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風来、女ひとり  作者: 頭いたお
一。
5/24

5.亀

 溜池を見つける。

 亀がいた。亀を食うこととする。



 亀を屠るは二度目だ。

 幼き頃、甲羅の下がどうなっているのか気になった。

 剥がしたら、亀は死んだ。悪いことをした。



 亀を捕える。

 甲羅を外した。亀は死んだ。

 悪いこととは思わん。食うために殺すは自然に則っている。

 あの時も食えば良かった。確か放り投げた気がする。悪いことをした。



「煮る」



 煮た。

 水が豊富な土地のようだ、存分に使える。

 そも焼くか煮るかしか出来ん。水があるうち、沢山煮るのがいいと思う。



「うーむ」



 汁。

 不味くはない。美味くもない。

 出汁は出ている。しかし調味料がない。

 いわば単なる亀汁だ。なんとも言えん。



 身。

 泥臭い。美味くはない。

 食感は悪くない。しかしやはり泥味だ。

 調味料がほしい。贅沢とも思えなくなってきた。



 故郷では鼈なる亀が珍重されていた。

 鍋が美味らしい。しかし結局食えなかった。

 異国の地、最早食う機会もあるまい。

 仕方がないので、ただの泥亀を堪能する他ない。




「御馳走様」




 剥いだ甲羅。

 何かに使えんか考えてみる。

 思い浮かばなかったので、放り投げた。

 悪いことをした。


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