あぁ、なるほど。そういうことか」


 そして、レグルスに呼び出されたわけだが。その呼び出しはある意味、妥当なものだった。


「何だかんだで、順調に推移してるようだな」

「えぇ、これでひと安心です」


 いま、レグルスから説明を受けていること。それは、いままでの取引を含めた経済的推移。ならびに領地の運用状況だった。


 まず、獣肉や毛皮、木材なんかの売買利益だが、それなりに順調だ。なにしろ、いままでが前代官の搾取で狩りに行くどころの話ではなかったことから、野生動物が大いに繁殖している。つまり、多少乱獲したところで影響はでない、ということだ。

 まぁ、乱獲しようにもそれだけの人員を用意できないのだが。それでも狩ることで多少森が正常な状態に近づけることが出来る。あんまり増えると、集落まであふれ出るかもしれないからな。


 ちなみに、当たり前の話であるが、各家庭の食料を確保した上での余剰分での利益だ。これはそもそも、人口の絶対数が少ないことに起因する。

 もし、アルフェが奴隷を連れてきたら、優先的に狩りへ人員を回すべきだろう。そうしなければ、最終的に食糧の産出量が目減りしそうだ。


「狩り、狩猟の方は問題なさそうだが、問題はこちらか」

「えぇ、そうですね」


 そう、すべてが順風満帆というわけにもいかない。その理由はもうひとつ。アスガルが頑張ってくれている木こり。木の伐採についてだ。


 正直、こちらは狩猟や農作業よりも人員を割り振っている。単純にそうしないと問題が起きるからだ。

 と、いうのも、いま領民たちが暮らす民家は、早急に建て替えが必要なくらい老朽化が進んでいる。先の冬はどうにもならなかったから、なんとか耐えてもらったが、これ以上は家屋が物理的に耐えきれないだろう。


 むろん、こちらも対策していないわけではない。稼ぎ用の木材以外は貯蓄して、村にいた唯一の大工。ラッセル親方に住居の補強をお願いしている。

 そして、そちらに人員を追加して、だ。そうしないと、さすがに親方ひとりで対策など出来ようはずもない。

 そういう意味では、親方には補強しながら新人の育成をしてもらっていることになる。その分、工賃を増やすことで報酬としている。正直、足りるとも思えないが頑張ってもらうしかない。


 こう考えると、まさにブラックだな。出来ればそういうことはしたくなかったのだが。

 これはなるべく早く職人を誘致する必要があるだろう。だが、その伝手がない以上こちらから出来ることはない。

 可能だとすれば。


 1,奴隷で職人経験がある人物を割高で手に入れる。

 2,商人自身、マーネン商会にこの領地を紹介してもらう。


 この二つぐらいだろう。

 まぁ、一番目に関しては高望みしすぎだし、出来ない前提で考えるべきだ。つまり、手に入ればラッキー、というところだろう。

 すなわちこちらが狙うとしたら二番目。マーネン商会に紹介してもらうこと。


 そのための報酬も弾むべきだ。これは、マーネン商会にも、そして職人自身にも、だ。そして、その職人を抱え込む。

 王都などの大都市なら、多少暇している職人もいるはずだ。それを抱き込むのなら、なんとかなるだろう。報酬も、俺のポケットマネーから融通する。

 出来れば節約しておきたい場面だったが、背に腹はかえられない。ここが使い時、というわけだ。


「そのためにも、マーネン商会と商談をしないとなぁ。しかし、アルフェ以外と商談。という、そもそも商談できるのか?」


 どうにも、彼女が責任者だとすると、出来ないかもしれない。そうしたら、どうするべきか。

 俺はあり得る可能性を考えて、内心頭を抱えるのだった。

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