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風来、女ひとり  作者: 頭いたお
一。
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4.陽

 乾いた血溜まりから起きる。全身、がびがびする。

 川で水浴。袴の血を落とす。あまり落ちん。

 さらし、褌も替える。気持ちがいい。



 誰もおらん、下着のまま寝転び、数刻過ごす。

 暖かな陽が身に染み込む。極楽、極楽。

 陽で方角も分かった。西を目指す。



 西には何があるのだろう。分からん。

 分からんが、困れば西を目指すと相場が決まっている。

 なんでも浄土の方角らしい。

 浄土とはどんな所だろう。分からん。



「西、西」



 西へ歩き、乾いた蕨もどきを舐める。

 新鮮な山菜が食いたい。

 だがこの土地の草木がよく分からん。



 草木は、陽の光を食うらしい。

 なればどの草木を食ったところで、要は陽の光を食っている訳だ。

 直接食った方がよかろうとも思う。



「あああああ」



 また寝転んで、陽に向かう。口を開けてみる。

 気持ちがいい。しかし腹は満ちない。

 いずれは満たされるかもしれん、そのまま食い続ける。

 いずれは来ず、いずれ寝ていた。



「よく寝た」



 夜である。

 夜は歩かぬと決めた。

 また寝た。眠れる場合は寝るに限る。

 極楽、極楽。


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