第22話 save the gene!!
第二部完結です
Part 1 destroy the gene!!
藤間乱丸は、底の見えない暗闇の中をひたすらもがいていた。一歩踏み出すたびに、足元から絡みつくような冷気が這い上がり、彼の全身を蝕んでいく。どれほど歩いても、視界は漆黒に閉ざされたままで、空間の広がりも奥行きも感じられない。「いくら歩いても歩いても暗闇の中か?ここはどこなんだ……」彼の口から漏れる声は、音もなく暗闇に吸い込まれていった。まるで、この世のどこにも存在しない場所へと閉じ込められたかのような感覚に、藤間は言いようのない焦燥感を覚えた。
その時、ぼんやりとだが、彼の前方に人影が浮かび上がった。それは、彼が何よりも恋焦がれ、二度と会えないと諦めていた母親の後ろ姿だった。「母ちゃん……俺の死んだ母ちゃん……生きていたんだね……」藤間は、ほとんど無意識のうちにその名を呟き、近づいていく。心臓が激しく脈打ち、乾ききっていたはずの目に熱いものが込み上げてくるのを感じた。
しかし、彼の期待は無残にも裏切られた。人影はゆっくりと振り向いたのだ。そこに立っていたのは、藤間の記憶にある優しげな母親の面影とは似ても似つかない、おぞましい化け物だった。顔は醜く歪み、目は血走っていた。その口から絞り出された声は、藤間の耳に突き刺さるような憎悪に満ちていた。「お前がヤクザに盃を交わしたせいで、抗争相手のヤクザに埋められたんだ!もう私の前に現れないでちょうだい!」
その言葉は、藤間の胸を深くえぐった。彼の母は、彼のヤクザとしての道を選んだ代償として命を落とした。その事実が、まさか母自身の口から、これほどまでの憎悪と共に突きつけられるとは。化け物と化した母親の姿は、藤間にとってこの上ない罰だった。罪悪感が津波のように押し寄せ、彼の全身を飲み込んでいく。
母親の姿は、呪いの言葉を吐き終えると、ゆっくりと、しかし確実にフェードアウトしていった。藤間は、激しい喪失感に襲われた。唯一の、そして最後の拠り所が、彼の前から消え去ってしまったのだ。
「母ちゃん……俺を置いていかないで!俺のこと愛してよ!母ちゃん!母ちゃん!!!」
藤間は絶叫した。その声は、虚しく暗闇に響き渡るだけだった。彼は膝から崩れ落ち、ただただ消え去った母親の面影を追い求めて手を伸ばす。しかし、そこに掴めるものは何もなかった。彼の心は、絶望と後悔、そして底知れない孤独に打ちひしがれた。
この悪夢から逃れたいと、藤間は必死にもがいた。しかし、彼の体はまるで重い鎖で繋がれているかのように、一歩も動かせない。目を開いても、閉じても、暗闇と化け物の姿が脳裏に焼き付いている。これが夢であると理解しながらも、そこから抜け出す術はどこにもなかった。彼はただ、この地獄のような苦しみに耐えるしかなかった。
「あああああああああああ!!!!!」
藤間の断末魔の叫びが、再び暗闇に響き渡った。それは、精神が崩壊寸前である彼の心の叫びだった。彼を支えていた唯一のものが消え去り、彼は今、真の奈落の底へと突き落とされたのだ。もはや、思考することすら困難になり、ただ本能的な悲鳴を上げることしかできなかった。彼の意識は、現実と悪夢の狭間を彷徨い、その境目が曖昧になっていく。これは夢なのか、それとも現実なのか。藤間にはもう、その区別さえもつかなくなっていた。悪夢は終わりを迎えることなく、藤間を苛み続けた。
Part 2 save the gene!!
天馬はgene社の車に乗り込み、自宅へと向かった。有賀鉄平とジーンは、別の車で本社へと引き上げたらしい。車が自宅前に滑り止めると、降り立った天馬を待っていたのは、彼の母親である一戸香澄だった。
「ご苦労様!天馬……あなた、前より凛々しい顔つきになったわね」香澄の言葉には、息子への深い愛情と、どこか安堵のような響きがあった。
天馬は香澄の言葉に少し照れながらも、力強く答えた。「そういう風に見える、母さん?俺、仇を討ったよ!」その声には、長年の重荷を下ろしたような清々しさが感じられた。
香澄は優しく微笑んだ。「玄関で葉子が待ってるから、吉報を報告しに行きなさい」
その言葉に促され、天馬は自宅の玄関のドアを開けた。そこには、うつむき加減で彼を待っていた桜木葉子の姿があった。天馬は、葉子の顔を見て、抑えきれない喜びを声にした。「ただいま!藤間はもう倒したよ!もうあいつの影におびえることなんてないよ!」
天馬の言葉を聞いた葉子は、無言で彼に抱きついた。その細い腕が天馬の体にしっかりと巻きつく。天馬もまた、そっと葉子の背中に手を添え、彼女の震えを感じ取った。
葉子の声は、喜びと安堵と、そして今まで抑え込んできた感情が混じり合い、少し震えていた。「もうあいつはいないんだね!?私、辛かった……でも、天馬がこうやってジーン達に味方してもらって……そして天馬自身も頼りがいがあって、私、久しぶりに幸せを感じる……」
天馬は、葉子の頭を優しく撫でながら言った。「これからは素直に勉強に励んで、一緒にいい大学に行こう!あいつの影に怯えるんじゃなくて、楽しもう!人生を!」
彼の言葉には、未来への希望と、葉子を支え続けるという固い決意が
込められていた。
葉子は、天馬の胸の中で静かに涙を流しながら言った。「ありがとう……ジーン……そして、天馬……」
二人の間に流れる時間は、これまで経験したことのない穏やかさと、確かな温かさに満ちていた。藤間乱丸という重い鎖から解放された彼らの人生は、今、新たな一歩を踏み出したのだった。
To be continued!!
???「B級ナチュラルの学習はあらかた済んだようだな…無駄な抵抗は終わったのか?ナチュラルα?」
どうでしたか?
いわゆる前半はここまでです(;´Д`)




