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転生領主一代記──伯爵四男に転生したので辺境開拓したら、いつの間にか公国建国して連邦王国まで出来てた件  作者: 想いの力のその先へ
第二章 16歳、領地飛躍の時

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十五話

 うち、マーネン商会の商人。アルフェ・マーネンは心の奥から沸き上がる愉悦。嬉しさが抑えられず、足取りが自然と軽くなる。完全に抑えなければ、それこそスキップになってしまいそう。


「支配人、嬉しそうですね」

「あぁ、わかるか?」


 あまりに嬉々としたうちの姿に、部下のひとりが話しかけてきた。そこまで分かりやすかっただろうか?

 いや、分かりやすいか。

 ここまで上機嫌なのは、ダーリンとの逢引の時くらいだし。


 この辺境の地。その領主となったアイン・アルデバランの伯爵領での評価はうちの耳にも入ってきていた。

 いや、ちょっと違うか。調べてた、というのが正しい。なにしろ、アルデバラン伯爵家といえば脳筋貴族ということで有名だ。それが、色々な品物を売る。政に精を出す、というのはちょっとした異常事態。

 その原因を探すのは当然。その調査で最初に浮かび上がったのはアマテル・アルデバラン。彼女が商人や職人を通じて商売をしていたこと。だが、彼女個人は動くにはあまりに多彩すぎた。

 当時、きっと裏に何かしらの操り糸がある、と勘繰ったうちらマーネン商会がさらに調査した結果、浮かび上がったのがアルデバラン伯爵家の四男坊。


「あのボンが領主、とはなぁ……」


 にひひ、と笑いが漏れる。これは旨いことになる。


 当時、領地でのあのボン。アイン・アルデバランの評価はアルデバランの俊英。あるいは、アルデバランの気狂い。真逆の評価であるけど、それも当然。商人であっても、いや。商人だからこそ、狂ってると評価するのも理解できた。

 火の秘薬、に関してはあまり興味がない。そりゃあ、只人が魔法のように爆発を操る、という意味では興味はある。でも、それなら魔法の方で十分。むしろ、危険性がない分、有利まである、と思う。それでも、あのボンはなにか、利用価値を見出だしているのかもしれない。

 それより、うちが注目しているのは建築材。あのローマンコンクリートとかいう硬い建材や。あれは城の補修、道の整備、家の建築。あらゆる面で役に立つ。

 それより劣るが、農具関連もいい。あれらも製造工程は難しくなく、そして需要は高い。いい商売になるに違いない。


 それだけじゃない。うちが気に入った。その理由は――。


「やっぱ、気狂いなんかなぁ?」


 あのボンが奴隷を求めたこと。だが、求めた理由が自身の顕示欲じゃなくて、実利というのが良い。

 大抵の貴族――奴隷を求める性悪――は捌け口として奴隷を求める。しかし、あのボンは人が足りない。ただ、それだけの理由で求めた。他の貴族から白眼視、爪弾きされかねないリスクを負って、でもや。

 普通の貴族はそんなリスクは犯さん。犯す必要もない、というのが正解か。領地を引き継ぐんやから。そも、ボンのように領地を賜ることすらまれやけど。それだって実家からの援助がある。

 まぁ、ボンも援助は受けてるようやけど、それは最低限にしてる節がある。借りを作るのを嫌った、もしくは自分なら大丈夫思ったか。


 普通のボンなら、思い上がりも甚だしい。って、とこやけど。あのボンは実績がある。実際に――アマテルという隠れ蓑があるけど――商売、としての実績が。


「まぁ、なんでも良いわ。うちら、マーネン商会の利益になるんなら、なぁ?」


 今回もダーリン。ヴァン・マーネンに面白い報告できそうやわ。それに、マイアさま。あの奥様もボンに興味津々みたいやし。

 なんなら、うちらが裏側から支援しても良い。なんて、言い出すくらいや。まっ、するかどうかはまた別の話やけど。


「さらに儲け出すんなら、育てるんもありやしな」


 そんな兆候は確かにある。でも、いまのところはそこまで旨味を感じない。ディオスクロイ子爵家との商いで、十分利益が出ているから。でも――。


「どうしたもんかなぁ……」


 うちの、商人の勘は今のうちにこの領地に食い込むべき、と告げている。そうすればさらなるリターンを得られる、と。

 勘、なんてあやふやなもの。本来は頼りにすべきやない。でも、うちもダーリンも、マーネン商会はここぞという時、勘を頼りに大成してきた。


「要相談、かなぁ……?」


 うちひとりなら、間違いなく博打を打つ。でも、いまはマーネン商会っていうデカい組織のNo.2。おいそれと博打打つんは駄目や。

 まぁ、ダーリンは嬉々として博打打つやろうけど。


「どちらにせよ、ダーリンに相談は絶対や。なにしろ、奴隷商はダーリンの領分やし」


 うちは清い方の商売と人脈構築。ダーリンは汚い方の商売と情報収集。そう住み別けしてやってきた。まぁ、結婚してからは結構、そこら辺りの線引きは曖昧やけど。

 さすがにヤバいヤマに手を出そうとすると顔しかめるし。そこら辺りも可愛いんやけど。

 どちらにせよ、良い土産話が出来たのは間違いなく。


「ダーリンの驚く顔が楽しみやわぁ」


 久しぶりに帰るディオスクロイ子爵領。そこにいるダーリン、とついでにマイア。帰れば、間違いなくマイアにお茶会という名の商談へ呼ばれるだろうし、いまから楽しみだ。

 いつのまにか、うちの足取りはスキップに変わっていた。あぁ、楽しみ、楽しみ。二人がどんな反応するか、楽しみやわぁ。

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